男子高校生まで惚れる男

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私がソウルに本格的に目覚めるきっかけになったのは、間違いなくモータウン25のレーザーディスク。たしか17歳の誕生日に買ってもらったこのLDはもちろんマイケルがお目当て。あの歴史的なムーンウォーク初披露やジャクソン6兄弟勢揃いの図が観たかった私、他の出演者でCDやテープを持っていたのはスティーヴィーとダイアナ・ロスとマーヴィンだけ。その他は、名前だけは知っていたものの聴いたことがない人ばかり。

当時の感想ははっきり記憶にありますね。あまりパッとしないなと思ったのがコモドアーズ。ポップなバラードがピンとこなかったライオネル・リッチー。その良さが分からなかったのがエル・デバージ。かっこ悪いと思ったのがアダム・アント(なぜか出ていたのだ)。ニコニコして歌う姿がいいと母が褒めたスモーキー。一瞬の出番なのになぜか心惹かれたジュニア・ウォーカー。そしてこれはカッコイイ!と父と珍しく意見が一致したのがテムプスとフォートップスの対決。特に枝分かれしたマイクスタンドを使うテムプスはロン・タイスンやリチャード・ストリート、そして豪快なシャウトをぶちかますデニス・エドワーズ。そう、不敵な面構えでワイルドに吠えるデニスの姿に自分にないものを見出した福岡の田舎の冴えない男子高校生、これは本当にかっこいいものだ!と心から感じたのであります。



トップスが1曲削られているけど、映像と音はこれが一番ですね。最後にデニスとリーヴァイが抱き合う音をマイクが拾うところが好きでした。それにしても、このデニスに惚れる高校生はやはり相当変な趣向だと改めて思います。それとバンドの演奏が滅茶苦茶タイトで驚きました。それと、ロン・タイスンが私の周りの誰かに似ている気がするのだけど、思いつかない。

テムプスのリードを長い間守ってきたデニス、なにのソウルファンにはもう一つ人気がないデニス。なにせ前任がソウル史上に残る天才(誰だ、天災と言っているのは?)のデイヴィッド・ラフィン、途中ルイス・プライスが登板するけどそれは置いておいて、後任がこれまたソウル史上もっとも華麗な身のこなしを誇るアリ・オリ・ウッドソン。どちらかというと不器用なデニスは思いっきり割を食っている印象がありますが、でもね、テムプスが90年代まで頑張って活動出来、フォートップスにはない現役感を保てていたのは、ずっと踏ん張り続けたデニスの功績であることは誰にも否定できないはず。デニスが頑張りが無いとアリ・オリだって80年代に表舞台に出てこれなかったかもしれないし。
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同じようにソウルファンに人気のないサイケ時代のテムプス。ですが、この時期のテムプス、素直に聴いてみると実はカッコイイ。ノーマン・ホイットフィールドの作る曲はロッキッシュではあるけど、メロディーの作りは実は丁寧で、フックとパンチもしっかり効いている。演奏は後期ファンク・ブラザーズの面々。ジェマースンのベースはドライブするし、メルヴィン・ワトスンとデニス・コフィ―のツインギターもかっこいい。ピストル・アレンのドラムもジャック・アシュフォードやエディ・ボンゴ・ブラウンのパーカスだって文句なし。

そして私が今強く主張したいのは、その磨き上げられた曲に乗る歌。特にエディ・ケンドリックスとポール・ウィリアムズがまだ在籍していた時代のマイクリレーのカッコよさ。エディの太いファルセット、低音国宝メルヴィンのベース、そしてここが大事なのですが、そこに絡むデニスとポールの質感の違うバリトン。この二人の組み合わせが実にスリリングなのですよ。

鍛え上げられた筋力を見せびらかすようなデニスに対して、後ろから無理矢理重いフックを叩きこむポール。ソウルの世界で様々な声の組み合わせが試されてきましたが、ラフィン時代にも試されることはなかった、こんなポールの活かし方は他では味わえない。恰好よすぎて鼻血が出そうです。あえて喩えてみると、03-04年のデトロイト・ピストンズのラシード・ウォレスとベン・ウォレスのようなカッコよさ。おう、これは我ながら良い譬えだ。華麗なエディは当時のリチャード・ハミルトンみたいだし。
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この5人ですもの、猛烈に強力で当たり前。

