カテゴリ:La Sombra Del Viento( 92 )

ケン・リュウ!

先日、元同僚の友人S氏と夕食を食べに行ったのですが、聡明という言葉が一番ふさわしいS氏とは話が合う部分も多く刺激的。宮部みゆき、カズオ・イシグロからミャンマーの民族問題、プーチンに至るんで会話が弾む相手というのは本当に貴重です。ちなみにS氏にカズオ・イシグロを紹介したのは実は私なのですが、そうやって紹介した本に対する感想を予想外の深さで打ち返してくるところがなかなか素晴らしいのです。

それはさておき、暇つぶしで入った本屋でふと目に留まった文庫本。少し読み始めると止まらなくなり、ほぼ立ち読みしながらレジに向かって、そのまま二宮尊徳状態で読み続けた本「紙の動物園」。
e0147206_995325.jpg
不覚にも初めて知った作家ケン・リュウ。中国名、劉宇昆。中国系アメリカ人。冒頭の「紙の動物園」で私は完全にノックアウトです。淡々とした筆致の中にある滋味にあふれる味わい。この短編集に収められている7編はどれも素晴らしいものですが、「紙の動物園」、「結縄」と「月へ」、そして最後を締めくくる「文字占い師」の印象が強烈です。どれも中国というかアジアの奥に流れる豊かな水脈を感じさせる一方で、スケールの大きさがまた格別。

慌てて調べてみると、短編集の文庫がもう一冊出版されている。「もののあはれ」。当然の助動詞べしで購入。もったいないからこれも丁寧に読むよう留意。SF度はこちらの方が高めですね。いきなり久留米が舞台の「もののあはれ」で興奮する福岡出身の私。(もっとも久留米とはほとんど縁がなかったのですが)こちらでのお気に入りは中国怪奇小説っぽい「良い狩りを」ですね。シンギュライティーをテーマに人の業の深みを探る2作品も面白いけど、やはりアジア色が強いほうが私の好みですね。なもんで、この2冊だと「紙の動物園」かな、やっぱり。
e0147206_9101898.jpg
あと調べてみると、「母の記憶に」がハヤカワから出版されている模様。これも早々に読みたいところですが、いかんせん読んでいない本の在庫が結構増えてきているので、まずはその消化からですね。そうそう、ダニー・ハザウェイのLPを友人に配って歩いたというキャロル・キングのひそみに倣って、「紙の動物園」は冒頭で登場したS氏へ進呈しました。感想が大変楽しみなのであります!
e0147206_911238.jpg
原著も頑張って読んでみた方が良い気がする!
[PR]
by zhimuqing | 2018-06-18 00:28 | La Sombra Del Viento | Comments(0)

ごめんね、おばさん

タイの田舎のレストランでいきなり“Pynk”がかかるほど、モネイちゃんの勢いを感じる今日この頃、皆様いかがお過ごしですか?

いつものようにタイに出張に来ておりますが、今回はお客さんもタイ在住19年のF氏もおらず、晩御飯は一人で食しているわけです。ま、他の人と来ても、おっ! Pynkがかかっている!モネイちゃんやん!等の会話はないわけですけれども。

で、そのままアパートに帰っても退屈なわけで、日本から持ち込んだ本を読んでいるわけですね。アパートの部屋に置き忘れて鞄に入ったまんまの本が三冊あったので、まとめてテーブルの上に置いて、つらつらと本を読んでいたわけですが、レストランのオーナー、在タイのイタリア人と結婚しているおばさん、が置いてある本を見て感心するわけです。
e0147206_20365069.jpg
本を読む人はなかなか素晴らしい、とかなんとか。で、持っていた中で一番分厚い本を指して、難しい本なのでしょうね?等と聞いてくるわけです。ちなみに本には全てカバーをかけているので、どういう本かは分からないわけです。会話を再現してみましょう。



難しい本なのでしょ?


アメリカの詩人の詩について書かれた本なのです。


ワンダフル!ビューティフル!


イタリア人と結婚しているせいか、表現もストレートです!






