<   2010年 07月 ( 15 )   > この月の画像一覧

妻子を呼んでしまおうか?

ヴィクター・ヘッドリーの名著と名高い『ヤーディー』を読んでいる。
イギリスに渡ったジャメイカンのルーディー(ギャングスター)の話。
ありふれていると言えば、ありふれている設定なのだが、
登場人物が活き活きしていて、名作とはいえないまでも
佳作以上の力作だと思う。
e0147206_2234617.jpg
作者のヴィクター・ヘッドリーも子供の頃にイギリスに渡ってきた
在英ジャメイカンなのだが、ギャングスターが成り上がる様を
淡々と(しかし詳細まで)描きながらも、
何故ギャングスターとして成り上がらざるを得ないか、
その背景をクールに分析している。

訳者の荏開津広(いい仕事!)があとがきで書いているように
問題の背景には、グローバリズムや新自由主義の問題があるのだが、
日本に住んでいる私ももちろん無関係ではないし、
一方で小泉「改革」を引き継ぐカンナオトというか財務省の進めようとしている
政策がことごとく実施された折には、この本で描かれるイギリスのような
状況になったって何もおかしくないのだ。
この辺、もう少し色々勉強してみないかん、と思うのであります。



とまあ、そんなことを考えてしまうのも、ベトナムのメコンデルタにいるからかな。
自然の密度というか濃度が非常に濃い。
なんだか一気に細胞が活性化したような気がする。

e0147206_2241293.jpg
延々と続くマングローブ!
カワセミの仲間(多分ナンヨウショウビン)がいたけど、
ボートに驚いて逃げるので写真は撮れず。
e0147206_2284282.jpg
途中で寄った民家。
壁にかけているナベが味わい深い。
e0147206_2293036.jpg
イヌとネコも何故か仲が良い。
e0147206_230377.jpg
意外にデカイ(25cmぐらい)トビハゼ、早くて網で捕まえられず。
e0147206_23108.jpg
ということで帰りたくなくなってきた私。
妻子をこちらに呼ぶか?
[PR]
by zhimuqing | 2010-07-30 02:32 | Make Me Wanna Holler | Comments(0)

ロマンティックで軽やかで芳醇

e0147206_20294943.jpg
バンコックより南に位置するホーチミンから更に南下している私ですが、
ベトナム、最近の東京よりもぐっと涼しいので驚きです。
ちなみに先週初めて日本に行っていたベトナム人に日本の感想を聞くと、
Too HOT!! の一言でした。

ということで、昨日からベトナム出張なのだが、
日曜日に無理して買いに行ったQuanticの新作があるので、
もう準備はばっちりってなもんだ。
e0147206_20253471.jpg
10年に1枚レベルの大名作だったと確信が深くなってきている前作から
まだ1年しか経っていないのに早くもリリース。
素晴らしい活動振りだ!

なんといっても、このバンドというかウィル・ホランドのこのユニットの魅力は
優美で芳醇なリズムにつきるでしょ?
木陰に吹いた涼しげな風に揺れるスカートのような軽やかなリズムは
おそらくコロンビアの伝統音楽に因るところが大きいのだろうけど、
そこにヒップホップを通過した世代ならではの音というか空間処理が
絶妙な濃度や緊張感を生んでいて、体表から無理なく染み込んで来る。

新作はQuantic PresentA Flowering Inferno名義ということで、
メディア関係ではダブ・レゲエ色が強まっていると紹介されているが、
正直あまりそういう感じは受けない。(まだ10回ぐらいしか聞いていないが)
もちろん、ボーカルやホーンにリバーブがかけられたりする場面が多いし、
アルバム冒頭でリー・ペリーのディレイの得意技グゥワシャァァァァンも目立つけど、
それらのエフェクトによって、根っこにあるグァグァンコーとかクンビアの血が
より鮮やかに浮き上がってきているようだ。
そのため、前作に比べリズムの蠕動がより生々しく感じられる。
(音数が絞られた結果、より軽やかになっていることもある。)
表皮部分がより薄くなって、中で流れる体液が透けて見える感じかな。

