簡潔にいうと天才になっちゃいますけどね

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ポイントの置き所を間違えるとなかなか細胞に浸透しないものだ。ということで、今年前半の話題作だったクリス・デイヴ&ザ・ドラムヘッズの初フィジカル作。Drumhedzにはパラディーノとアイザイア・シャーキーも参加ということで、私も当然コーフンして購入したわけですが、どうしても求めてしまうのは例えば≪Black Messiah≫だったり≪BLACKsummer’s night≫。なもんで、強烈な主役不在でなんだか取っ散らかっている印象を受けたこと、ピノ+シャーキーとの鉄壁のリズム・セクションがもうちょっと聴きたかったこと、更には私が購入したLPのD面にダメージがあってどうしても音が飛んでしまうという不運が重なって、もう一つ素直に楽しめなかったのです。

とはいえ、そこはクリス・デイヴ。耳へのひっかかり成分は豊富なので、繰り返し聞いてしまいます。そのうち大事なことに気が付きました。稀代の名ドラマーが満を持して、ためにためて出したリーダー作、音像の引力や重力の向かう先はすべてドラムにあるわけです。主役はクリス・デイヴ、そこを取り違えると入り口を間違えてしまう。全体を全体として味わう事は当然だとしても。思えば、マイルスやカークだって総体としてもの凄い音楽を作っていたわけですが、中心に輝くのはリーダーである自分。特にマイルスなんていかに自分をカッコよく見(魅)せるか?に注力していたフシもあるわけです。ヒップホップのレジェンドだって同じ姿勢。そしてクリス・デイヴはジャズとヒップホップの両方を高い次元で体現しているアーティスト。
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能書きはさておき、ドラムに集中して聴くとこれほど痛快な音楽はないでしょう。卓越したテクニックで独創的な音とリズムで音楽全体をプッシュする。卓越したテクニックといっても、決して独りよがりな技の見せびらかしになることは全くない。グルーヴの切れ目、というか、細胞と細胞の分かれ目が見えているので、細胞を押しつぶさずにグルーヴを自在に切り開くことが出来るようなそんなイメージ。

1曲の中でも解釈をどんどん変えていくので、いきなり異空間に紛れ込んでしまったかのように錯覚させられる。それでいてぶっとい柱として揺るがないファンキーなリズム。正しくジャズであり、正しくダブでもあり、また紛れもないヒップホップでもあります。気持ちが良くて、かっこよくて、他の追随を許さず、でも何故か笑えるというという絶妙なバランス。天性のタレントが鍛錬によってさらに自由な境地を切り開いたということですね。ま、ごちゃごちゃ書いてますけど、一言でまとめると「天才」で済んでしまうのが天才たる所以。
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過去の共演者に声をかければ、星の数ほどビッグネームを呼ぶことが出来たと思いますが(ドラムマガジン2月号の特集を見よ!)、敢えてそうせずに自分の音を作ることに専念したように思えるのもポイント高い。もっとも解釈をうまく咀嚼して乗りこなせる人は多分そんなに多くないわけで、常連のビラルやシャフィーク・フセインやキーヨン・ハロルド、アンダーソン・パックとかその辺のミュージシャンを選んだのも大いに納得。アンダーソン・パックやビラルとは本当にばっちり合うのだ。一方でこっそりワーワー・ワトスンの名前なんかもありますのも嬉しい。アンナ・ワイズも良いと思いましたが、トウィートかな、やっぱり。

とりあえず現時点ではほぼ全曲お気に入り。5月には来日公演ありますね。ピノ・パラディーノは来ないけど、アイザイア・シャーキーは来るし、やっぱり観に行っておいた方がいいのかもね。しかし先立つものが…。うーむ。
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by zhimuqing | 2018-04-09 00:28 | Funkentelechy | Comments(0)
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