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ジェイムス・タイベリアスもラサーン・ローランドも宇宙につながっている件

『エリントンとミンガスは生涯かけて探究するだけの価値がある』と言ったのは
泣く子も笑い出すラサーン・ローランド・カークですが、
そのカークさん、私にとってはPファンクと並んで探究するだけの
価値があるアーティストなのです。
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ある程度全容が解明されているPファンクに比べると、
ローランド・カークはまだまだ謎が多く残されていますねぇ。
私も伝記を読んだりして、少しずつ音源を集めているのですが、
この伝記、一つ一つのエピソードが濃厚すぎて大変面白いのだが、
木を見て森を見ず、みたいな感じになってしまい、
かえって全体像が見えなくなってしまうきらいがありますね。
巻末のディスコグラフィーも研究不足の私には少し不親切ですし。

そんな私に強い味方というか参考書が現れましたよ。

「週刊ラサーン ローランド・カークの謎」
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それにしてもマニアックな本だ。「習慣ラサーン」でもよかったかも。

著者の林建紀氏はカークの伝記の翻訳者です。
正直言うと、伝記の翻訳は言葉がこなれてなくて読みにくいのだが、
そんなことは些細なことで、こういう先人の地道な努力には頭が下がりますね。

この本のユニークなところは何と言ってもその切り口。
カークの音楽人生を初期、前期、後期、晩年の四つに分け、
それぞれの時代を様々な角度から分析していくのだが、
アルバムや曲を解説するありきたりの分析ではないのである。

時代ごとに使用されている楽器や曲調、曲の長さ、バンドメンバーの変遷等
客観的なデータで分析するという、ある意味理系的なアプローチをしています。
思いつきそうで、なかなか思いつけないですね。
しかも非常な労力を費やさないと出来ない仕事ぶりです。
カーク必殺の2管、3管アンサンブルの分析も非常に分かりやすいし、
バンドメンバーのチョイスに対する解説もなるほどと頷けるものだ。

ディスコグラフィーも整理されていて、非常にすっきりした感じがしますよ。
曲ごとの解説はない(少しある)が、それは自分の耳で確かめればよいわけだし、
私の痒い所に手が届いた感じです。

一つだけ注文をつけるとすれば、第1章の「命名の謎」。
本名のロナルド・セオドア・カークを役場の庶務係向きの名前だ、と言っている点。
分かってないなぁ。惜しいなぁ。
カークという名前は宇宙に通じる名前ですよ。
最後のフロンティアである宇宙に突き進んでいく男の名前でしょ。
だからチャーリー・ハンターがカークとJBとモンクをコピーするバンドに
T・J・カークって名前を付けたんだけどなぁ。
(J・T・カークにしないところがハンターのひねくれた所ですけど)

とまあ、そんなことで、私の探索の旅もこの燃料のおかげで
一気に進みそうな、そんな予感に打ち震える今日この頃なのです。
それにしても、カークとジミヘンの共演テープ音が悪くても聞いてみたいもんだ。
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色々聞いたが、やはりこれがベストだな。
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ということで、この10枚組も購入しなければならないのか?
by zhimuqing | 2009-08-21 23:46 | On The Corner | Comments(0)
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