・・・ごめんね、おばさん。確かに詩について書かれた本ではありますが、その正体はこれ。
e0147206_20371787.jpg
R&B馬鹿リリック大行進 ~本当はウットリできない海外R&B歌詞の世界~
e0147206_20374075.jpg
・・・ごめんね、おばさん。私はそんなに知的なタイプではないのですよ。ケリスとかケリスとかケリスとかの馬鹿すぎる歌詞を徹底的にいじりまくる宇多丸師匠のラジオをまとめた本なのでした。自分のブログでもそのまま引用するのは抵抗がある、そんな歌詞が羅列された本。海外とはいえ、外でそのまま読むのはアレなんでカバーをかけておりました、はい。なんだか騙したようで申し訳ないです、はい。とまあ、そんなわけで、読んでる本でその人となりが分かるといいますが、やはり外で読む本にはカバーが必須だな、ということで。
[PR]
by zhimuqing | 2018-05-16 00:28 | La Sombra Del Viento | Comments(0)

あかりをともすことは、闇を生み出すことにもなるんでな

先日の訃報から1週間、アーシュラ・K.ル=グウィンのゲド戦記を読み返す日々ですが、やはりゲド戦記は大名作。訃報に際して、ゲド戦記をファンタジー小説の先駆けになった作品としてハリー・ポッターと並べて評しているものを読みましたが、2つの作品で表現されようとしている世界が全く異なるので、その選択と比較に全く意味はないとは言いませんが、あまり適切ではないと思いますね。
e0147206_392446.jpg
自身が産み出した影と向き合い、最終的に一つとなる物語。ル=グウィンがゲドのシリーズで描こうとしていた世界の深みをあえて比較するのであれば、それはミヒャエル・エンデしかないでしょう。アースシーのアーキベラゴに比肩できるのはファンタージエンのみ。類稀な二人の思想家が産んだ世界。トールキンの中つ国だって足りないと思うのは私だけではないでしょう。むりやり共通点を探せないわけではありませんが、そんなに面白くない徒労に終わることでしょう。
e0147206_384975.jpg
アメリカで生まれたル=グウィンが主人公に赤褐色の肌を選んだのは、両親が著名な文化人類学者であったことが遠因の一つだったと思いますが、それにしてもこのシリーズでのルーグウィンの思索の深さは驚くばかり。ちょうど50年前の作品ですが、作品の中に張り巡らせられた思索の糸は50年後の今の社会状況をさりげなく浮かび上がらせてきます。ネットの時代になり、仮想通貨で大騒ぎしている現代を魔法使いの言葉が照射する。本当に優れたSFやファンタジーのみが持つ千里眼。子供向けとされているゲド戦記ですが、このシリーズに含まれている旨味は人生経験を積めば積むほど味わいが深くなるものだし、ル=グウィンが描く世界はより一層鮮やかさが増すと思うのですが、どうでしょう?
e0147206_3111124.jpg
問題は面白すぎること。電車で読んでいると乗り過ごしてしまうし、夜読み始めると舐槽になってしまう。ま、それも幸せなことなんですが。
e0147206_3104785.jpg
いつか原書でも読まないといけないとは思っております。でも清水真砂子の訳はとても素晴らしい。

名台詞を少々
[PR]
by zhimuqing | 2018-02-05 00:28 | La Sombra Del Viento | Comments(0)

ハイン 地の果ての祭典

火曜日にロンマクと大阪で合流。レコード屋や本屋、楽器屋に行くという、いつもの一人の時の行動と寸分たがわぬ、いや楽器屋には行けてないですね、閉店時間が早いから。ま、それはさておき、我々のとる行動は基本的にはほとんど同じものとなるわけです。ウン十年変わっていない流れでもありますが。レコ屋でウルスラ・ヒラリア・セリア・デ・ラ・カリダド・クルス・アルフォンソ・デ・ラ・サンティスィマ・トリニダドこと、セリア・クルースのボンバの編集盤を格安で見つけるという幸運にも恵まれながら、ロンマクお勧めの一冊、山極 壽一と鷲田 清一の共著「都市と野生の思考」を探しに行ったのですが、そこで思いがけない一冊を発見。即、手に取り、レジに直行、夢中で読み返すこと数回、今日に至ります。

