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絶妙な三位一体にほっぺが落ちる件

ということで、連休1日目は幼稚園主催の遠足?で
江戸川の川縁を歩いてみたのだが、
風がとても強かったので、調子に乗って吹き飛ばされるフリをしたら、
ベビーカーごと派手にこけてしまい、
それに驚いたムスメが「家に帰る」と半べそをかいたり、と
なかなか盛り上がらない遠足になったのであります。

とはいいつつも、矢切の渡しで対岸に渡って、
葛飾柴又に至るころには晴れ間も覗いて
なかなか楽しくなったのでありました。
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帝釈天にて思い思いのポーズを取る二人。

それにしても九州の人間には柴又とか寅さんとかこち亀というと、
なんだか浅草の近くにあるようなイメージなんですけど、
県境(都境?)に位置していることがなんだか新鮮ですね。
F橋に住んでいる私にはなんだか親しみを感じますよ。
まだ1本も見たことがない寅さんの映画を
見てもいいかな?と思ったぐらい。

名物らしい草団子とか佃煮なんかを売っている店が
参道沿いにいっぱいあるので、色々食べてみたのだが、
なんといっても『い志い』の「塩どら焼き」が美味い!
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餡子と生クリームと塩という組み合わせのどら焼き、
1個200円と結構な値段がするのだが、
焼きたての生地はあくまでも軽やか、
餡とクリーム、お互いに持ち味が違う甘みは
そこに塩が加わることによって、すっきりと整えられている。
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餡とクリームと塩による理想的なバランス。
一説によると、このドラ焼きは各国の要人にも影響を与えているらしい。
このバランスに感動し、自身のジャンルに応用した例として、
フィル・ジャクソンのトライアングル・オフェンスや
ガイア、オルテガ、マッシュによるジェットストリーム・アタック、
ガンディーの三猿の教え等が挙げられるそうです。
(出展:豊後両子寺書房刊 津蟹聖司著「ドラ焼きが世界を巡る」より)

要は塩の効き具合が絶妙なのだ。
エディ・ケンがメインの歌に時々入るデイヴィッド・ラフィンの声とか
もしくはバッキングにまわった時のセロニアス・モンクとか
サディークの裏に回るようなベース・ランニングとか、
なんだかそういうものを思い出す素晴らしいドラ焼きなのであります。

ということで、この連休中にはもう1回買いに行くぞ!と
そんなことを考えたりもするのですけど、
カロリー高そうなんで、控えたほうがいいのかな?
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帝釈天の境内にあった謎の蛇?ウ○コ?
得体が知れないが、ご利益がありそうではある。
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by zhimuqing | 2010-04-29 23:31 | Hot Barbeque | Comments(0)

心が色々揺れ動く件

キャプテンEO、ディズニーランドで再演?されるそうで、
これはあそこが嫌いな私もちょっと心が揺れ動くぞ!
どないしましょ?
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さて、ライトメロウでAORな金澤氏が監修しているシリーズは
本来私の趣味とは結構違うタイプになるはずなのだが、
なんだかんだで、私の琴線に触れる再発をぶちかますので
なかなか侮れないのだ。
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で、7,8月にソウル系の再発が10枚ほど決まったらしいのだが、
これもなかなか美味しいセレクションで、いいツボを突いてきますねぇ。
しかも全部SHM-CDで、全部リマスター、しかも定価2100円!

悲運のシンガー、シェリックの唯一のCDにボーナストラックがつくようで
この1曲のためにCD買い換えるか悩んでしまうし、
元オハイオプレイヤーズのダイアモンドとかビリー・ベックが結成し、
リオン・ウェアがプロデュースのシャドウも多少は気になるけど、
それよりもエムトゥーメイとレジー・ルーカスがプロデュースした
スピナーズの81年作品なんかが凄く気になるわけです。
(サダーンは持っているので、今回はパス)

とはいえ、個人的な今回の目玉はオハイオの至宝、
シュガーフット様の今のところ唯一のソロアルバムですね。
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数年前にどこかで再発されていたCDを巡って
ヤフオクでの激しい戦いを指を咥えて眺めていたり、
手が届かないので中古LPを!と思い立つも入手できなかった
このアルバムがようやく手に入るのだ。

ロジャー・トラウトマンとそのファミリー総出で作ったらしいこのアルバム、
今の耳で聴くと多少厳しいところもあるかもしれないが、
全盛期ザップの音にシュガーフットの声が乗っかり、
しかもロジャーの名曲「I wanna be your man」の元曲である
「I'm your sugar」が入っているとなると、これはやっぱり入手せずにいられません。
うーん、楽しみだ。

タイミングよく、あの音の悪い事で有名なギロッポンのライブハウスで
シュガーフットが6月来日公演!というのが、
またまた私の心を燃やすのであります!
音もサービスもコストパフォーマンスも悪いあそこには行かないと決心した私ですが、
決意が物凄く鈍ってしまう今日この頃であります。
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by zhimuqing | 2010-04-27 21:36 | Funkentelechy | Comments(6)