話がずれました。私がデニスと聞いて思い浮かぶ曲は山ほどありますね。“I Can’t Get Next You”、“Cloud Nine”、“Papa Was A Rolling Stone”、“Shakey Ground”、“Psychedelic Shock”、“Don’t Let The Jones Get You Down” “Power”、ほとんど重量級のファンクですが。ソロだと、やっぱり“Don’t Look Any Further” が群を抜いていますけどね。一番好きなのは“I Can’t Get Next You”か“Cloud Nine”でしょう、やっぱり。でも、私が今夜一番聴きたいデニスは“I've Never Been to Me”だったりするのですが。

実は私がデニスを生で見たのは一度だけ。GCキャメロンとデイヴィッド・シーを含む超豪華版偽テムプスでしたけど、デニスこそが私が音楽にはまっていく中で初めに刷り込まれたテムプス。生で見たデニスは随分とお腹周りが大きくなっていて、モータウン25での精悍なデニスとは随分イメージが違ったけど、その姿を観ているだけでなぜか胸がいっぱいになって思わず落涙した私。女王アレサすらも恋に落ちる男の中の男、デニス・エドワーズ。握手してもらったその手はデカかったけど、温かかった。ああ、寂しいよう。



豪快なイメージのあるデニスですが、黙々とラフィンの横で振付をこなす姿を見ると、体育会系の真面目に先輩を立てるタイプだったのかな?と思いますね。ラフィンがヤクザすぎたのかもしれませんが。バックにネイト・エバンスとデイヴィッド・シーがいますね!



貴重な映像だけど、リック・ジェイムスが出しゃばり過ぎかな。

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なかなか個人での写真が出てこないけど、それもグループにかけてきた男の勲章。
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私の宝物。
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やっぱり寂しいよね。
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# by zhimuqing | 2018-02-03 23:28 | Funkentelechy | Comments(2)

ようやく耳が開く

ポール・サイモンの≪グレイスランド≫から本格的に音楽が好きになったと言っても過言ではない私にとっては、かなり近いところに見え隠れしていたヒュー・マセケラ。当時ちょっと聴いた感じではポップなエスニック風味のフュージョンのような気がして、あまり興味が沸かなかったのです。が、9年前の石田昌隆の名著「オルタナティブ・ミュージック」の中で触れられていたのを読んで興味を持ち、ベスト盤を買って聴いてみると、これがなかなか面白かったのですが、それきり忘れてしまっていたというのが情けない限りです。

ということで、寂しい訃報に接して、慌てて棚の奥から取り出した聴いたマケセラ、いやこれは相当面白くて、びっくりしました。単に私の耳が開いていなかっただけだという事がよく分かります。人間と同じで、優しい表情を持った音楽の中には、意外とタフで生命力に溢れたものがあるという事をまたもや思い出させられました。
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私が持っているのは≪The Collection≫という編集盤で1974年から94年までの13曲を集めたものですが、軽やかな丸みを帯びた音の奥の方にがっしりとした核が見え隠れしている。70年代の曲も90年代の曲も同じ感触があり、おそらくずっとぶれていない本人の信念のようなものが感じられます。リズム隊を中心にアレンジも相当練られているはずで、勉強にもなります。(でも、そんな練られた形跡をほとんど残していないのがまた凄いのだ)
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でもまあ、そんな能書きを並べてもあまり意味はありませんね。ようやく気が付いたこの魅力に身を委ねることが先決です。この気持ちよい音を楽しんでいると、自然にマセケラの思いも細胞に染み込んでいくのだと思います。年末にたまたま聴いたタジ・マハールの≪Happy Just To Be Like I Am≫にも驚いたものですが、このマセケラ山脈は相当なものの予感がします。調べたところ50枚ぐらいあるマセケラ山脈、ゆっくり分け入ってみるのもなかなか面白そうです。遅すぎると言えば確かに遅すぎますが、どんなに遅くても遅すぎることはないとも思うのです。