ハイン 地の果ての祭典
南米フエゴ諸島先住民セルクナムの生と死
著:アン・チャップマン 訳:大川豪司


e0147206_2057836.jpg
昨年出版されていたんですね。気が付きませんでした。セルクナム族のことを知ったのは多分10年くらい前だったと思うのですが、なんといっても、強烈な印象に残るルックスが印象に残るだけで、あとは絶滅してしまった先住民ということをなんとなく知っただけで、その後記憶のかなたに消えていたのですね。というか、ヤーガン族として紹介されていた気がします。

成人の儀式ハインを中心にセルクナム族とハウシュ族の風習や信仰、いや宇宙ですね、を記したこの著書、作者の案・チャップマンは60年代に僅かに生き残っていた人々からの聞き取り、そして1910~20年代にドイツ人神父グシンデの残した記録(貴重な写真多数を含む)を参照しながら、ずっと前に失われてしまったその宇宙について紐解いていく。

チャップマンの筆さばきは実に巧み。一冊を通して、全体に流れるこの民族への尊重の念、彼らが持つ(持っていた)宇宙感への感嘆がひしひしと伝わってきますが、それだけでなく、儀式の背景と建前に対する考察の進め方も滑らかでぐいぐいと引き込まれます。過酷な自然の中で自在に広がっていったセルクナムやハウシュの想像力と信仰をベースとしたハインの様子が実に活き活きと描かれていて、記録としてだけでなく読み物としても一級品。これは僅かな生き残りであったアンヘラやフェデリコとの心のこもった交流、正確に言うと友情、がなせた業でしょう。
e0147206_20553824.png
もちろんグシンデ神父による1923年のハインの貴重すぎる膨大な記録があってのもの。この写真のインパクトはあまりにも強烈ですからね。時代柄カラーでないのが残念ではありますが、それを望むというのは贅沢というものでしょう。この写真を含めた記録の引用がスムーズ。グシンデとセルクナムのやり取り、特にテネネスクとの最後の会話、もヴィヴィッドで、その後の展開を考えると、静かに胸を打つものがあります。
e0147206_2059576.jpg
忠実に彩色すると、こうなるそうですね。凄すぎる!
e0147206_2134396.jpg


どうしてもその後失われてしまう彼らの宇宙に思いを馳せて喪失感を感じてしまうわけですが、一方でチャップマンによるアンヘラ・ロイヒやフェデリコ・エチュライネへの聞き取りには当然多少の喪失感はありますが、悲壮感というものはあまり感じられない。チャップマンも重苦しい気持ちになるとは書いてはいるもの、例えば儀式に関する表現にはユーモアが溢れていて、それはアンヘラやフェデリコ、そしてチャップマンの個としての性格なのか、それとも厳しい自然環境から来た諦念によるものかは分かりませんが、北方に住むインディオへ向けて歌うロラ・キエプヒャの詠唱で冒頭と最後を挟んだチャップマンの思いとしてはどうだったのでしょう。
e0147206_2031648.jpg
それにしても人類史の本当に貴重な記録。チャップマンはロラの協力を得てハインの時の詠唱もしっかり記録して、CDと配信で今では簡単に聴くことが出来るようになっているそう。チャップマン、そしてグシンデ神父やルーカス・ブリッジスの業績はどんなに讃えても讃えすぎることはないでしょう。失って初めて気が付く重要性、身近なところではアイヌの文化もまさしくそうだと思いますが、やはりこういう部分にしっかりお金を使ってこその文化水準だと思うのですが、どうでしょう?
e0147206_2105194.jpg
自分の体にもタリを描きたくなってしまうのは仕方がありませんね。流石に下半身は出す度胸はありませんが。


追伸:これを書いてリビングに戻ると、ヨメがあんたが見てた本の人、テレビで紹介されてる!と。ふしぎ発見でまさかのシンクロ。うーん、セルクナムの導きか!
[PR]
by zhimuqing | 2018-01-20 20:28 | La Sombra Del Viento | Comments(0)

奥深くまで浸透してしまったのか?