ネルソン・ジョージに飲み込まれる

携帯の機能は電話とメールと写真とアドレス帳とアラームしか使わないので、
結局ツイッターはまったく使いこなせていないのですけど、
石田昌隆とかマーク・ラパポートとかピータ・バラカンとか
エリカ・バドゥとかクエストラブがいるので、
なかなか見切ってしまうことも出来ない今日この頃です。

突然MM誌での連載を止めてしまったラパポートさんのツイッターは
さすがに面白く、なかなか興味をそそられるものが多い。
下のツイッターなんか、私(達)の気持ちを代弁していますね。

「音楽が好きで、私たちと一緒に雑誌や本を作ってくれるスタッフを募集します」とは
月刊『MM』4月号掲載の求人広告。
本音は「生涯アイドルポップ指向で、私たちと一緒に思想に欠けた雑誌や
本を安月給で作ってくれるパープリンのオタクを募集します」


それはさておき、ラパポート氏の紹介する音楽家と私の気になる人が
ここに来て結構重なってくることが増えてきているのだけど、
それは私の好みの領域が『ジャズじゃ』に近付いてきているからなのか?
実際に東京で見ることができたミュージシャンが多いこともあるのだろうけど。

ということで、今月号のミュージックマガジンも当然のことながら
立ち読みでパスした私でありますが、ワックス・ポエティックスは購入。
ですが、今月号も国内版の記事が多くて、満足度は7割ぐらいかな。
本家の記事を7~8割、国内版の記事を残り、という割合にしてくれたらいいのだけど。
若干切り口が甘い感じがしてしまうのだ。
とはいえ、今のMM誌に比べると遥かに出来は良いし、
そもそも私のワックス・ポエティックに対する期待が凄く高い訳だけど。

やはりこういう音楽評論の肝になるのは、その切り口になるわけで、
今月号だったら、セイ・アダムスとかラロ・シフリンの記事は大変興味深いし、
そういう意味でジミヘンとかテディ・ペンの記事は物足りないのだ。

そんなような辛口になってしまうのも、直前に読んだ本が凄すぎるので
仕方ないといえば仕方ない。
先日、荻窪で入手したネルソン・ジョージの「リズム&ブルースの死」は
名著として誉れ高い訳ですが、今まで読んでいなかったこと自体が
怠慢とも言われてしまいそうな、そういう素晴らしく興奮させる本ですね。
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高校生のころ、天神の紀伊国屋で何回か立ち読みしたのだが、
当時の知識では付いていけずに購入を断念していたのだ。


街のレコード屋やラジオ局、ラジオのDJの変遷に光を当てることで
ブラック・コミュニティーの環境の変化とそれによるアメリカ黒人音楽の変化を捉えた
この切り口はタイトル以上に非常に刺激的で、興奮させられました。
なにせ本文の始まりがワシントンとデュボイスの論争からスタートしますからね。
20年以上前の本だが、全く内容は古びていない。
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アメリカの本の方がデザインは10000倍以上かっこいい。
余談になるが、このコミュニティーの変遷を描いているところは、
ペレケーノスの諸作に流れる通低音とも共通する心象風景を感じます、はい。


全編なるほどと深く考えさせられる内容に満ちているのだけど、
著者がリロイ・ジョーンズの名著『ブルースの魂』から引用しつつ、
それに引き続いて重ねていく言葉、人種的プライドと法のもとでの平等を
両立すべきだという言葉は、非常に含蓄深い。
ある意味、米国黒人音楽の世界に限らず、
現在の世界中の様々な状況に当てはまるような、そんな感じも受けるほど。

この本は80年代後半に書かれたものなので、
ヒッポホップをブラック・コミュニティーの生命力の表れというように書かれているが、
ヒップホップも、もうとっくの昔にそうでなくなってしまっていて、
そのあたりとかインターネットの発達にかかわる部分に対する
ネルソン・ジョージの考えが非常に気になるところですが、
その辺は2002年に出た本に書いたりしているのでしょうか?
古本で買うと決めて入るものの、またまた出費が重なるなぁ。
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翻訳されていない本も多数ある模様。
やっぱり向こうのペイパーバックに手を出さざるを得ないのか?

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by zhimuqing | 2010-04-25 23:59 | La Sombra Del Viento | Comments(0)

捻じれた会話を生で見たくなってしまう件

東北に出張に行くと雪が降っているし、
なかなか変な天気が続く訳ですが、
そういう中での温泉は気持ちが良いものです。
今回は親分と同僚の3名での出張だったので、
レンタカーでかけるCDは控えめなものにしていたのですが、
シモナルとカルトーラとルイ・ジョーダンと吾妻光良、
どれも同行したY女史に「これ、全部貸しといて」と言われ、
なんだか良い気分なのであります。
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これまた、たまらなくバカバカしくも、ブルージーで、人間味に溢れた張り紙。

さて、先日急逝してしまったグールーを偲んで、
部屋でギャングスターのベスト盤を聞いていると、
『I'm The Man』で聞いたことがあるベースの音がしたので、
iPODを漁ると、チャールズ・ミンガスだったので、驚きました。
(ギャングスターはやっぱりカッコいい)