それにしても、前作から顕著になった、このロマンティックでありながら、
どこかヒリヒリした空気感(観?)はなかなか他では得難いものだ。
やはりウィル・ホランドがコロンビアに移り住んだのが良かったのだろう。
今年度屈指の名盤であることは間違いないですね。
今後もかなり期待できるのではないだろうか?
e0147206_2026218.jpg
今の私の中ではウィルといえば、ライカーかこの人なのだ!
しかし作る音楽とこの人のルックスがどうにもイメージに合わない。

メンバーはコロンビア人が多いのか、私の知らない名前が多いですが、
コンラッド・ケリーはもしかしてUKレゲエで有名なドラマー?
うーん、勉強不足の私です。
e0147206_2031314.jpg
ベトナムのヘビはなかなかファンキーな感じ。
毒蛇かどうか、一緒にいた人、誰も分からないので、
思うほど接写できない臆病者の私。
[PR]
by zhimuqing | 2010-07-28 20:33 | Rumba DE Manbo! | Comments(0)

生命力溢れる笑顔に痺れる

テレビをつけると、フジテレビの特番をやっていたのだが、
あまりのつまらなさの破壊力に驚いたのだ。
テレビ局は本当にあれが面白いと思って作っているのだろうか?
完全なルーチン作業、創造とか表現というものが決定的に欠けている。
視聴者へのサービス精神のかけらも無い、というより、
むしろ馬鹿にしているような、そういう仕事振りだな。

そういう意味では、やはりNHKが突出していますね。
安定感だけでなく、独創性や意外性、丁寧な構成で
他局をまったく寄せ付けない。
昨日、夜NHKハイビジョンで放送していた番組も
そういう意味で、よく出来ていましたね。

『オレの魚が一番デカいぞ!~ナイジェリアの大魚捕り大会~』
e0147206_0253735.jpg
ナイジェリア東部のンウォンヨ湖での魚獲り大会を追ったものだが、
1万人を超える漁師が参加するその規模や華やかさ、
ナイルパーチやナマズのデカさ(200KG超!)だけでも絵になるのだが、
大会に賭ける漁師とその家族の様々な姿、表情が良い!

若い弟子を引き連れて参加する漁師のリーダー、
たった一人で一家を養う前年度のチャンピオン、
30人以上の息子とその子供達を率いて参加する80歳のお父さん、
舟を持たないので大型の瓢箪で参加する内陸部の人々。
e0147206_0255989.jpg
それぞれがそれぞれの思惑を抱いて、優勝商品のプジョーの新車を狙って
丹念に準備して、祭りに挑戦していく姿は実に美しい。
『アフリカでは、生命力が溢れていること=その人の魅力』なのだと、
写真家である板垣真理子さんが言っていましたが、
それも実に頷ける映像でしたね。
e0147206_0264897.jpg
というか、このお姉さん、生命力云々の前に、かわいすぎる!

漁師達の姿も美しいのだが、特に印象に残るのは、
随所に出てくる長老やリーダーの含蓄に富んだ言葉。
今の日本で最も求められている言葉のように思えますね。

で、その祭りの前後の模様を取り上げるだけでも良い番組になるのだが、
今のNHKはキレているところは、それだけで終わらせず、
ナイジェリアの民族や宗教問題にソフトに触れつつ、
さらに現地教会での貴重な演奏シーンをくっつけてくるところ。
教会での演奏シーンにはかなり燃えましたよ。
あの水牛の角を使ったバラフォンみたいな楽器は
一度ゆっくり叩かせてほしいなぁ。
e0147206_027828.jpg
e0147206_027218.jpg
右奥の太鼓?も結構ポイント高そう。
アフロビートあたりには不可欠なカコ、カコって乾いた音が出そう。

こういう「良い」ドキュメンタリー、これまでも放送されていたけど、
大抵BBCあたりの製作が多かったのだけど、
この番組はNHKだけで制作したもののよう。
この調子でもっともっと頑張って欲しいものだ。
あと、山ほど残っている未発表映像もいつか放送してほしいなぁ。
e0147206_0263034.jpg
特にこのお姉さんを中心にした構成希望、
というか、このお姉さん特集でもいいっす。