BSつけてみたら『ドランクモンキー 酔拳』やっていて、猛烈に懐かしい。

e0147206_00190524.jpg
私は某所で袁小田のご尊顔をアイコンとして使わせてもらっている関係で、なんとも馴染み深い感じ。袁小田とジョージ・ホサト・タケイ・アルトマンと並ぶぐらい。いや、でも武井穂郷の方がもうちょっとだけ深いかな。
e0147206_00192084.jpg
  
ジャッキー・チェンは今でも好きなのですが、酔拳が個人的には最高峰。当時の成龍の映画にあって、今無いものは若さよりもこの手のキャラのような気もする。


それにしても小学生から高校生の時分に馴染みのあったものは、なかなか身体の奥深くまで浸透しているものですね。私がおっさんになっているという事を差し引いても。キン肉マンしかり、マイコーやプリンスしかり、両生爬虫類や昆虫もしかり、ホームズ好きもしかり。


さて、そういう意味では待望の一冊がこれ。ムー公式 実践・超日常英会話。

e0147206_00170658.jpg
別に子供の頃ムーを熱心に読んでいたわけではないし(本屋で立ち読みはしていたけど)、モヤーン氏の結婚式の時のように、いわゆるガチな人に出会ってしまうと腰が引けてしまうのですが、それでもやっぱりこういう境界線ギリギリではなくて、ちょっと向こう側に外れた話というものは好きなもんで、真面目な顔をして全面的に笑い倒していこうという、この企画はどストライクなのですね。

UFO・エイリアン』、『陰謀・秘密結社』、『心霊・怪談』と続く章立ても面白いし、各章の終わりについているAdditionalTermsもなかなか役?に立つもの。が、一番役に立つのは例文でしょう。面白すぎます。当初予想していたよりも使えそう!家庭でも職場でも湯人関係でも、どんな場面でも結構役に立ちそうな気がするぞ!


This scary story is based on a true tragicaccount.


I’ve lost a day’s memory after seeing a UFOlast night.


The dream I had last night was so ominous thatI think I should take a day off.


It’s not up to you to decide to believe or notto believe. It’s totally up to me.


You, the person who is reading this right now,are you a human?


I insist that all investigations be conductedthrough my guardian spirit.


All right, you are assigned to the Mars branch.


Since the beginning of this year, it seems thatour boss has been replaced with somebody completely different.


しかし一つだけ問題があり、小5のムスメがどうも熱心にこの本を読んでいるみたいなのだ。血は争えないのか?というより、私の体に深く染み込みすぎて、ムスメまで伝達してしまったのか?パパ、CIAから電話だよ!とか、父は異星人の言いなりだ!とか、私の前世は土星人、弟は金星人なの、とか言いだしてしまわないか、やや不安になるのですが、ま、その時はその時で温かく見守るしかないのでしょう、はい。

e0147206_00180187.jpg


[PR]
by zhimuqing | 2017-09-06 00:21 | La Sombra Del Viento | Comments(0)

夏休みの楽しみ

夏休みの名物と言えば、NHKラジオの夏休み子ども科学電話相談。名質問と名回答の数々、一期一会の生放送なのですが、最近ではラジオらじるで聴くことが出来るので、大人の私には大変ありがたいですね。

伝説に残る相談と回答はこれですね。

アリを踏むと黒い汁が出るのはなぜですか?

君もつぶれたら汁が出る。



ということで、そんな私(のような人)待望の一冊が出版です。
e0147206_0364025.jpg
ムスメにいいかな?と思って購入したのだが、これは大人が読んでも十分面白い。内容はもちろんのこと、先生方の説明の進め方にも痺れます。でもね、ラジオの放送には勝てないね。子供達の可愛い声、あれはある意味反則だし、意表を突かれた先生方の微妙な間合いも最高に楽しいし。ということで、ラジオらじるをまた聴くのであります。

さて、書籍関係でこの夏、私が大いに注目しているのはこの本ですね。

ムー公式 実践・超日常英会話

あの雑誌ムーの公式英会話本。
e0147206_034107.jpg
今月23日発売ということで、当然まだ中身を見ることは出来ないのですが、伝え聞く例文の破壊力は抜群です。私の英語の達者な友人、Hさんでも使ったことがないであろう名文の数々。

Isn't the president of your company a Reptilian?
御社の社長はレプティリアンではないですか?