そうそう、石田昌隆の書いた文章が気になって≪オルタナティブ・ミュージック≫でマセケラを探してみたのですが、本人の写真が見つからない。そんなはずはないと、ゆっくり探していると、マハラティーニのところに少しだけ書いてあり、私の記憶違いかなと思っていたら、ミュージックマガジンにインタビューがあったのを思い出しましたね。スカリプソウル特集の号。ミュージックマガジンを読まなくなって久しい私ですが、この号は捨てずにとっておいたのでした。
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インタビュー自体は短いものですが、真摯に問いかける石田昌隆、真摯に答えるヒュー・マセケラ、やはり読みごたえのある記事であることは間違いありません。ヒュー・マセケラに対する追悼についても、この記事が最も素晴らしいものだと思います。それにしても、石田さんのこういう一連の記事はなかなか素晴らしいものが多いので、このまま埋もれてしまうのはやっぱり勿体ないと思うのですが、どうでしょう?
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# by zhimuqing | 2018-02-01 23:28 | Blues 4 Terapin | Comments(0)

何と11回目

昨日は何とムスメの11回目の誕生日。早いものです。

誕生プレゼントはこんな感じ。
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レゴブロックのモーターのセットにBJに吉野源三郎。どう見ても11歳女子っぽくない気もしますが、でもなかなか良いチョイスだと思います。とりあえずヒョウタンツギの絵は描けるようになった模様。

楽しくご飯を!という感じだったのですが、夕方に息子が結構な発熱。元気そうでご飯は完食していたのですが、明け方熱は下がっているものの、調子悪そうに。もしかしてインフルエンザか!?ま、今の時点で結構元気になっているのですけどね。
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パパ、アッチョンブリケってどういう意味?とまた私の答えられない問を頂きました。

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# by zhimuqing | 2018-02-01 12:42 | Dawn 'n' Shine | Comments(0)

Dust off

先日無性に聴きたくなったPleasureの”Let’s Dance”。その昔、というか大昔ですね、初めて組んだきちんとしたバンドでドラムのOさんに随分としごかれたのがAWBの“Cut the cake”とこの曲。久しぶりにじっくり聴くと懐かしさも感じますが、色々な発見もあり、実に新鮮なものです。
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2枚目の≪Accept no substitutes≫に収録。なかなかの好盤です、はい。

Pleasureは演奏が達者すぎる上、ジャズっぽい空気も取り入れるので、昔からのソウルやファンク好きには正統に評価されていない気がしますが、特に1作目と2作目は特に文句無しでカッチョいいのです。驚くのはメンバーの若さ。ファーストを出した時、メンバー最年長のサックスのデニス・スプリンガーでさえ25歳!ドラムのブルース・カーターに至ってはまだ17歳。レコード・ディールを得た時にはメンバーの大半が高校生だったそう。なのに、この余裕綽々の演奏、驚きです。ファンクやソウルだけでなく、ジャズも十分に咀嚼出来ている音。ウェイン・ヘンダーソンやグローバー・ワシントン・Jrがたしかに気に入りそうではあります。
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ほとんどの曲で聴かせるコーラスの巧みさも魅力ですが、最大の魅力はリズム隊の強力なバンド・アンサンブルでしょう。上手いのにこじんまりしていない、というか、生音がデカそうなのがいい。子供のころからの知り合いで組んだバンドというのが良かったのでしょうか?タイトなのに駆動力のあるドラム、ツボしか押さえていなさそうなのに実は面白いことをやっているベース、そしてプレジャー最大の魅力だと思っているマーロン・マクレインのギター。

ソロを弾かせてもかっこいいけど、クラヴィやエレピと重ねるときのカッティング、特にワウペダルを使う時が魅力的なのです。音色からフュージョンっぽい演奏かと思わせておいて、実は結構タフ。音の隙間を埋めるのではなく、リズムの間を縫ってくるというか這ってくるというか、そんなフレージングに燃える私はマニアックなのでしょうか?そうそう、意外に聴かせる喉も忘れてはならないわけですが、時々ギターとのユニゾン技が飛び出したりするので油断大敵です。
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バンドは時代柄アースに多かれ少なかれ影響を受けているし、リーダーだったマクレイン自身もアースが好きだったという事もあり、メロウで軽快なチューンがどのアルバムにも入っていますが、やっぱりバンドの目玉は一心不乱に突き進むファンキーなリズム隊。どのアルバムもはずれが無いバンドですが、“Dust yourself off”や“Reality”のように、推進力に溢れたその手の曲がたんまり詰まった1枚目はやはり傑作といって間違いないでしょう。
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“Midnight at the oasis”みたいに全編通してギターのカッティングが効いている曲もいいし、トルクの強いドラムとベースが効いている“Music is my life”の突進力も捨てがたい。割とポップな曲調の“Bouncy lady”なんかも後半に一気に密度を上げてくるから油断なりません。ポップな曲調を飲み込むカロリーの高い演奏、特にドラムの推進力に燃えますね。
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マクレインが積極的に関わったのは4枚目までで、その後フェイドアウト。ドラムのカーターとベースのナサニエル・フィリップスはその後もマクレインと組んで、サイドエフェクトやケニーG(!?)のバックを務めたりもしたようですが、その辺はまだ聴いていないので、何とも言えません。マクレインはアン・ヴォーグやテリー・エリスのソロでもクレジットありますね。あとはやはりShockでしょうが、それはまた別の機会にでも。
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81年のソロ作も探しているのですが、いまだ見つからず。目標価格は840円なんですが。

