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ブラウン姓、多いけど。

ブラウンという姓を持つ人間はみなこの業界で成功するのだ、
見てみろ、チャールズ、ボビー、そして私、ジェイムズ・ブラウン!
とは
かつてJBが語ったといわれる名言(真偽のほどは定かでない)。
まあ、エンターテイメントに挑戦した歴代のブラウンさんの中で
名前を残したのは砂漠の中の砂粒ぐらいだろうとも思うのですが、
確かにブラウン姓、見渡してみると、山ほどいるのも事実。
もっとも現在の米国における黒人の姓のベスト5は、
ジョンソン、ブラウン、スミス、ジョーンズ、ウィリアムズらしいので、
まあそれも当たり前といえば、当たり前なんですけどね。

ブラウン姓の有名どころをざっと見ると、

ジェイムズ・ブラウン
16歳で窃盗の罪で逮捕され3年服役
1988年警察とのカーチェイスを行い2年間服役

ボビー・ブラウン
92年ホイットニー・ヒューストンと結婚。
結婚後、妻へのDVや度重なる犯罪、不祥事等によりファンの支持を失う

クリス・ブラウン
2009年恋人で歌手のリアーナへの暴行事件にて逮捕、起訴されるも、
保釈金5万ドルを支払い保釈。

うーん、恣意的に過ぎますね。いかんいかん。本気を出そう。

ジェイムズ・ブラウン:言わずと知れたゴッドファーザー・オブ・ソウル
ボビー・ブラウン:高校生の頃の私と(特に)中学生の頃の弟のヒーロー
チャック・ブラウン:DCのゴーゴーのゴッドファーザー
クリフォード・ブラウン:夭折した天才トランぺッター
チャールズ・ブラウン:レイ・チャールズにも影響大のメロウピアニスト
ルース・ブラウン:ミス・リズム、ラキムの叔母でもある
レイ・ブラウン:言わずと知れたジャズベースの神
マキシン・ブラウン:小股の切れ上がった60年代ソウルの華
シャーリー・ブラウン:80年代以降のサザンソウル屈指の歌姫
スリーピー・ブラウン:オーガナイズド・ノイズの司令塔(の一人)


うーむ、思っていたほどたくさんは思いつきませんでしたが、
さすがのメンツ、濃縮還元ジュースの還元していない感がありますな。
ということで、長々と前置きを書いてしまいましたが、
今日の本題はこの人、クラレンス・ゲイトマウス・ブラウン!!!
日本一のブルースマン、吾妻さんが怒られたことでも有名ですね。
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上に挙げたブラウン諸先輩も結構悪そうな(これはいい意味)顔ぶれですが、
この人も全く負けていません。
偉人変人奇人(この辺も良い意味です)ブルース界に広しといえど、
これほど粋でタフで不良でカッコいい人はいません。
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ゲイトマウスは亡くなる直前まで常にかっこよかったのですが、
最初期のピーコックへの録音はきちんとまとめられたことがなく、
12曲入りのCDで我慢するしかなく、ブート臭い他のCDも
ノイズが凄かったりで、なかなか楽しめない状況が続いていたのですが、
私の知らない間に決定盤が出ていましたよ。
怒涛のリリースをひそかに続けるクリンク・レコードから。
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もうね、音がこれまでのCDに比べると圧倒的に良い!
29曲入って2160円、芽瑠璃堂で買えば1836円。
2枚組にしてピーコック録音を網羅してほしかった気もしますが、
でもこの価格でこの音質でこの値段、文句を言ったら罰が当たりますね。

ギターに関して言うと、晩年のほうが頓智の利かせ具合が上かもしれないが、
なんといっても若さ溢れるワイルドなプレイはやはりこの時期ならでは。
竜巻とか旋風とかそういう形容詞しか思いつかないのは
私の語彙が貧弱なせいですが、49年~59年の録音でこの暴れっぷりは
やはり物凄いのではないか、と。
あとは歌の荒っぽさがカッコいい。
後年のにじみ出る大人の魅力も良いものですが、
こちらはギターの破壊力と相まって、それこそ全盛期のJBにも匹敵する
ギリギリと尖った殺気に満ち満ちていて、溜まりません。
饅頭怖いではないですけどね。

まあどの曲も必聴としか言いようがないですが、
私が今この瞬間好きなのは、ジャンプだったら”She Walks Right In”、
スローなブルースだったら”Dirty Work At The Crossroads”かな。
前者ではゲイトマウスのギターや歌もさることながら、
バンドの演奏の素晴らしさに唸るしかありませんね。
完璧なリズムセクション、特に跳ね回るピアノがいい、をバックに
サックスが咆哮した後に、満を持して登場する御大。
言葉もありません。

スローブルースの後者はもうゲイトマウスのギターに聴き惚れるのみ。
キュインキュインキュインと嘶く変なフレーズが特にカッコいいが、
溜めに溜めた後に高音でパキーンと決めてみたり、
3連とイーブンなリズムの間を行ったり来たりするフレージング、
どれも時代を考えると、いや考えなくても、猛烈にモダンで
鯔背で芸人魂にあふれていて、ため息しか出ません。

惜しむらくはこの時期、レコーディングではフィドルを
あまり弾かせてもらえなかったそうで、
今回のCDでもラストの”Just Before Dawn”しか入っていない。
もしガシガシと弾いていたら、ジャンプの歴史が変わった気もしますが
その辺は80年代から晩年まで続く2回目の黄金期のほうで
楽しめばいいので、まあいいか。
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それにしても、クリンクレコードはデューク/ピーコックの音源を
惜しみなく発売していて、こういうご時世、なかなか恐れ入りますね。
この勢いで、まずはゲイトマウスの第2弾完結編を、
そして願わくばボビー・ブランドの未発表曲集なんかを
出してもらえると嬉しいのですけどね。
(ブランドの未発表曲、私はあると睨んでいるのですけど、どうでしょう)
by zhimuqing | 2015-07-30 14:28 | Blues 4 Terapin | Comments(2)
Commented by hide at 2015-07-31 05:04 x
次回の来日はきっと!20年後か?後悔しそうなのでシュガー・ブラウンさん、行く事になりました。フェスは嫌なので18のzeppへ。
Commented by zhimuqing at 2015-07-31 05:11
>> hide兄さま

おはようございます!

まじっすか?会場で別の楽しみが出てきましたね。
鉢合わせするのは難しそうですが、なんとかタイミングを合わせましょう!
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