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センスの塊と野暮の極み

我が家の娘が九九の勉強をしているのだが、
6の段以降が割と難しいようなので、うまく手伝ってやろうと、
ボブ・ドロウの傑作「マルティプリテイション・ロック」を引っ張りだす。
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子供向けのテレビ教育番組「スクールハウスロック」のサントラ盤。
掛け算を覚えるための音楽をボブ・ドロウが楽しく仕立てたもの。
セサミ・ストリートなんかの凄いゲストを見ても思うのだけど、
勉強を楽しくやってみよう!という姿勢(というか心意気だな)には、
根性とか修行とかなんとか道みたいな話になりがちな日本と比べると、
アメリカの懐は深いなぁと感じて、こりゃ凄いなといつも思うわけです。
更に、その心意気をさりげなく楽しくポップに仕立てあげてしまうところに
改めて向こうのエンターテイメントの凄味を感じてしまうのであります。
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誰が聴いても、誰と聴いても楽しくなってしまう音楽。
当然のことながら、場所も選びません。
朝のラッシュアワーでオッサンに挟まれても、ばっちりです。
(自分もいい年をしたオッサンだが)

それにしてもボブ・ドロウの歌の軽妙なこと、ヒップという言葉が
一番しっくりくるものですが、一方でファンキーでもありますね。
音楽性は違うものの、ダン・ヒックス(この人はヒップ度がより高め)や
ポール・サイモン(この人はヒップよりもファンキーかな)にも共通する味わい。
本当に素晴らしいセンスの持ち主だ。ほれぼれとしてしまう。
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楽しいだけではなく、じっくり聴くといろいろな仕掛けがあり、
そういう意味でも楽しいアルバムですね。
ジャズをベースにしつつ、リズム面でも色々遊びがあり、
ゴスペルのリズムに変化してホーリーゴーストなピアノが散りばめられたり、
控えめなファンクを聴かせてみたりと、随所に工夫が凝らされていますね。
ドロウと相棒ビル・タカスの抜群のセンスがバシバシと惜しげもなく
注ぎ込まれている。
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このお顔も相当にいい感じだ!

歌詞は当然のことながら相当面白い。
現行の日本盤(1080円)には歌詞が付いているので、
対訳がないのが残念ですが、絶対のこちらが御買い得です。
とはいえ、これをかっこよく日本語に翻訳するのは至難の業。
一瞬自分でも出来るかもと思った私は野暮の極み、
結局子供の手伝いは出来ないまま、音楽を楽しむだけという有様ですが、
それはそれで正しい親としてのありかたかも。

そんなわけで、是非ともセンス抜群の人に翻訳をお願いしたいな、と。
我が家のムスメのみならず、全国の小学2年生に喜ばれると思うので、
そこのあなた、早急にお願いしますよ。

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今思うと、88年の時点でボブ・ドロウをサンプリングしていたのがデ・ラ・ソウル。
当時のデ・ラ・ソウルとプリンス・ポールはこれまたセンスの塊だったな、と。
by zhimuqing | 2014-12-02 08:28 | On The Corner | Comments(0)
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