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いつ読んでもガツンと来る

エドワード・サイードのインタビュー集「ペンと剣」を
久しぶりに読んでいるのだが、含蓄含有率?の高さに
改めて感服することしきり。
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ラジオ局でのインタビューは、パレスチナ問題(正確にはイスラエル問題)に
触れたものであるが、その多くは普遍性を持っているため、
今の日本にもぴったり当てはまるものが多い。
抜粋したいところはたくさんあるが、ガツンと来た部分を少しだけ抜粋。

--- いま説明なさったような状況は知的植民地支配と言ってもよいと思いますが、
それが『文化と帝国主義』のテーマのひとつですよね。


それは、植民地支配において、支配者が自分たちを見る視線を
自分のなかに取り込んでしまい、彼らに教わり、彼らに支えてもらわなければ
自分たちには何もする能力もないと信じ込んでしまうことです。
自分たちの社会や価値観に基づく評価は役に立たず、
彼らの評価でなければ有効性がないという考え方を持ってしまうことです。
この問題はきわめてたちが悪く、奥深く浸透しているため、
食い止めたり変えたりすることができるものかさえ疑問です。

全ての問題を同胞の責任にしたくはないですが、
これはアラブ世界全体に広くはびこっている問題だと思います。
アメリカに対して、拒むことが出来ないものだという意識、
アメリカは勝利の代名詞だという意識があります。
(彼らに)他の選択肢はないのです。もはや二極対立の世界ではなくなってしまい、
たったひとつの極しかないのです。合衆国がルールを定めます。


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一方で、文学に触れた部分にも、なかなか名言が散りばめてある。
以前から私が好きなのは、ネルーダの詩に触れた2章のこの言葉です。
こういう視点があるから、この人の言葉に普遍性が宿ったのだと思う。

人間は旅人であり、景色や音や他人の身体や考えを
自分自身に刻印することによって、自分以外のものになることができる。
海のようにたくさんのものを受け入れることができ、
それによって人間存在に深く食い込んでいる経帷子をほどき、
柵を取り払い、ドアを開き、壁を取り払うことができる。


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やはりサイードは20世紀の偉人の一人ですね、常識ですけど。
久しぶりに『オリエンタリズム』を読んでみよう。
by zhimuqing | 2011-11-15 23:28 | Change! | Comments(0)
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