とまあ、そんなことを願いつつ、明日からまた出張。
でも、ベトナム暑いなぁと思って調べてみたら、
どうも東京より気温低い模様。
ということで、ではでは。
[PR]
by zhimuqing | 2010-07-26 23:32 | Open the gate | Comments(0)

暑い日にはタフな子供を見習う

昨日の帰国便の飛行機で見た『スラムドッグ・ミリオネア』、
今更?と言われそうなのだが、でもようやく見ましたよ。
e0147206_2223311.jpg
いやぁ、非常に面白かった。
リモコンの操作がイマイチ良く分かっていなかったので、
見始める時間がちょっと遅れてしまい、
最後まで見ることが出来るかどうか焦ったけど。
以前から見ようと思っていたにもかかわらず、
内容を全く把握していなかったので、
非常に新鮮な状態で見ることが出来たのも良かった。

見る人の視点の角度で色々は表情を見せる映画ですね。
インドの社会問題を真正面から捉えた映画でもあるし、
純粋なラブストーリーだとも言えるし、若者の成長物語でもあるし、
対照的な性格の兄弟の絡み合う人生譚でもあるし、
深読みすると、現代資本主義への懐疑でもあるだろうし。
そういう色々なものを包括しつつ、見ているものを楽しませることが出来る
非常に良く出来た映画ですね。

主人公ジャマール青年の半生とクイズ問題を巧みにシンクロさせながら
ストーリーが進むのだが、脚本が良く練られているのか、
一気に話の中に引き込まれますね。
必要以上に説明的でないのも良いです。
e0147206_22232238.jpg
やはりインドの最貧層でタフに過ごす子供達の姿が特に印象に残ります。
2年前にムンバイに行った時に通った街並みとか
世界遺産に指定されたチャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅で
始発を待って徹夜している人々の姿も強烈に思い出しましたね。
ヒンズー教とイスラム教との軋轢も話として出てくるが、
この辺は結構リアルな話を聞いていたので、驚きはしなかったものの、
やっぱり映像で見るとインパクトがあって、色々考えさせられます。
スラムでタフに生きていく子供達とアメリカ人旅行者を
対照的に描いているところは苦笑してしまう。
e0147206_22234391.jpg
少し気になる点もあるのはあるけど、減点するほどのものでもない。
司会者とのやりとりは面白いが、最後の問題が簡単すぎるとか、
最後の群舞シーンでヒロイン:フリーダ・ピントも踊るのだが、
主役のデーヴ・パテルほど踊りが上手くないとか、そういうところ。
一番しっくりこないのは、ジャマールが人生を語る相手が警官であるところ。
拷問するような警察がそんな素直に「スラムドッグ」の話を聞かないと思うのだ。
でも、映画としてコンパクトにまとめるには仕方ないのかな?

それにしても子役の素晴らしさはやっぱり特筆もの。
うーん、子供が出来ると、「子供シナプス」が強化されると
石坂啓が書いていたが、私も大幅に強化されたのかな?
[PR]
by zhimuqing | 2010-07-25 22:24 | Blues 4 Terapin | Comments(0)

『理由』に震え、カラクリに頷く

体調が優れないまま、中国から帰ってきた訳ですが、
この日本の暑さはやはり物凄いですね。
早くもゲンナリしてしまっているのであります。

先日薦めた宮部みゆきの『火車』がロンマク氏に絶賛されたのに
気を良くして、今回の出張でホテルで寝る前なんかに軽く読もうと
『理由』を持っていったのですが、堪え性のない私は
成田行きの電車に乗るやいなや、読み始めてしまったのでした。
e0147206_1432223.jpg


やっぱり宮部みゆきの代表作だけあって、実に噛み応えがある。
題材は若干古いのだが、経済状況もうまい具合に一回りしていて
昨今の状況に実にフィットしている。
登場人物のキャラクターのバラけ具合、その絡ませ具合、
時間軸の切り取り方と繋げ方、物凄い構成力だ。
この人の頭の中身は一体どうなっているのだろう?
ノンフィクションのような書き口も見事にハマっていると思う。