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# by zhimuqing | 2018-01-29 20:28 | Funkentelechy | Comments(0)

Tough to see bro but I know you gonna come back stronger than ever.

カズンズの事を書いて一週間もたたないうちにアキレス腱断裂で今季絶望のニュースが飛び込んできた一昨日。なかなかショックが大きいです。強敵ロケッツに競り勝って大喜びの直後の衝撃。カズンズ涙のトレードで怒り心頭だった去年の今頃に引き続き、今年はまさかの大怪我で呆然。とっくにキングス終わってるし、今期のわたしのNBAは終了…と言いたいところですが・・・

We just have to keep going, that's all we can do. It was a great win. ... So, we've got to keep going. I mean, next guy up, honestly. We can't keep our head down and just pray. We have just got to move on to the next game Sunday and try and go out there and do the same thing.

Everybody’s playing well. Jrue’s playing well, E’Twaun, Darius. We’ve just got to carry that over to the rest of the season. Of course missing one of our main guys is tough, but it means guys have to step up and be prepared.


カズンズの離脱を受けたADのコメント。こういう時の向こうの人のコメントって文化の違いもあるのでしょうが、結構グッとくるものが多くて鼓舞されます。そう、諦めたらそこで終わり。カズンズを追いかけて1年見てきたペリカンズ、メンツへの思い入れは結構深くなってきているし、ここで意地を見せてくれたら、私の気持ちは西海岸からニューオリンズに移ってしまうかも。そんな踏ん張りを大いに期待したいところです。
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# by zhimuqing | 2018-01-29 05:28 | All The Kings Men | Comments(0)

カズンズ

ディヴィジョン最下位を爆走するサクラメント・キングスを尻目に、昨年ペリカンズにトレードされたデマーカス・カズンズは4度目のオールスター選出。
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昨日はブルズとの一戦で44ポイント、24リバウンド、10アシスト、4スティールともの凄い数字。史上5人目、なんと46年ぶりらしい。同じくオールスターに選出された(3回目)アンソニー・デイヴィスとのリーグ最高峰のツインタワーには夢があります。
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一方で、昨年のトレードでドラフト指名権を得て若返りを狙ったキングスは今年のトレード期限で今度は若手を放出するという噂。いったい何を目指しているのか分からない。ううっ。



カズンズとデイヴィスのコンビには何としてもプレーオフで大暴れしてほしいものです。

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# by zhimuqing | 2018-01-24 00:28 | All The Kings Men | Comments(0)

ハイン 地の果ての祭典

火曜日にロンマクと大阪で合流。レコード屋や本屋、楽器屋に行くという、いつもの一人の時の行動と寸分たがわぬ、いや楽器屋には行けてないですね、閉店時間が早いから。ま、それはさておき、我々のとる行動は基本的にはほとんど同じものとなるわけです。ウン十年変わっていない流れでもありますが。レコ屋でウルスラ・ヒラリア・セリア・デ・ラ・カリダド・クルス・アルフォンソ・デ・ラ・サンティスィマ・トリニダドこと、セリア・クルースのボンバの編集盤を格安で見つけるという幸運にも恵まれながら、ロンマクお勧めの一冊、山極 壽一と鷲田 清一の共著「都市と野生の思考」を探しに行ったのですが、そこで思いがけない一冊を発見。即、手に取り、レジに直行、夢中で読み返すこと数回、今日に至ります。

