ケン・リュウ!

先日、元同僚の友人S氏と夕食を食べに行ったのですが、聡明という言葉が一番ふさわしいS氏とは話が合う部分も多く刺激的。宮部みゆき、カズオ・イシグロからミャンマーの民族問題、プーチンに至るんで会話が弾む相手というのは本当に貴重です。ちなみにS氏にカズオ・イシグロを紹介したのは実は私なのですが、そうやって紹介した本に対する感想を予想外の深さで打ち返してくるところがなかなか素晴らしいのです。

それはさておき、暇つぶしで入った本屋でふと目に留まった文庫本。少し読み始めると止まらなくなり、ほぼ立ち読みしながらレジに向かって、そのまま二宮尊徳状態で読み続けた本「紙の動物園」。
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不覚にも初めて知った作家ケン・リュウ。中国名、劉宇昆。中国系アメリカ人。冒頭の「紙の動物園」で私は完全にノックアウトです。淡々とした筆致の中にある滋味にあふれる味わい。この短編集に収められている7編はどれも素晴らしいものですが、「紙の動物園」、「結縄」と「月へ」、そして最後を締めくくる「文字占い師」の印象が強烈です。どれも中国というかアジアの奥に流れる豊かな水脈を感じさせる一方で、スケールの大きさがまた格別。

慌てて調べてみると、短編集の文庫がもう一冊出版されている。「もののあはれ」。当然の助動詞べしで購入。もったいないからこれも丁寧に読むよう留意。SF度はこちらの方が高めですね。いきなり久留米が舞台の「もののあはれ」で興奮する福岡出身の私。(もっとも久留米とはほとんど縁がなかったのですが)こちらでのお気に入りは中国怪奇小説っぽい「良い狩りを」ですね。シンギュライティーをテーマに人の業の深みを探る2作品も面白いけど、やはりアジア色が強いほうが私の好みですね。なもんで、この2冊だと「紙の動物園」かな、やっぱり。
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あと調べてみると、「母の記憶に」がハヤカワから出版されている模様。これも早々に読みたいところですが、いかんせん読んでいない本の在庫が結構増えてきているので、まずはその消化からですね。そうそう、ダニー・ハザウェイのLPを友人に配って歩いたというキャロル・キングのひそみに倣って、「紙の動物園」は冒頭で登場したS氏へ進呈しました。感想が大変楽しみなのであります!
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原著も頑張って読んでみた方が良い気がする!
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by zhimuqing | 2018-06-18 00:28 | La Sombra Del Viento | Comments(0)
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