社会問題を描いた時の宮部みゆきは「家族」をテーマに置くことが多いが、
この『理由』でも、市井の様々な家族模様の機微を社会背景に溶け込ませながら
描いていて、読んでいる最中も読み終わってからも
色々と考えさせられるものがありますね。
まさに宮部みゆきならではの世界。

なので、逆のそういう部分を味わいつもりがなかったり、
謎解きのミステリーが単純に楽しみたかったり、
明確な答えが欲しかったりする向きに
私が思うほどの評価を貰っていないのも理解できるような気がする。
私の中での評価は五つ星でゆるぎないですけどね。

宮部みゆきには、是非とも今の社会状況を踏まえた上での
作品を一本お願いしたいですね。
広がるばかりの格差、ワーキング・プアの問題、
満足に教育が受けられない子供達、
書くべき題材、書いてほしい題材は山ほどある。
この人が書くことによる社会的な影響にも私は期待しているのだ。

e0147206_1424275.jpg
こちらは成田空港で買った斎藤貴男「消費税のカラクリ」。
これまで私が色々なところで聞きかじっていた
消費税の問題点が実にコンパクトにまとまっていて驚きましたが、
派遣社員の問題と消費税が表裏一体になっていることにも驚いた。
宮部みゆきが書くべき題材はここにもいっぱいある。
色々なことが勉強になったし、最後にある『対案』にも非常に良かった。
是非とも色々な人に読んでほしいが、
この本の冒頭の朝日新聞の記事と政府税調の答申の相似ぶりに
朝日新聞の購読をやめたい気持ちが一段と高まるのであります。
[PR]
by zhimuqing | 2010-07-24 23:50 | Make Me Wanna Holler | Comments(0)

出張のご挨拶

嫁の友人宅に遊びに行ったり、ロンマクさん一家が遊びに来たりで、
楽しく、忙しく過ごした3連休だったのだが、
色々頑張りすぎたのか、今日になって体調が一気に悪化して
熱中症のような症状でダウン寸前なのだが、
何と明日から週末まで中国出張。

体にこもっているような熱を体外に出すには
クールな音楽の方がいい様な気がするので、
とりあえず出張中はジョアン・ジルベルトを聞こうと思っております。
(とはいえ、聞きこむとと大興奮してしまい、暑くなるのが難点だ。)
e0147206_062877.jpg


それにしても、この期に及んで、木村さんとは個人的な付き合いはない、
と言い張っているらしいヘイゾさんですが、
この出張期間中に日本振興銀行の木村前会長絡みで
ヘイゾさんがお縄になるのをちょっとだけ期待しつつ、
そうなるとやっぱり暑くてもフェラ・クティ聞いてた方が良いのかな?
暑いので、皆さんもお体、ご自愛くださいませ。
e0147206_06403.jpg




ヘイゾさんの選挙での演説
2004年7月10日 @新橋

新橋にお集まりのみなさん、こんにちは。金融政策財政担当大臣の竹中平蔵です。
というより、参議院比例に立候補している竹中平蔵です。
せっかくのこのような機会、実は、私と木村さん、中々会えないわけです。
会っているところ見つかったら、必ず週刊誌が「劇薬コンビ復活」とかですね、
二人でよからぬ相談をしているとか、妄想にかきたてられたとんでもないことばっかり
面白おかしく書いて、中々お目にかかることもできない。

しかし、私が立候補することを決めたその時に、
私の気持ちをやはり一番理解して下さったのは、木村さんであり、
そして一緒に仕事をしている担当副大臣の伊藤達也さんだったと思います。

木村さんは、私はもう正真正銘、この金融の問題で
日本でいちばん詳しい方だと思います。
私はですから、二年前の一番大変なときに、大学者と言われる人たちが
みなオレは知らんよと言って知らん振りして逃げ、金融論の学者が逃げたときに、
私やっぱり頼りにできるのは、木村さんのように本当の実務を知っている、
そして志をもっている人だったんです。
いま木村さんが非常に熱っぽく語られましたが、
その中で本質は言い尽くされていると思います 。

