スケールのデカさは島随一

スタイルとして完成された音楽を好む人も多いのでしょうが、完熟後の音よりもそれ以前の音、試行錯誤している時代の音のほうに面白みを感じる人も結構いると思うのですが、どうでしょう?私は完全に後者。ソウルやファンクもラテンもヒップホップもジャズも完熟一歩手前の音こそが面白い。雑味が入っている方が旨味を感じるということだと思うし、横綱の相撲よりも横綱昇進をかけた大関の相撲のほうが面白いということでもあります。

ということで、ジャメイカ音楽も完熟した70年代後半よりも、60年代後半から70年代半ば。アビシニアンズよりもカールトン&ザ・シューズ、フレディー・マクレガーよりもアルトン・エリスのほうを聴く比率が大きくなるのですね。どちらが素晴らしいという話ではなく、単なる個人の好みとして。例外はグレゴリー・アイザックスぐらいでしょうか。

ということで、デニス・ブラウン。この人も長らく私の中では難しかった人。レゲエ聴き始めの頃に聴いたライブ盤がピンと来なかったこと、私がレゲエを聴き始めた90年代半ばには全盛期が過ぎていたこと、それでもアルバムは粗製濫造されていたこと。重く引きずった歌唱方法に気後れしたこと。昔の有名盤はプレミアがついていて入手しづらかったこと。様々な要素が重なって、割と疎遠な関係でいたのでした。
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とはいえ、名歌手がゴロゴロいるジャメイカの中でも確実に5本の指に入る実力派。積極的に聴かなくても自然と耳に入ってくるもの。特に70年代後半のデニス・ブラウンの充実度は流石としか言いようがないもの。どれも優劣が簡単に付けられるものではなく、そこにあるのは収録曲に対する個人的な好みがあるのみ。そういう意味で、私の中でのベストはやっぱり≪Words of Wisdom≫ですね、今のところ。
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レヴォリューショナリーズ(ジョー・ギブス録音なのでプロフェッショナルズ名義ですね)中心の面々の演奏は100点満点、充実期を迎えていたジョー・ギブスの曲作り、冴えわたるエロール・トンプソンの卓裁き、完璧な三位一体。そのうえでジャメイカの香りがプンプン香るデニス。圧倒的にスケールのデカい歌は説得力に満ち溢れていてあまりにも素晴らしい。

全12曲、うち1曲はジョニー・テイラーというよりこの場合はアルトン・エリスのあの名曲“Ain’t That Loving You”ですが、残り11曲がそれを凌駕するほどの名曲揃い。この1枚あれば梅雨が明けた関東の蒸し暑さをさらに上回る濃厚な歌でジャメイカの熱帯夜の気分も味わえるというものです。ロッカーズな感じの推進力のある演奏のほうがデニスの歌のグルーヴとの相乗効果が出てくる気がするので、私が好きなのはやはり “Drifter”、“Should I”に“Words Of Wisdom "。

とまあ、そんなわけでデニス・ブラウン。苦手意識はなくなってきた今日この頃なのですが、このアルバムは編めば噛むほど味が出てくるスルメ盤。手元にあるデニス・ブラウンのアルバムは4枚しかないので、いろいろ探しに行きたい気持ちもあるのですが、手ごろな再発盤はあまり見当たらず、なかなか手が出ないのもまた事実。ま、気長に探しましょ。
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by zhimuqing | 2018-06-30 00:28 | Open the gate | Comments(0)
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