吉祥寺のバウスシアターはその筋では大変有名な訳ですが、
関東に来て8年、千葉在住の私には映画を観に行くには
結構な距離なもんで、これまで足を延ばすことはなかったのですが、
閉館してしまうということで、全く残念なことですね。
中央線沿いに在住している人にとっては、
船橋のライブハウス「月」が無くなった時の船橋市民のような
そういう喪失感なんでしょうね。
その閉館を前に『Last Baus/ Last Live』が開催されているのですが、
アサカ兄さんから、ボ・ガンボスのトリビュートやるから行こうぜ!と
お誘いがかかり、ワンッ!ともう子犬の様に尻尾を振り振り吉祥寺まで。
なんといっても、イベント名が凄いですよ!
『映画、ブルース、ライブ、演劇、お笑い、プロレス、どんと、生、
無くして有り得ない、その場に居なくてごめんなさい』もう何が何やら、さっぱり分からない訳で、私のアンテナに引っかからないのも
当然のことですが、イベントの企画をした岡地さんすら、覚えていないイベント名。
音楽をやろう!とのことで、まあ実質的にはボ・ガンボ・ローザですね。
メンツはやっぱり凄い!
Dr. Kyon、玉城宏志、黒川修、小関純匡、岡地曙裕、長見順、吾妻光良、うつみようこ
Dr. Toshがいないのがチト、いや大いに残念だな、と開演前に考えていたのですが、
ステージに上がったメンツをみると、ベースにバンバンバザールの人がいる!
そうだった、あの人の名前は黒川さんだったと、ここでようやく思い出す私。
これが大正解でしたね。
私が思う日本最高のベイシストはDr. Toshなのですが、
あの大きなノリを出せる人、カリブ海系も押さえた人となると、
ほとんどいないのが現状で、ぶっとくおおらかな音を出す黒川修さんは
ベストの選択だなと、一曲目が始まった直後に実感。
ウッドベースでの演奏しか見たことが無かったけど、
エレキ(ギブソンのベースやったな)も黒くとぐろを巻く演奏で最高!
ベースがバッチリとなると、バックに控えるのは岡地さんなんで、
どう転がっても悪くなるはずもない。
うつみようこの鋼鉄の喉、Kyonのいつも素晴らしいピアノ、
ああ、もう何も他に要らないという気持ちになるのだが、
ゲストとして吾妻さんとマダムギターが加わるのだから、
まあ豪華すぎるということで、全く贅沢だ。ボ・ガンボスのイベントに出るときは、何故か吾妻さんはスライド率が高く、
この日もスライドが飛び出してそれだけでも嬉しいのだが、
スチールギターにストラップを付けて弾いているのは、
58兄さん以外では初めて見たな。
吾妻さんの弾く“夜のドライブ”はいつ観ても絶品だ。
ちなみにブルースの若大将ロバート・クレイが今年還暦だということで、
ブルース界の年の差を日本の芸能界にあてはめてみた小ネタが最高でしたね。
ロバート・クレイをAKBの前田敦子と同じ歳とすると、
BBキングが小泉今日子に当たるというのも驚きだったが、
その場合、和田アキコがロバート・ジョンソンになるという新ネタ。
この計算は他でも色々流用できそうなので、個人的にも研究を深める価値がありそう。
スミダ・ストリート・ジャズ・フェスティバルにも遂に登場するということで、
一部で評判のマダムギターも期待通りだな。
ボ・ガンボスの“一家離散の唱”を歌ってほしかったりもしたが、
その代わりに、“見返り不美人”の新バージョン、“見返ってください”を披露。
以前から女性バージョンあればいいのに、と思っていたので、
私は大変嬉しかったのだ。
それにしても、マダムギターや吾妻さんの一音で場の空気を変えるあのギター、
まったくもって素晴らしい。
とまあ、そんなことで、誘ってくれたアサカ兄さんと一緒に
兄さんが行きつけだという、吉祥寺の中華屋で冷やし中華を食べ、
色々音楽話なんかに花を咲かせ、さて帰るぞ!って時に、
財布と携帯が無いことに気が付く私。
慌てて、バウスシアターに戻ると、携帯は受け付けに、
財布は座席に挟まれていて、無事に手元に戻ってきましたよ。
あまりのことにヨメにも家族にも言えないでいる訳ですが、
まあ無事に戻って来たということで、これはドントとバウスシアターの精霊の
おかげではなかろうか、と考えてみるのも、また一興かと。