[PR]
by zhimuqing | 2010-07-20 23:48 | Make Me Wanna Holler | Comments(0)

オーベアでサイエンスでエトゥに悶絶

10数年ぶりにレゲエというかリー・ペリーにハマっている私ですが、
リーペリーは名前からして韻を踏んでいるだけあって、
非常に耐久性が高いというか、聞き応え・噛み応えが満点だ。
重箱の隅をつつきまくって聞いても新しい発見があるし、
流して聞いても気持ち良いし。

ということで、先日この勢いに乗って古本で購入した
リー・ペリーの伝記本『People Funny Boy』、
ようやく読み終わりましたよ。
e0147206_044386.jpg
2段組で本文442ページ、字体は10ポイントぐらいかな、
実に読み応え満点で、通勤時間を中心に積極的に読んだのですが、
731gもあるので、鞄が重くなってしようがなかったのだが、
それだけの価値がある名著(迷著?)でしょう。
徹底的にペリー師の関連者に取材を重ねに重ねて
作られた全音楽愛好者にとって必携の書だと思います。
我が家の娘を狙って来る野郎共で、この本を読んでいないヤツは
我が家の敷居を跨がせないということをここに宣言します。

全編、面白いことは言うまでもないが、
やはりブラック・アーク・スタジオの崩壊以降は
やや面白みが薄れてしまうところは致し方ないところ。
まあ、それだけ、その前の部分が凄まじすぎるのだ。
e0147206_045727.jpg


やはり、一般的に一番気になる部分はボブ・マーリーとの絡みですね。
なかなか目が出ずにアメリカから帰国してきたマーリーが
新しい音とミュージシャンを求めてペリーの元にやってくるが、
歌ものをやるつもりがないペリーは頑なに依頼を断る。
しかしマーリーが歌を聞かせて、ペリーを動かすところなんかは
ジャメイカ音楽史上、一番重要なシーンでしょ?

ペリーの元を訪れた時のマーリーがソロでやろうとしていたこと、
それをペリーがバニーやトッシュの3人で続けるべきだと諭したことは
この本を読んで初めて知ったのだが、これだけでもリー・ペリーが
凄腕のプロデューサーだということが分かりますね。
私もボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ時代よりも
その前の3人のウェイラーズ時代の方が好きなんでね。
e0147206_0521666.jpg
ちなみにコアなレゲエファンはボブ・マーリーのベスト作は
リー・ペリー製作の『African Harbsman』を挙げることが多いようですが、
私は色々迷いますけど、アイランド第1作の『Catch A Fire』ですかね。
特にそれこそ10年前ぐらいにジャメイカ録音盤と合わせて発売された
デラックス・エディションは音楽市場最高峰の一枚だと断言します。
これに匹敵できるアルバムは世界に5枚ぐらいしかないと思うのだ。
e0147206_0454614.jpg
マーリーへの歌の指導もペリーが行ったということだが、
その辺の真偽は今の私には判断不能かな。
でも、ペリーの元にいた最高のリズムセクションである
カールトン(ds)とファミリーマン(b)のバレット兄弟を
ウェイラーズに提供したことだけとっても、
マーリーへのペリーの貢献度は並大抵なことではないし、
その後もずっとマーリーの心の支えになっていたことも
良く分かって、結構感動しましたよ。

ちなみに残りの、2/3ウェイラーズのトッシュやウェイラーとは
マーリーほどの信頼感を醸成できなかったようで、
その辺がちょっと残念かもしれないですね。
当時のこの二人ともガッチリ組めていたら、
間違いなく歴史に残る名作が出来てただけにね。

この本の素晴らしいところは、リー・ペリーの姿を追いつつも、
ジャメイカという国の情勢も同時に追うことが出来る所。
レゲエという音楽が国の政治とか情勢等に、
いかに密接に反応して発展してきたか、ということが、
この本を読むと実に良く分かる。
折々に挿入されるペリー関連のシンガーの詩の訳も
その辺の理解を深めるのに実に効果的だ。
というより、レゲエの国内盤はこういう部分で実に不親切で
対訳どころか歌詞も付いていないことが多い。
猛省すべし!