Please call police and military, because my friend was abducted by aliens.
友人が異星人にさらわれたので、警察と軍隊を呼んでください。

Please get another room because I'm seeing a ghost in here.
幽霊が出るので、部屋を変えてください。

When you bend spoons, put them back the way they were!
スプーンを曲げたら、ちゃんと元に戻しておきなさい!


なんという実践的?な英会話集でしょう。早く手に取って自在に使いこなせるようになってみたいものだ。
e0147206_035532.jpg
e0147206_0353669.jpg

[PR]
by zhimuqing | 2017-08-02 23:28 | La Sombra Del Viento | Comments(0)

流石の先見性

有川浩の図書館戦争シリーズ6冊を一気読み。
e0147206_11193741.png
45のオッサンが限りなくライトノベル濃度の高いこのシリーズを読むのは少し気恥しくもあるし、読んでいるところを知人に見つかりたくない作品でもあります。とはいえ、このシリーズ、自称ライブ型の作家、有川浩の先見性が見事に発揮されたもので、このシリーズの設定「メディア良化法」はちょうど今この瞬間国会で無理やり審議されている共謀罪の話と見事にリンクしていて、読んでいて恐ろしくなってしまう。自分は関係ないと知らんぷりしてしまう市民とか、世間に忖度!した結果、自分の首が締まっていることに気が付くマスコミや作家とか、原発に加えられるテロとか、その辺の千里眼は実に見事。図書館の防衛隊が武装するという展開はこの話を進めるうえで必須の設定なのだが、実際のところヤツラはそんなに甘くは無かろうというのがやはり悩ましいところ。というか、今の体たらくを見ていると、何の理屈もつけず強行突破してくることが予想されてしまうのも恐ろしいというか悲しい。
e0147206_1121742.jpg
肩の凝らないスタイルでうまく題材をさばいた小説で、登場人物も魅力的だし、やはり面白いシリーズだと。とはいえ、男性陣はかっこよすぎるし、ベタベタの恋愛ものになるともうこちらが恥ずかしくなってしまうので、やはり大っぴらに読むのは恥ずかしいですな。特に5冊目、外伝1はね。ちなみに映画版は観ていません、はい。
[PR]
by zhimuqing | 2017-05-07 00:28 | La Sombra Del Viento | Comments(0)

音楽本2冊

都内某DUで音楽本2冊購入。

e0147206_10534098.jpg
「失点・イン・ザ・パーク」はラッパーECDの半自伝的なエッセイ。レコード会社との契約がなくなり、恋人ともうまくいかなくなり、アルコールに溺れ、最後にアル中になり入院していく様子が淡々と描かれているのに、なぜか読後感が温かいのがとても不思議。中島らものアル中物ともまた違う肌ざわり。ECDの音楽自体はほとんど聴いたことがないが、ECDの本はもう少しいろいろ読んでみたいなと思わせる出来。と、ここまで書いて思い出したのだが、ECDのライブ観たことありますね、私。90年春(ということはなんと今から27年前!)、福岡にKRS-ONEが来た時の前座で。スティービー・ワンダーの瞳に乾杯、とシャウトしていたけど、当時の私にはピンとこなかった記憶が。今聴くとまた違うかもね。
e0147206_10554020.jpg
昔のミュージクマガジンでのECDの論評は鋭かったですね。特に、泉山真奈美やバブルガムブラザーズに対する的確な批評なんかね。

もう一冊は鷺巣詩郎のBMRでの連載をまとめた「執筆録 其の一」。立ち読みしていて、止まらなくなり、購入してしまう。BMRに連載されていた時は流し読みしていたのだが、連載から15年以上経ち、機材の事も多少、いや違うな微小だな、聞きかじり、バンドでレコーディングなんかもやってみた今読んでみると、これが相当面白い。ちなみに今回の本を買うまでずっと鷲巣詩郎と思い込んでいたのは秘密。
e0147206_1112776.jpg
スタジオでの作業での経験や所感がイキイキとした筆致で描かれている。当時の音源制作の記録としても一級品だと思うし、プロ中のプロが語る内容は文句なしに勉強にもなるが、なにより音楽への愛情が随所で文章から零れ落ちるのがいい。時間がたっているので、欄外につけている注釈もよい。問題は鷺巣詩郎の作ってきた音楽をほとんど聴いたことがない、いや聴いているのだろうけど、どれか分からないことでしょうか。続編もすぐ出るそうなので、これも相当楽しみです。というか、BMRの連載を単行本化する試み、願わくはJAMこと細田日出夫のあの濃厚な連載こそを!
[PR]
by zhimuqing | 2017-05-04 00:28 | La Sombra Del Viento | Comments(0)

