世の中にギタリストのコンビは星の数ほどありますが、私の好きなジャンルではあまりないのですね。むしろ単品?で目立つ人が多いというか。JBではジミー・ノーランともう一人いますが、結構メンツは変わるし、ノーランほどキャラもたっていない。Pファンクでは、エディとハンプトンは基本的にかぶらないし、シャイダーやグレンはむしろシンガー。あえて言うと、ブラックバードとハンプトン、でもブラックバードがいるとハンプトンはあまり目立たないし。プリンスだとデスとかウェンディとかミコとかリーヴァイの名前が上がりますが、あくまでも主役を支える人。スライとフレディーも多分同じ関係ですよね。
二人のキャラが立ちまくっているコンビとして、さっと思いつく中では、カーティス・メイフィールドとクレイグ・マクマレン、ディアンジェロでのジェシとシャーキー、リン・テイトとハックス・ブラウン、アフリカ70の皆さん、ハウンドドッグ・テイラーとブリューワー・フィリップス、そして忘れてならないレジー・ルーカスとピート・コージー。
ルーカスとコージーのコンビはワイルドネスもさることながら、何よりも二人のスタイルの対比から生まれる緊張感が素晴らしい。無尽蔵に聴き手のイマジネーションを煽る音。当時のマイルスのバンドは人類史上屈指のファンクネスを誇るバンドだと思いますが、それもこの二人の作り出す音があってこそ。二人のキャラ(ルックス)も立っていたけど、音のキャラもやっぱり負けていない。特にルーカスのぐにゃぐにゃしたカッティングの貢献度は過小評価されている気がしてなりません。
このバンド、生で見たかった!
マイルスの元を離れたルーカスは元同僚のジェイムズ・エムトゥーメイとプロデューサーチームを結成するわけですが、この時期は結構正当に評価されているかと。後追いだった私はこの二人の作り出す魅力に結構時間がかかったものです。マイルス時代に比べて全然ファンキーじゃないし、日和ったんじゃないかと。歌い手の実力を存分に引き出す曲作りと強靭なグルーヴ。フィリス・ハイマンもステファニー・ミルズもこのチームと組んだ時が一番かっこよかったかと。フィリーの音とはまた違う熱を引き出したテディ・ペンとのコラボがもっと聴きたかったのは私だけではないはず。
フィリス・ハイマンとの“You Know How To Love Me”、ステファニー・ミルズの“Wht Cha Gonna Do With My Lovin’”、マーク・サダーン “One Minutes From Love”あたりでしょうか。もちろんエムトゥーメイでの数々の名曲も捨てがたいし、上ほど触れたテディ・ペンとミルズとのデュエットも本当に素晴らしい。
マドンナでのブレイクで方向が変わってしまったのは少し残念かな。お金が入ったのはお勝ったとは思いますが。80年代半ばの殺伐としたソウル・ファンクでの音に対してだって、この人なら十二分にソウルを込めることが出来たと思うし、マイルス時代のあの音作りが復活する可能性だってあったと妄想は広がるわけですが、それもまた一つの人生。残してくれた見事な音楽をありがたく味わい続けていけるだけでも我々は幸せなものです。ありがとうございました。安らかにお休みください。