当時の2大政党であるPNPとJLPの対立のある部分は
アメリカとキューバに対する距離の取り方であったことや、
JLPの配下のギャング団の背後にCIAがいたらしいこと、
ペリーはそれに対抗するように、マックス・ロメオ「ウォー・イナ・バビロン」や
ジュニア・マーヴィン「警察と泥棒」を作ったことなんかも
初めて知ることで、背後関係の理解が非常に深まりましたね。

いちいち付箋を貼って読んでいた訳ではないので、
細かく挙げることは出来ないけど、その他にも
スカ~ロックステディ時代には、その音楽の成立に
キューバやトリニダード出身のミュージシャンが
深く関わっていたことなんかは、
良く考えると十分に可能性があることなんだけど、
完全に盲点だったな。
ニューオリンズ・キューバ・バイーアの3点を結ぶ
芳醇すぎるトライアングル。

そういう観点で、実は一番興奮したのは、
これまで知らなかった「オーベア」とか「エトゥ」という言葉。

エトゥ:
西アフリカに起源をもつ儀式的なダンスで、
祖先の霊を呼び起こし、罪を償うために踊られるもの。
この儀式では、灯油缶やヤギ皮の太鼓を叩き、ヨルバ語を使用した
コール&レスポンスが行われ、動物の生贄の血で十字架が描かれ、
捧げものとして轢いたコラ実を播き、地面にホワイトラムを注ぐ。

オーベア:
アフリカの精霊崇拝の伝統から産まれたもので、
敵にダメージを与えたり、敵から自分を守る手段として
広く信じられている。
別名サイエンス


この辺の文化?はもう完全にヴードゥーとかカンドンブレとか
サンテリーアの世界と重なるもので、
良く考えたら、地理的にも歴史的にもジャメイカに
絶対あるはずのものなんだけど、
ジャメイカ=ラスタファリズムのイメージが強すぎて、
あまり語られていない伝承文化ですね。
これは板垣真理子先生に突撃してもらうしかなさそうだ。
e0147206_05569.jpg
この本をしつこくプッシュするのだ。

で、リー・ペリーのお母さんはこのエトゥの踊り手だった上に、
オーベアのシンボルを良くレーベルロゴに使っていたということで、
ああ、これで、リー・ペリーがフェラ・クティやカエターノや
アルセニオ・ロドリゲスやティト・プエンテやドクタージョンと
見事に繋がった訳で、実に目出度い限りなのであります。
うーむ、見事にOpen the Gate!
やはり私の好きな音楽はGateの向こうで全部一つに繋がっていますね。

ということで、この本は非常に名作・大傑作で大コーフンなのだが、
いかんせん、本の中で紹介された音源、星の数ほどあるので、
一個ずつ聞いて行くと、これは完全に経済危機に陥ってしまうのが難点です。
これを読んでるペリー研究者の方々、私と友達になって下さいまし。
[PR]
by zhimuqing | 2010-07-18 23:02 | Open the gate | Comments(0)

常に過去最高峰

UAの歌うピンクレディーのモンスター、頭の中でずっと鳴り続けていて、
ムスメの前で「モンッスタァー」と、つい歌ってしまったら、
「なにそれ?」と聞かれたので、UAという歌手が云々と説明したのだが、
「なんで?」と言われ、返す言葉がなくなってしまったのであります。
3歳児のナゼナゼ攻撃はなかなか侮れない。

それにしても、先日のライブの選曲は妥協やコビがないというか、
今この瞬間、自身が歌いたい曲を歌いました、という感じで
説得力も抜群だったし、物凄く納得させられるものでしたね。
なんといっても『Golden Green』以降の曲が多くて、
その辺も私にとってはポイントが高くなってしまうのだけど。
e0147206_23352591.jpg
液体房間は音が拡散しない、というか、音が大変良いので、
鉄壁のリズム隊の音も良く聞き取られたし、
内橋和久のギターが心置きなく堪能できたのも嬉しい。

