人気ブログランキング | 話題のタグを見る

現時点での最高傑作かと

シェウン・クティの新作≪Black Times≫。現時点でのシェウン・クティの最高傑作でしょう、これは。過去のアルバムもシェウンの勢いに溢れた音でしたが、やや性急な感じが強かったのに対して、新作には勢いは変わらず、しかも余裕も感じさせるのが素晴らしい。
現時点での最高傑作かと_e0147206_11038100.jpg
冒頭からアッパーな曲が続いて盛り上がります。ドラマーがAjayi AdebiyiからShinan Abiodunに変わった模様ですが、トルクの強い、バネの効いたドラミングが実に素晴らしい。ループ感が強いドラミング。曲の展開に応じて手数が増えますが、あくまでも曲の展開、シュウンの声に寄り添っているので煩くならないのもポイントが高いです。世の中に溢れるアフロビートのバンドはBPMが早くなると、割と四つ打ちに近づいてしまい、旨味が減ってしまうことが多いのですが、そこも軽々とクリアー。現時点での私のベストはユーモアも感じさせる“Kuku Kee Me”か“Bad Man Lighter”かな。

バンドメンバーで抜けているのはドラムのAjayi Adebiyi とキーボードのLekan Animashaun。Adebiyiは80年代後半から、Animashaunはなんとクーラ・ロビトス時代からのバンドメンバー。さすがに高齢で引退したのでしょう。それでも来日公演のメンバーでもあったベースのKunle Justice、ギターのObanyedoも80年代後半からのエジプト80のメンバー。メンバーは少しずつ入れ替わり、若返っていっても一体感は変わらないのはなかなか理想的なバンドの状態かと。ちなみに癖になる転がるギター、リードギターがDavid Obamyedo、リズムギターがOluwagbemiga Aladeということですが、名前の読み方が分からないのと同じように、どちらがリードでどちらがリズムギターなのか、正直私には判別がつきません。今後の研究を待つとしましょう。

流石にシェウン・クティには父親のような老獪なしぶとさはないので、メッセージを前面に押し出した “African Dreams”のようなミディアムな曲では少しメリハリに欠ける気がします。でもそれは仕方ないですよね。フェラ・クティよりも押しの強い人類が過去どれだけいたのか?と言う話ですから。もっとも最新のライブ映像を見ると、恐竜の子孫のような姿と相まって、もう十二分にカッコよくて文句なしなのも事実。その辺の迫力が更なる「押し」を音像に加えるのはもう少し後なのかもしれませんし、そうでないところがシェウン・クティの個性であり時間をかけて別の方向に花開いていくのかもしれません。



こちらは最新のライブ映像。コーラス/ダンスの女性一人なのは少し寂しいというか、やっぱり二人は欲しいところではあります。

ゲストは1曲目の鍵盤で前作に引き続きロバート・グラスパー、2曲目は全編にサンタナがギター・ソロを弾くというものですが、正直言うと、両者ともそんなに印象に残らないかも。でも、それはシェウン・クティ&エジプト80というバンドとしての音の勢いが溢れているため。それはそれで全然OK。ということで、やっぱり観たくなるのはライブ。早いところ再来日してほしいものです!
現時点での最高傑作かと_e0147206_10543253.jpg
早くも我が家にもシェウンさん降臨。キッチンにて。
現時点での最高傑作かと_e0147206_10544947.jpg
ベースも弾いてみる。
by zhimuqing | 2018-04-04 00:28 | Funkentelechy | Comments(0)
<< タイ 新店でもよろしく! >>