ハイン 地の果ての祭典
南米フエゴ諸島先住民セルクナムの生と死
著:アン・チャップマン 訳:大川豪司


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昨年出版されていたんですね。気が付きませんでした。セルクナム族のことを知ったのは多分10年くらい前だったと思うのですが、なんといっても、強烈な印象に残るルックスが印象に残るだけで、あとは絶滅してしまった先住民ということをなんとなく知っただけで、その後記憶のかなたに消えていたのですね。というか、ヤーガン族として紹介されていた気がします。

成人の儀式ハインを中心にセルクナム族とハウシュ族の風習や信仰、いや宇宙ですね、を記したこの著書、作者の案・チャップマンは60年代に僅かに生き残っていた人々からの聞き取り、そして1910~20年代にドイツ人神父グシンデの残した記録(貴重な写真多数を含む)を参照しながら、ずっと前に失われてしまったその宇宙について紐解いていく。

チャップマンの筆さばきは実に巧み。一冊を通して、全体に流れるこの民族への尊重の念、彼らが持つ(持っていた)宇宙感への感嘆がひしひしと伝わってきますが、それだけでなく、儀式の背景と建前に対する考察の進め方も滑らかでぐいぐいと引き込まれます。過酷な自然の中で自在に広がっていったセルクナムやハウシュの想像力と信仰をベースとしたハインの様子が実に活き活きと描かれていて、記録としてだけでなく読み物としても一級品。これは僅かな生き残りであったアンヘラやフェデリコとの心のこもった交流、正確に言うと友情、がなせた業でしょう。
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もちろんグシンデ神父による1923年のハインの貴重すぎる膨大な記録があってのもの。この写真のインパクトはあまりにも強烈ですからね。時代柄カラーでないのが残念ではありますが、それを望むというのは贅沢というものでしょう。この写真を含めた記録の引用がスムーズ。グシンデとセルクナムのやり取り、特にテネネスクとの最後の会話、もヴィヴィッドで、その後の展開を考えると、静かに胸を打つものがあります。
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忠実に彩色すると、こうなるそうですね。凄すぎる!
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どうしてもその後失われてしまう彼らの宇宙に思いを馳せて喪失感を感じてしまうわけですが、一方でチャップマンによるアンヘラ・ロイヒやフェデリコ・エチュライネへの聞き取りには当然多少の喪失感はありますが、悲壮感というものはあまり感じられない。チャップマンも重苦しい気持ちになるとは書いてはいるもの、例えば儀式に関する表現にはユーモアが溢れていて、それはアンヘラやフェデリコ、そしてチャップマンの個としての性格なのか、それとも厳しい自然環境から来た諦念によるものかは分かりませんが、北方に住むインディオへ向けて歌うロラ・キエプヒャの詠唱で冒頭と最後を挟んだチャップマンの思いとしてはどうだったのでしょう。
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それにしても人類史の本当に貴重な記録。チャップマンはロラの協力を得てハインの時の詠唱もしっかり記録して、CDと配信で今では簡単に聴くことが出来るようになっているそう。チャップマン、そしてグシンデ神父やルーカス・ブリッジスの業績はどんなに讃えても讃えすぎることはないでしょう。失って初めて気が付く重要性、身近なところではアイヌの文化もまさしくそうだと思いますが、やはりこういう部分にしっかりお金を使ってこその文化水準だと思うのですが、どうでしょう?
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自分の体にもタリを描きたくなってしまうのは仕方がありませんね。流石に下半身は出す度胸はありませんが。


追伸:これを書いてリビングに戻ると、ヨメがあんたが見てた本の人、テレビで紹介されてる!と。ふしぎ発見でまさかのシンクロ。うーん、セルクナムの導きか!
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# by zhimuqing | 2018-01-20 20:28 | La Sombra Del Viento | Comments(0)

不詳の一生徒より

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先生の授業を週90分の授業を半年間受けただけで、成績も決して良くはなかった私。その人間性の素晴らしさは愛称とともに理解していたつもりでしたが、その凄みについて思い知ったのは卒業してずっと時間が経った311の後でした。今後の日本にとってまだまだ必要とされる知性だったと思います。でも、あの時、先生がいてくれたことは本当にありがたかったと心から思います。安らかにお休みください。
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# by zhimuqing | 2018-01-15 00:38 | Make Me Wanna Holler | Comments(0)