内橋氏、今回は間近でじっくり見ることが出来たし、
ライブの後に、プリマク氏に解説してもらったので、
謎だった部分も結構分かってきた感じもするのだけど、
よりその得体の知れなさが大きくなっただけ、というのが
本当のところなのでしょう。
惜しむらくは噂のダクソフォンの弓での演奏が
あまり聞こえなかったことですけど、でもまあ、本当に些細なことだ。

内橋和久が他でやっているインプロビゼーションでは
もっと抽象的で凄いことをやっているのだと思うけど、
やっぱりUAとのコンビだと、適度にポップな部分を残しつつ、
フリーキーに攻める所は攻めてて、しかも相互に反応しているのが、
とってもスリリングで、一粒で何度も味わえるのが実にお得だ。

このバンドの演奏はいつ見ても本当に凄いのだが、
音が良いハコだからか、格別に絶好調。
1曲目が終わった時点で、チケット代の元は取れた、とはプリマク氏。
濃厚な音塊をぶつけてくるバンドに対峙するUAは
「凄い」というよりも、「凄み」という表現のほうがしっくりと来る。
それでいて、あくまでも自然体で突き抜けているところが
なんといっても今のUAの「凄み」なのだと思います。

昔の曲を歌うときに感じる物足りなさも、その辺が原因かな?
今回演った「プライヴェート・サーファー」もそうだが、
昔の楽曲だと、今の進化(深化)したUAの表現力を
支えきれなくなってきているのだろう。
「太陽手に月は心の両手に」とか「HORIZON」なんかは
まさにそんな感じを受けます。
e0147206_23355043.jpg
そういう意味で、「モンスター」とか「買い物ブギ」は
楽曲そのものの懐が深いから、非常にスリリングなのだろうし、
シンプルな「水色」も、そのために解釈の幅が広く取れるから、
今のUAの表現力にも対応できるのだろう。
さらに言うと、「情熱」や「悲しみジョニー」、「波動」なんかは
楽曲そのものを再構築し直しているから、今でも面白いのだと
そういうことをゴチャゴチャ考えるのでありますが、
そんなセンスのないことをグダグダ考える私と対照的に
スコーンと突き抜けているUAがやはりカッコイイなあ。

それにしても、今この瞬間が常に過去最高峰というミュージシャンは
なかなか遭遇できないことだと思うので、
これは大変ラッキーなことだと思うのであります、はい。
まだまだ楽しませていただきます。
e0147206_23363748.jpg

[PR]
by zhimuqing | 2010-07-15 23:33 | Blues 4 Terapin | Comments(0)

なんともタイムリー

モヤーン氏のいるノースイースト九州の研究所?に
突然ブラジル人の留学生さんがやってきたらしい。
国際交流というか、そういうものの一環らしいのだが、
ここ最近のモヤーン氏というか我々の研究テーマに
非常に近い方の登場ということで、このところ色々な事柄が
見事に繋がっている感が加速する日々なのです。

早速サンバのステップとかリズムの訛りを探っているらしいのだが、
相手もさる者?カエターノやジルベルト・ジルはもちろんのこと、
サンバが好きだということで、会話の端々にスルドとかカルトーラとか
そういう単語がバシバシ出てきて、非常に刺激的であるようだ。

東京の某大学に3カ月いるらしいので、なんとかファーストコンタクトして
まずはサンバあたりから攻めていって、目下最大のテーマである
カンドンブレの真髄のカケラのカケラぐらいに接近したいものだ。

という話で、盛り上がっている中、なんともタイムリーなのだが、
イギリスに注文していた本が届いたのであります。


e0147206_0321641.jpg
Leah Gordon 『KANAVAL』
Voudou Politics and Revolution on the streets of Haiti


ハイチのヴードゥー・カーニバルの写真+口承歴史の本。
表紙を見ただけで、これは必携であることは明らかなのだが、
中身の写真も凄まじい。
e0147206_0323050.jpg
e0147206_0324462.jpg
写真を見るだけでも十分というか十二分なのだが、
中身も気合を入れて読むしかない。
英語の文体自体は決して難解ではないようだが、
通常あまり見ない単語が出てくるところが
これまた痺れるのだ。
e0147206_033492.jpg
とりあえず、現段階で分かったことは
水牛の角はどうしても必要そうだ、ということですね。
早速どこかで入手して、通勤時の満員電車の中で
装着してみることとしよう。
かなり効果がありそうな気がするのだ。
e0147206_0325523.jpg