ソロモンの偽証

本当に遅ればせながら「ソロモンの偽証」を読了。
(古本屋で格安になるのを狙っていたのだ)
e0147206_0544583.jpg
出張先のタイでの仕事が終わった先週金曜の夜から
読み始めたのですね。
読み始めると止まらなくなってしまい、
仕事に支障が出るのは分かりきっていたのでね。
結果、貪るように読みました。
分量が分量なので平日に持ち越した結果、
案の定、今週の前半は寝不足に。

名作だと確信していたけど、やはり引き込まれますね。
過去様々な形で描いてきた現代社会の影を集大成したような大作。
最近の小説同様、純粋なミステリーではありません。
というより、もう宮部みゆきは謎解きをストレートに書く気はないはず。
もちろん謎解きとして読んでも楽しめますけどね。
文庫本6冊、正確には5.5冊ですが、の分量を使って
人の心の奥に潜む影、それに向き合わざるを得ない人々の葛藤、
そして、その影を突き抜ける人の温かさと優しさを描いたもの。
更には少年たちの成長も合わせて描くと。
e0147206_055978.jpg
この心の葛藤や強さを描こうとしていたと思うので、
ちょっと荒唐無稽な感のある中学生による裁判という形を
取ったのだろうな、と。
どうやら後半の裁判の描写、賛否両論のようですが、
私はここでのやり取りに痺れました。
やはりこの人は性善説を信じたい人だな、と。
ケストナーの飛ぶ小説からの引用を見たときは!!と思ったのですが、
解説にも書かれてあって、なぜか残念な気持ちにも。

そうそう、この本の事前の情報をあえてシャットダウンしていたので、
文庫本の最後に後日談的な短編が2本入っているのに驚きましたが、
が、これはやや中途半端かな。
流石に本編と比べるのは無理もあるのですけどね。
ということで、大満足の1冊というか6冊です。
e0147206_0552514.jpg
ちなみに私が読みふけっているのを見て、
娘が面白そうと言って、現在1巻目を読んでいる模様。
面白いか?と聞くと、面白いと答える。
きちんと確認していないけど、藤野涼子が気にいっている模様。
どこまでこの小説の機微が分かるかどうかは分からないし、
小学4年生には少しハードかなと思いつつも、
ま、やっぱり子供と共有できるのは嬉しいですね、はい。
(裁判の場面、頑張って読めるかな?)
[PR]
by zhimuqing | 2016-11-17 17:39 | La Sombra Del Viento | Comments(0)

思わず小躍り!

大阪に行っている間は家に来る新聞をためてもらい、
帰ってきてからまとめて読むのですが、
東京新聞の水曜の夕刊をみて、小躍りしましたよ。

宮部みゆきさん作
三島屋変調百物語 あやかし草紙
連載開始に寄せて


e0147206_083066.jpg
こ、これは名作ばかりの宮部みゆきの江戸ものでも
1,2を争う大傑作シリーズ。
おちかの三島屋シリーズは井筒平四郎のぼんくらシリーズと
双璧をなす私の大好きな名作シリーズですよ!
それが日々の夕刊の連載で読める幸せ。
おちかとおしまとお勝と青野先生と新太の活躍が
毎日のように楽しめるとは!
嬉しすぎます!

このシリーズ、なんといっても2作目の大傑作「あんじゅう」に
とどめを刺しますが、今回のあやかし草紙は記事を読むと
シリーズ第5作目だそう。
4作目の「迷いの旅籠」はまだ書籍化されていない、とのこと。

ン、待てよ、ということは3作目は書籍化されているということ?
調べてみたら「泣き童子」、文庫化されていますね。
明日朝いちばんで買いに行きます!
それにしても連載、楽しみすぎます!
[PR]
by zhimuqing | 2016-11-04 00:08 | La Sombra Del Viento | Comments(0)