トニー・アレンの新作は何とブルーノートから。これもLPで欲しかったので、色々調べてドイツから購入。(私が購入した後、一気に値段が上がりました。危なかった)
参加ミュージシャンはトニー・アレンの最近のバンドメンバーが主体なのですが、ほとんどがフランス在住の人なんで、私には馴染みのない面々。その中ではホーンセクションはなかなかの好印象。特にトロンボーンとチューバのダニエル・ジマーマンとトランぺットのニコラ・ジロー(って読み方でいいのかな?)のべらんめえ調的な吹きっぷりが特に私の好みですね。
アフロビートとして聴くと、ちょっと生真面目すぎてユーモアに欠けている感じもありますが、バラエティーに富んだ曲調、素晴らしく生々しい録音、そして変幻自在なドラミングが全編楽しめるという、トニー・アレン好きにはたまらないアルバムですね。フェラ・クティの元を離れて以降では多分一番の傑作だと思います。
でも人によっては、欠点とされる部分もあるかもしれません。ブルーノートからのアルバムという事もあり、トニー・アレンも自分が元々好きであったであろうジャズを存分に意識しているのは間違いありません。が、いかんせんアレンの自在なフレージングが面白すぎて、ソロイストの演奏が耳に入ってこないのです。気が付くと、耳が必死にトニー・アレンのドラムだけを追ってしまっているという状態。際立った別嬪さん、あるいは男前が一人だけいて、他の人の印象が全くなくなってしまう合コンのようなもの?ま、合コンなんてオッサンにはもう縁のないものなので、うっすらとした記憶ですが。で、その自由な演奏に聞き惚れてしまい、アルバム一枚聴きとおすと耳が少し疲れてしまう感がない訳でもない。
ドラマーのソロ・アルバムなのでドラムが目立ちまくっていいではないか?という考えがある一方、いやジャズなのでソロイストを引き立ててなんぼのもん!という考えもあるでしょう。ま、はっきり言いまして、でもフェラ・クティもローランド・カークもジェイムズ・ブラウンもミシェル・ンデゲオチェロもプリンスもバンドメンバーが見えなくなるぐらいみんな目立ちまくっているよね!ということで、私は圧倒的に前者なのであります。正しく親分譲りということでもありますね。そもそもこのアルバムがどれだけのジャズ好きな人に届くかな?ということもあるんですけどね。
ということで、満足すぎるこの出来。やはり生でまた観たいということと、あとはやっぱりフェラ・クティのような強烈な存在感を持つフロントマンのバックで暴れるトニー・アレンも聴いてみたいよね!という話になるのですが、それは日本のみならず世界中で一致した意見だと思うので、何とかしてほしいというより他はないのであります。