こちらは都内某所で遭遇したブツ。
もしかしたら位置関係、遠そうで近い所にある?
e0147206_0342815.jpg

[PR]
by zhimuqing | 2010-07-14 23:53 | Funkentelechy | Comments(0)

溜飲を下げたのと下げられなかったこと

スポーツ関係で私に応援されると、そのチームは大抵勝てません。
特にテレビで中継を見ながら応援すると、まずアウトですね。
オリンピックやNBAはいうまでもなく、大相撲のようなものだって
優勝がかかった大一番で、心底応援している人が勝ったためしがない。

ということで、ナイジェリアの呪術師に雇って貰えそうな気がしていたのだが、
今回のワールドカップでも、ナイジェリアはそうそうに消えちゃうし、
アルゼンチンも予想外の大差で負けちゃうしで、今回もダメかと思ってたら、
スペインが期待通りに優勝してくれたので、言葉の本来の意味とは違うけど、
もう溜飲を下げまくりです。
e0147206_12421893.jpg
玉際での自由自在な足裁き、ペナルティ・エリアの近くでチョコマカ繋ぐパス、
あっという間に中盤で相手ボールを奪うディフェンス、
ああいう美しいサッカーが買ってくれるのが嬉しい。
オバサンの外見のプジョルの男気にも燃えたし、
シャビ・アロンソとかピケはウルヴァリンのようで私の好みだし、
Mr.ビーンのような顔してシャビは凄いプレー連発するし。
e0147206_12413197.jpg
でもやっぱりぐっと来たのは、イニエスタがゴール決めた直後と
優勝が決まった時のカシージャスが泣いている姿ですかね。
あと、これは後付けだけど、イエロー貰うの覚悟で
亡き友にゴールを捧げるイニエスタの男気にも本当に痺れます。
あと、オランダのロッベンの男気溢れるアタックにも
心が熱く動かされました。

さて、もういっちょ溜飲を下げたかった参院選だが、
カンナオトがぼろ負けしたのは良かったのだが、
自民党が予想外に議席を伸ばしたので、正直あまり嬉しくない。

民主・自民両党合わせて95議席(改選前に比べ3議席増)なので、
おそらく朝日読売日経は「消費税増税OK」の民意が示されたと
アピールしてくるのだろう。
早速カンナオトは「消費税論議自体は否決されていない」と
この大敗ぶりにもかかわらず強弁しているが、
もうマスコミに頼るしかない立場としては、それ以外に方法が無いのだろう。
なんとも情けない「市民運動家」の末路ではあります。
これまでの『国民の生活が一番』路線に戻ればいいだけなのだが。

やはりアメリカやイギリスのような二大政党制というのは
今の日本にはなじまないと思う。
小選挙区制はもちろんのこと、今回の参院選のような
一人区、二人区の選挙区だと、二大政党の政策がほぼ同じ内容で
第3、第4の党を選ぼうとしても、当選する可能性が極めて低くなってしまう。
棄権や白票という手があっても、議員自体を選べなくなってしまう。
やはり、そういう意味では、今回の参院選の比例区のように
候補者の名前と政党のどちらかを選べる方式のほうが良いと思うですけどね。
(あるいは、呉越同舟である民主党の中身を一度整理するとか)

さっそく公明党とみんなの党に連携を呼びかけているようなのだが、
普天間基地で社民党が裏切られ、郵政問題で国民新党が裏切られつつあることを
両党はよーく思い出して欲しいものだ。
選挙の結果を受けた動きが思っているより表に出てきていないのだが、
おそらく水面下で色々駆け引きが始まっているのでしょう。
今回こそはうまくやられないように気をつけて欲しいものだ。
[PR]
by zhimuqing | 2010-07-12 23:36 | Change! | Comments(0)