老舗の安定感!

テンプテーションズ、久しぶりの新作。多分8年ぶり、もしかして50枚目?のアルバム。
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リーダーのオーティスは健在ですが、要のメルヴィンが95年に亡くなり、みんな大好きアリオリが97年にグループを去ってからは、どうしても別のグループという感じがしてしまうテムプス。リチャード・ストリートもその前にいなくなっているし。グループの魅力はリードのみにあらずというオーティス・ウィリアムズの言い分も分からなくもないし、それでもしぶとく活動を続けるオーティスに敬意も感じますけど、ファンの心理としてはなかなか厳しいものがあるのです、はい。

なもんで、直近5枚のうち3枚はまだ入手していない私にとって、久しぶりの新作。メンバーは知らない間にまあ結構変わっていて、バーリントン・ヘンダーソンもハリー・マクベルギリーもいなくなっています。でも、御大オーティスとロン・タイスンは健在。アリオリの代わりに加入したテリー・ウィークスも健在。ウィークスとヘンダーソンの実力派ツインはなかなかいい味を出していたので若干もったいない気もしますが、持ち味が近かったので5人の対比で聴かせたいテムプスとしては仕方ないのかも。代わりに加入したのは元タワー・オブ・パワーのラリー・ブラッグス。(タワー・オブ・パワーは苦手なので、ボーカリストの変遷は全く分かりませんが)
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新規メンバーが加わったとはいえ、オーティスはあくまでも裏方だし、ロン・タイスンはファルセット、マクベルギリーに変わって加入したウィリー・グリーンがベースヴォーカルなので、メインのリードはテリー・ウィークスとブラッグス。5人の声がある程度聴き分けられてこそのテムプス。一安心?です。

メンバーは変わったとはいえ、グリーンのベースヴォーカルをしっかり活かした(全曲ではありませんが)ヴォーカルアンサンブルは確かに老舗の味わいがあって安心感がありますね。
その土台の上にリードがしっかりと気張る、リードは曲によって、あるいは曲の中で入れ替わるというのもまたいつもの通り。本家テムプスの看板を掲げている以上、絶対に譲れない(譲ってもらっては困る)部分です。
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大半のリードを取るのはおそらくテリー・ウィークスですが、ややジョニー・ギルにも似た声質だったことを久しぶりに思い出す私。力の抜き差しが絶妙だし、シャウトからファルセットに移行する技(あまり出してくれないけど)にも盛り上がります。ラリー・ブラッグスらしき声もまたなかなかで、この二人の対比はもう少しじっくりと熟成させてみたい感じです。古顔のロン・タイスンはずいぶんと声の艶が失われてきて、すぐには誰か分からない感じ。もっともテムプスに加入して33年!その前のラブ・コミッティーの前身エシックスでデビューしたのが1966年ですから、衰えが早いと言われているファルセッターの中では恐るべき息の長さだし、また別の魅力が出てきそうとも思っております。

曲は全部で10曲、カバー多数。マイコーとマックスウェル、ブルーノ・マーズ、サム・スミスの曲が入っているのが売り文句です。もっともサム・スミス日手は全く知らない私。ですが、曲を厳選したのでしょう、スロー5連発の前半はかなり聴きもの。分厚いハーモニー、酸いも甘いも嚙み分けたリード、オーソドックスな落ち着いたバック。正直目新しさはありませんが、最近めっきり聴くことが出来なくなった味わいです。これを老舗の味わいと捉えるか、古臭いと捉えるかは人によって分かれそうですが。、私は言うまでもなく前者です。脈々と引き継がれていく伝統。

ほぼどの曲も聴きものですが、アップはやや厳しいか。“Remember the Time”はリズムの切れが90年代の解釈からあまり変わっていないのがもったいないし、ラストの“Move Them Britches”のせっかくのブギー流行りなんだから、もう少しカッコよく出来そうな感じはありますが、そうは言ってもオーティスは1941年生まれですからね、贅沢を言ってはいかんということです。ただ、ドゥーワップ時代から一線で生き残ってきたオーティスだから生み出せるコーラスワークというものがあるのは間違いないし、例えばブギーもののリズムのアレンジをデイム・ファンクに任せるとか、懐古趣味を全面に打ち出しつつ指揮をサディークに任せるとか、そういう試みを試してみてもいいのではないかとも思うのですね。だって、それがテムプスだから。
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この時も
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この時も
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この時もね。

ということで、甘めの点数かもしれませんが、個人的には満足な一枚。それだけオーソドックスな歌ものに飢えているのかもしれませんね。特にテリー・ウィークスの歌の良さを再認識したので、過去作ももうちょっと丁寧に聴いてみなければいかん!と思った次第。でもね、一つだけ言わせてもらうと、クレジットにデニスやリチャードやアリオリへの一言があってもいいんじゃない、オーティス?という気持ちも。そこだけはやっぱり残念。
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by zhimuqing | 2018-06-10 15:50 | Funkentelechy | Comments(0)
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