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ベタベタした追悼は似つかわしくない

『母さん、羽をもがれた蝶を見たことあるかい?』
『ないよ』
『まるでウジ虫とおなじだよ』


叛アメリカ史 赤人の国家と戦争 より

船戸与一の作品はある意味ワンパターンではあるが、
ワンパターン?ワンパターンになるまでやり尽くしたことがあるのか?
ロマンチックすぎる?ロマンチックで何が悪い?
綿密な取材と弱者への共感を持ちつつもベタつかない視線は
読む者の心を鼓舞する濃密なもので充たされていて
若い人に出来るだけ読んでもらいたいものでありますね。
地理や歴史の授業の副読本につけたいぐらい。
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初期から中期の作品はほとんど読んでいるが、
後期(残念ながら後期になってしまった)のものは手つかず。
もちろん全盛期は85年の『山猫の夏』から始まり、
91年『砂のクロニクル』、95年『蝦夷地別件』が頂点だと思うが、
2007年から今年にかけての『満州国演技』も傑作らしいので、
この辺も一回じっくりと読んでみないといけませんね。
でも3冊選べと言われると、やはりこの3冊だな。
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蝦夷地別件は単行本が出版された時に、
大学の恩師K教授(当時助教授)が突然ポンと買ってくれたので
大変驚いたものです。

番外編で豊浦志郎名義のルポルタージュ『叛アメリカ史』かな。
もっとルポルタージュも読んでみたかったけど、贅沢は言いますまい。
今だって狭い視野しかもっていない私ですが、
船戸与一を読んでいなかったら、もっと狭いままであったのは間違いない。
ありがとうございました。
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初めて読んだのは砂のクロニクル。
期せずして徹夜になったのもいい思い出だ。
by zhimuqing | 2015-04-24 00:28 | La Sombra Del Viento | Comments(0)
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