人気ブログランキング | 話題のタグを見る

小躍りしつつ、臍を噛む

ライノ・ハンドメイドの限定版を日本で再発するという
ワーナー・ミュージック・ダイレクト、
アレサのフィルモア完全盤を復活させた第一弾で
いきなり男をあげた感があるわけですが、
第二弾が『コンプリート・ワーナー・レコーディングス』、
3枚のアルバム全曲と75年ライブ音源10曲を収録した42曲2枚組。
私がこの存在に気づいた時には、とっくの昔に売り切れていたブツ。
これに目を付けてくるとは、敵?もなかなかやりますね!
これは私も購入を検討しないといけないですね。
小躍りしつつ、臍を噛む_e0147206_22344253.jpg
とはいえ、70年代(いや、60年代も)のトゥーサンの仕事の真髄は
プロデュースや作曲、アレンジがあってこそなんで、
その辺のトゥーサンの仕事振りを取り纏めた編集盤を出してほしいなぁ。
特にシングル・オンリーな曲やマイナーどころを集めたやつ。
今年フランスから発売されたシックの仕事集ボックスのようなブツなんか
どうでしょう?
小躍りしつつ、臍を噛む_e0147206_2236181.jpg
何だったら、トゥーサンの仕事 全曲集みたいな感じで、
1年に4,5枚ずつ出してもらっても構いませんよ。
58年のリー・アレンのWalkin' With Mr. Lee に始まって、
ミニット・レーベル等での活躍をぎっしり纏めるなんて仕事、
音楽関係の仕事をやる人にとっては、
夢のような仕事だと思うんですけどね。

さて、話は変わって『ナイロビの蜂』で感激したジョン・ル・カレ、
早速『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』を読んでみましたよ。
名作との誉れが高い本だが、確かにこれはかなりの大名作だ!
小躍りしつつ、臍を噛む_e0147206_22325038.jpg
英国諜報部の中枢に潜むソ連の二重スパイを
元諜報部員スマイリーが探しだす、というあらすじなのだが、
もちろん単なるスパイものと思って読み始めたわけではないけど、
スパイの世界を舞台に、情念、葛藤、嫉妬、愛憎、渦巻く人間模様が
丁寧に描かれていて、全く驚きました。
(しかし、こういう単語を並べてみると、強烈な字面でありますね。)

通勤時間に読んでいると、面白すぎて途中で止められない。
ホームで歩きながら読んだり(危ないですね)、
エレベーターで立ち止まって読んだり(邪魔ですね)、
信号待ちの間にいそいそと取り出して読んだりと、
ほぼ二ノ宮金次郎状態です。
いっそのこと、自転車に乗りながら読もうかとも思ったのですが、
流石にそれはやめておきました。
ちなみに、過去に一人だけそういう人を知っていますけどね。
小躍りしつつ、臍を噛む_e0147206_2233537.jpg
冷静沈着なんだが、一点だけ激しい葛藤を抱える主人公スマイリー、
敵味方で割り切れないスパイ同士の人間関係、
やはり割り切れない男女の関係、
過去を背負う男と孤独な少年の交流。

なんだか高村薫の世界に非常に近いものを感じていたのだが、
解説に高村薫が非常に影響を受けていると書かれており、
おお、やはりそうだったのか!とこれまた結構驚きましたね。
主人公周辺のもつれた人間関係や登場人物の中で渦巻く情念は
合田雄一郎とかノーマン・シンクレアなんかを思い出させます。
(さすがに、あそこまで濃厚ではないですけど。)
はっきり言って『スパイ小説』というジャンルに入らないと思うし、
そのせいで多くの人に届いていないような気がするのですけど、
どうなんでしょうか?

タイトルの『ティンカー…』は本編中で重要な意味を持つ言葉なのだが、
いかんせん日本語として知らない人を惹きつけるには、
ちょっと分かりにくすぎる感もなきにしもあらず。
テイラーやソルジャーはともかく、頭のティンカー(鋳掛屋)は
やはり馴染みにくい感じがする。
この辺は素直に翻訳していたほうが良かった気もしますけど、
でも、そんなことはミジンコサイズのどうでも良いことですね。

これは久々に大きな水脈を発見したと小躍りしたいのですけど、
ル・カレの諸作、ほとんどが翻訳されているのに、
結構、絶版?廃版?になっているものが多いんですよね。
この『ティンカー・・・』に始まるスマイリー3部作の後編2作も
現在入手困難ということで、来年の目標の一つとして
古本屋巡りが新たに加わりそうな年の瀬なのであります。
小躍りしつつ、臍を噛む_e0147206_2232272.jpg
ちなみに、この本、最近映画にもなっているようだが、
79年にBBCでドラマになっているらしい。
で、この配役が凄すぎる!
主人公スマイリー役がアレック・ギネス!、
ソ連の凄腕敵役カーラ役をパトリック・スチュワート!!。
なんと、オビ・ワン・ケノービ vs ジャン・リュック・ピカードではないか!
うーむ、この組み合わせは全く興奮させられます!
日本語版出ていないのだったら、向こうのDVDを取り寄せるか!
小躍りしつつ、臍を噛む_e0147206_2232841.jpg
この写真だけで判断するのだが、スチュワートさん、かなり若い!
by zhimuqing | 2010-12-21 22:28 | La Sombra Del Viento | Comments(0)
<< 素材を活かすのは難しい おもて寒いよね >>