立野 淳也『ヴードゥー教の世界―ハイチの歴史と神々』を読了。
音楽評論家(というか研究家、探究者?)の深沢美樹さん曰く、
「入門用にも本格派にもお薦め」とのことで購入。
ハイチの歴史や昔のベナンであるダホメ王国の宗教等が
非常に分かりやすくまとめられていて、とても面白い。
もちろん知っていることも多いのですが、
文化としてのヴードゥーの中にある諸々が私の好きな他のことに
おそらく無意識にだろうけど結びついていることに気づかされて、
なかなか興奮しました。
ダホメ王国の国旗には燃えますね。
歴史は血の色に染まっていますけど。
面白い内容ばかりなので読んでもらったほうが早いのだけど、
例えばロア(精霊)に憑依された信者は「ロアそのもの」なので
偉い役人を馬鹿にしても問題にならない、どころか
権威を積極的に馬鹿にしているフシもあるというのは、
カリプソのピコンそのものだし、もっというと、
スライとかジョージ・クリントンとかのシニカルな視線や
ヒップホップのライムにそのまま直結するものだな、とか。
最も有名なヴードゥー・クイーンのマリー・ラヴォーが
仕草や呪文で自分を逮捕しに来た警官を玄関先でクルクル回らせたり、
眠らさせたりと、自由自在に操ったという伝説を読むと
フォースを使うジェダイを思い出さずにいられないし、
蛇に象徴される世界創世に関わるロアであるダンバラーは
その皮膚の下に永遠の生命の泉を持っているというのは、
エンデの果てしない物語のアウリンの描写とそっくりでもありますね。
ああ、アウリンが欲しい!
ああ、フォースが使えるようになりたい!
人は善とともに悪からも出来ており、このどちらでもなくなることは
ゾンビになることを意味しているというのは、
ゲド戦記に通じるテーマであるとともに、
簡単に善悪に物事を単純化してしまう昨今の社会について
警鐘を鳴らしているようにも思えますね。
もちろんこれらが全て直接ヴードゥーに繋がっているとは思いませんが、
大昔から今に至るまで、人が自由に想像したり空想したりする中に
知らず知らず繋がっている地下水脈のようなものを感じさせて
興味が大きく広がっていくところであります。
そうかそうか、ゾンビになって踊っているアメリカ人に
心を持っていかれたのもそういう理由か?と、
ここで話は一気に矮小化してしまうのですが、
まあそういうわけで折に触れ読み返してみたい本であるとともに、
もっとこの辺りの話は掘り下げてみる必要があるな、と
思うのであります。
まずは深沢美樹さんレコメンの本を色々漁ってみることにしましょう。
でも、先にニューオリンズのフードゥーのグリグリ関連の詳細を
知りたいのですけどね。
どこかにないのか、その系統の本!
ま、グリグリというとこの本ですけどね。
ああ、グリグリが使える人になりたいものだ。