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うん、ゴツゴツや

初期のファンク・ブラーザーズに所属していたことでも知られる
ギタリストのデイヴ・ハミルトンはヴァイブも達者な人だが、
デトロイトでしぶとい活動を続けてきた人でもある。
近年、といってもちょっと前だが、ローカルなファンクやノーザン・ソウルの
再評価に伴い、イギリスを中心にその仕事振りが見直されているのだが、
モータウンの網からもれた実力派を中心としたその音源は
さすがの吸引力で、当然のごとく私もメロメロなのです。
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時代の変遷に従い、生粋のノーザン・ナムバー中心からファンクへ
その音作りも変わっていくのだが、本人が優秀なミュージシャンである上、
歌手を選ぶ耳もたしかだったのか、どの時代も説得力抜群。
もっとも当時デトロイトにいた歌手のレベル自体が
信じられないほど高かったこともあるのだろうけど。

ということで、このところ聴きこんでいるのは、このアルバム。
≪The Detroit Funk Vaults≫
69年以降のシングル曲を集めたアルバムだが、
ゴツゴツしたファンクが目白押し。
とはいえ、少し前に流行ったディープ・ファンクのコンピに比べると、
しっかりした曲と歌と演奏が多く、長く愛聴出来そうなのがうれしい。
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もちろんファンク45で発掘された曲も多い。
ビリー・ガーナーの"Brand New Girl"のインストなんかがその代表だが、
やはりハミルトン絡みとなると、目玉はO C TolbertとBarrino Brothersですよね。

O C Tolbertは2曲入っているが、"Love Bandit"のほうは
デモ的なややチープな演奏がもったいないが、歌は流石にディープ。
サザン・ソウルなマナーが全開する後半はもの凄い。
が、やはり"Hard Times"のほうが一枚上手かな。
いなたい、というかローカル臭満載のファンクなバックに
これぞ、デトロイト・ディープの見本とも言うべき歌いっぷり。
べらぼうに素晴らしい。
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バリノ・ブラザーズも2曲。これも素晴らしいのは当たり前。
歌い始めの力の込め方、リズムの凹凸に合わせた節回し、文句なし。
インヴィクタスでの録音がもちろん最高傑作であると認めるのは
やぶさかではないが、ハミルトンのゴツゴツした音作りのほうが
この歌い方にはあっている気がするのは私だけ。

この二組の実力が圧倒的だが、それ以外の中堅どころも悪くない。
実力こそOCなんかに負けるが、背伸びしてシャウトせずにいられない男気!
声のヴァリエーションがあるのも、うれしいところだ。
グループ名義だと、一つのグループにリードを取れる人が大体複数いるのもいい。
なかでは、熱い歌を聞かせるProphet & His Disciplesがお気に入り。
この人たちは他の曲ももっと聴いてみたい。

一方、女性陣は相対的に弱いかな。キュートにもハードにもなりきれていない。
(とはいえ、そういう立ち居地がまた可愛いともいえるのかもしれない)
そんな中では、丁寧にねちっこく歌うJackie Deeあたりがいいかな。
フェイザー効かせすぎたカッティングによく合っている。

ということで、デトロイトの深遠(深淵)は本当に深いのですが、
10年以上前だと完全に幻だったこの辺の音がこうやって簡単に聴けるところは
本当にありがたいことです。
少し前まで完全に謎のグループだったバリノ・ブラザーズのシングルが
こうやって普通に入手して楽しめるのだから、
もう発掘者の皆様には感謝しても仕切れないところですね。

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バリノ・ブラザーズがK-Ci & Jojoの伯父ということはもう有名だが、
ファンテイジアのファミリーネームはBarrinoだということはつい最近知った。
デイヴ・ホイスターやカルヴァン・リチャードソンなんかも血縁らしい。
なんという、濃厚な歌い手の一族!にわかには信じがたい。
by zhimuqing | 2013-07-31 21:28 | Funkentelechy | Comments(0)
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