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音楽から解き放たれるために!

今のミュージックマガジンの中で一番読み応えのある
記事を書いているのは、原雅明だろうというのが
私とプリマクさんとで意見が一致するところなのですが、
その原雅明の本を読んで見ましたよ。
「音楽から解き放たれる前に 21世紀のサウンド・リサイクル」
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            表紙も実に素晴らしいものだ。

これもなかなか力作ですね。
特に冒頭の書き下ろし「word & sound」は実に読み応えがあって
これを読むだけでも、この本を買う価値があるといってもいいくらい。
音楽評論の話から業界の問題点にも触れながら
ロサンゼルスで起こっている新しい動きにつながる流れは
なかなか高揚する気分になりますね。

この本の中で触れられている音楽の中で
私が好んで聞いている音楽と重なるものは2割強くらい。
もしかすると、ほとんど重ならない人も多いかもしれない。
なのだが、この本は音楽好きなら読んでおいたほうが良いと思う。

アーティストのキャラクターや書き手が作った物語を書くのではなく
「音」に関する評論でなければ、とか
今の日本では、癒しを与える音が求められすぎている、とか
レコード会社が買い取った記事で音楽雑誌が
成り立っていることへの懸念、とか
昔の音を循環させ、新たな音楽を組みなおすという
「音楽のリサイクル」に対する共感、とか
そこに書かれてある内容には頷かされることが非常に多い。

膨大な知識に基づいたレコード評等も素晴らしい。
本に収められている中では、なんと言っても、
Jディラの追悼記事とサンラー「Cosmos」、ムーディーマンが
特に私の心を掴みました。

ということで、心ある音楽好きには是非とも読んで欲しい本です。
昨年11月に発売された本らしいですが、
今年の音楽本のベスト3は確実ですね。
音楽から解き放たれるために!_e0147206_20151371.jpg
          本を読むときのBGMには是非これを!
by zhimuqing | 2010-03-02 20:40 | La Sombra Del Viento | Comments(0)
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