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夜中に一人興奮する

先日風邪で寝込んでいたため、放送を見逃してしまった
先週の日曜ぐらいだったと思うのだが、新聞のテレビ欄に書かれてあった
マイルスのライブ@NHKアーカイブス、風邪で寝込んでいてしまったため
見逃してしまっていたのだが、再放送があるということで、
バンドの練習前に慌ててハードディスク・レコーダーに予約。
こういうのを突然やるので、NHKはやはり侮れない。

ということで、危うく見逃すところだったマイルス、
長らく行方不明になっていたライブの映像は
なんと1973年の東京は厚生年金会館でのライブ。
なんだ75年でないのか?と思っていた私は早とちりしてました。
ステージ左端にソファーに座ったギタリストがいる!と
映像始まってすぐに興奮したしまうことに!
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常に優れたメンバー(だけ)が在籍しているマイルスのバンド、
個人的には最強かつ最高に漆黒だった時期は2回あると思うけど、
この時のメンバーは2回目のアガルタ・パンゲアの最強メンバーとほぼ同一、
違っているのはサックスがデイブ・リーブマンぐらい。
でも、正直言って、この時期のマイルスのバンドは
サックスは重要でないと思うので、特に問題無いですね。
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ブートレグにまで手を出す余裕もないので、
この時期のマイルスの映像を見るのは初めて。
これまで何回読み返したか分からない、マイルスの自叙伝なんかを読んでも
「尻の調子が悪くて敵わない」とか「胆石の手術をした」とか
「しんどくてステージでじっとしていられない」等という
心身ともに疲れ果ていたと言っているので、音楽とは対照的に
躍動感のない姿(つまり80年代のカムバック後の姿でもある)を想像していたが、
それは良い意味で裏切られました。
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まさに、プリンス・オブ・ダークネス!
漆黒の世界、外惑星の裏側からやって来たようなクールネス極まる姿。
激しくリズムをとることはないが、身体の端々から物凄い殺気が出ている。
うーん、カッコ良すぎる。
これこそ、史上最高にヒップな男の姿!と深く感銘を受ける私。
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映像で見ると、あの細切れなフレーズの魅力も倍増。
あまりの美しさに放送時に千葉県は震度3の地震があるほど。
ファンクネスとはああいうものを指すのだと、
子孫代々に伝えていかなければという義務感に駆られます。
「ただこの惑星の マイルスの音は きもちいい」
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演奏自体は赤方偏移を起こしつつあった75年程には至らずとも、
十分どころか五十分?に満足できる内容、
この日、現場にいた人は本当に幸せだ。
音が悪いのは仕方がないのだろうが、低音がスカスカなのが残念。
我が家の再生環境との相性もあるのだろうけど。

映像で改めて見ると、やはりマイルスと深く対話しているのは、
エムトゥーメイとピート・コージーかな。
コンガでひたすらバンドを煽りまくるエムトゥーメイ、
途中で叩く木琴?のようなものの演奏も興味をそそります。
あれは何と言う楽器なのか?我が家にも一個欲しくなりますね。
エム様は結構要所要所で移るので、私的には満足。
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謎の木琴?を叩くエム様

ピート・コージーはもう期待通り。
変態フレージングが押し寄せるプレイはもちろん最高だけど、
ルックスもまた最高です。
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ネックまで伸びた顎鬚は、多分常人の思いつかない部分で
音に関係しているのではないかと思うことしばし。
以前小指に小さいスライドバーを仕込んでいるという噂を聴いたが、
この日は特に装着していなかった模様。
音が小さめなのと、期待するほどにはアップで映らないのが残念。
やはり、このバンドはDVD以降のマルチアングルというのが
必須だったと思いましたよ。
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その他のメンバーに関しても軽くコメントを。
 
アル・フォスター
 ハイハットをオープンにして、パンクなノリで突っ走るイメージがあるけど、
 映像で見ると、もっと運動会系のノリですかね。
 ドラムセットがずっと激しく揺れているのが楽しい。
 エム様とのコンビはやはり屈指のリズム隊だと。
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マイケル・ヘンダーソン
 なにせ低音が効いていないので、正直一番その真価が分かりにくいか?
 フレーズもほとんど聴きとれず。
 でもメンバーで一番余裕を感じたかも、という感じでしか、コメントが残せない私。

デイブ・リーブマン
 漆黒のメンバーに囲まれた白一点、なかなかの力演を見せる。
 ソプラノとテナーを両方使うけど、このバンドではソプラノの方が
 ずっと合っていたかな。
 居心地自体は悪そうだけど、ねじれるフレーズは結構魅力的。
 あと気になるのが、胸元というか首に見える毛のような物体。
 物凄い剛毛胸毛なのか、それとも一流のプレイヤーが出すオーラなのか?

レジー・ルーカス
 実は期待していたのだが、今一つガツンと来なかった。
 リズムのキレが、諸名盤に比べると少し悪かったような気が。
 音色自体ももっとギャラギャラしてたほうが良かったかと。
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ということで、こういう素晴らしい映像はなんども再放送するべきかと。
でも、私思うんだけど、73年~75年の正規映像、
どこかに眠っているのでしょうね。
どなたか発掘してくださいな。
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by zhimuqing | 2011-10-01 23:28 | On The Corner | Comments(0)
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