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鶏のプラム煮は美味いのか?

ということで、映画『チキンとプラム』。昔のイランを舞台に、楽器を失ってしまったヴァイオリニストの最後の8日間を描いた映画。

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イランからフランスに移住した漫画家が描いた作品が原作。この原作「チキンのプラム煮」は職場近くの本屋に置いてあり、前から少しチラチラ立ち読みをしていたものだが、映画化されていたのには気が付かなかった。(というより本屋のディスプレイは映画とのタイアップ?)

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物凄く綺麗な映像、語りすぎない筋書き、本筋でない部分まで凝った話、含蓄の深い台詞、最後に向かって一気に集中させる展開、とても面白い。

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原作をきちんと読んでいないが、おそらく原作とは全く違う世界を上手く表現できているのだと思う。私の大好きな「ギター弾きの恋」に通じるテクスチャー、というか、ウディ・アレン的な感じも。

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ナセリ・アリを演じるマチュー・アマルリックは、瞳孔の開き具合で心が壊れていることを表現。子役を含め、脇役陣は更に良い。不幸な結婚をしてしまった妻、二人の子供達もいいが、私好みなのは、イスラムの死の天使エズライール(イズライール)、葬儀に出てくる行者?、そして若い日にアリが師事したマエストロ。そしてナセリ・アリの母親もとてもいい。更に、その脇役に喋らせる台詞がとてもいい。深読みが幾らでも出来そうな感じ。

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印象に残るのは、マエストロが若き日のアリに言う言葉か。無くしたものは全てお前の音のなかに残っている、とか楽器は光をもたらすものだ、とか。他にも、やはり母親やエズライールの言葉かな。この母親役のイザベラ・ロッセリーニはマーティン・スコセッシの元奥さんらしいが、なかなかいい役者だ。

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とはいえ、一番印象に残るのは、イラーヌ役のゴルシステ・ファラハニ。登場するやいなや、スクリーンに光が満ち溢れるようで、この配役だけでもこの映画は見る価値があると言いたくなる私。



とここまで書いていたのだが、原作者のマルジャン・サトラピはこの映画の監督をやっているそう。これは大した才能だ。とりあえず原作と前作ペルセポリスをまずはきちんと読まないと。
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by zhimuqing | 2012-11-30 23:28 | A Felicidade | Comments(0)
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