先日荻窪で買ったミンガスの自伝を読み終わるタイミングだったので、
少々驚いたのだが、些細とはいえ、めぐりあわせなのだ。
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このミンガスの自伝、『自伝・負け犬の下で』、
ずっと読みたかった本なのだが、
想像していたものとはかなり異なっていましたね。

基本的にその折々に様々な人々と交わした会話が主体となって、
少しずつ時間軸と空間軸が捻じれていくような
なかなかダビーな展開で、これは賞味期限の長そうな文学だと思うのだ。

様々な女性と出会いと軋轢とかピンプとかハスラーとのやりとり、
肌の色が浅い黒人として生まれたことに対する葛藤等、
そこで交わされる会話は実に臨場感に溢れていて、
本の中に引き込まれてしまうのだが、
気がつくと満員電車の中で臍の下方面の話を
一心不乱に読んでいる自分がいたりして、
事情を知らない人には誤解を招きそうな本でもあります。

色々なジャズメンも登場するが、
マイルスとかモンクは期待したほど出てこないし、
ファッツ・ナバロの死に至る所で本が終わるので、
ドルフィーとかローランド・カークも出てこないのがちょっと残念。

それにしてもマイルス、ちょっとしか登場しないが、
いきなり登場してこの台詞なのが笑える。
「俺は吹いたぜ、マザーファッカー。あんたの番だ。コックサッカーめ。吹けよ、ラッキー」
モンクもほとんど登場しないが、いきなりミンガスの部屋のパーティーで
踊りだすところが笑えます。

それにしても、バードとマイルスとミンガスとラッキーが一緒に演奏したり、
ミンガスの家にディズとテイタムとコールマン・ホーキンスとモンクが来たり、と
本を読んでいるだけで、鼻血が出そうになる。
一番笑えるのはエリントン楽団の逸話ですね。
トロンボーンのティゾルと大喧嘩してナイフを出したティゾルに対し、
防火用の斧で襲いかかるミンガス、それを後日面白そうに語りつつ、
ミンガスに引導を渡すエリントン。

ビリー・ホリディとの会話もたまらなくブルージーだが、
一番グッとくるところは、やはりファッツ・ナバロとの魂がこもった会話。
天才同士の心からの交流に熱くなる。
ナバロとミンガスの文字通り最後となる会話のところで、
本が唐突に終わって、深い余韻を残すのであります。
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最後まで読んで、冒頭に戻ると、初めの一説の印象がまた一際強く、
そのまま本の中に引き込まれそうになる。
グルグル連環した、なかなか興味深い素晴らしい本でした。
うーん、ミンガスの曲も演りたいぞ!
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by zhimuqing | 2010-04-23 23:13 | On The Corner | Comments(2)

名コンビ数あれど

ギャングスターに関しては、その全盛期には
私の耳がまだ開いていなかったこともあり、
なかなかその良さが分からなかったのだが、
ある日突然物凄く良いことに気づいて
びっくりしたものである。

プレミアのドープ(と表現するより他にない)な素晴らしい音の上に
自在に乗りこなすモノトーンなグールーの声の響き。
ヒップホップの一番面白かった時代の
一番コンシャスで一番ストイックな音。
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名コンビ数あれど、このコンビに匹敵できるのは
マイルス&コルトレーンぐらいしか思い浮かばない。

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初めて聞いたのは、スパイク・リーの映画のラストを飾ったJazz Thing。
一番好きなのは、選ぶのが難しいけどThe Planetかな。
いい曲しか入っていない2枚組のベスト盤を聞いて、グールーを偲ぶとしよう。
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アルバム単位だと、これが一番かな?


こちらはエリカ・バドゥとグールーのコラボ。
声の対比が実にすばらしい。
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by zhimuqing | 2010-04-23 00:40 | Make Me Wanna Holler | Comments(0)

雨季直前のマンゴーのように艶やかな

家族や友人が優しく気遣ってくれている私の歯痛でありますが、
昨日ようやく歯医者にて正式に診断してもらったのだが、
根っこがやられているらしい。

昨年末から2ヶ月強かけて歯医者に通ったのに、
気が付かずスルーされてたというのは、これは歯医者のミスなのでは?
よく分からないだけに、なんだか疑わしい気持ちで一杯。
それにしても、左の下頬が少し腫れてしまい、
タダでさえデカイ顔とデカイ態度が更にデカクなることに。

そんな話は痛み止めが聞いている今、どうでも良いのだが、
ウィルソン・シモナルのボックスがようやく届いて、大変嬉しいのだ。
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年末に注文してから、海の向こうから届くまで約4ヶ月。
もしかしたら入手できないかも、と少し諦めかけていただけに
予期しないプレゼントですね。(と言っても、自分で買ったものなのだが)
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60年代から70年代のサンバというかブラジルのポップス界を
駆け抜けた(らしい)ウィルソン・シモナル、
軽いと言えば軽いし、コマーシャルな感じも無きにしも非ずだが、
小粋にシブトイというか、滑らかに引っかかる歌とか、
よく見るとうっすら汗ばんでいる黒い肌が非常に気持ちよく、
さすがに音楽大国ブラジルと思わせるものに溢れていますね。

このボックスは数年前に悪名高いCCCDで発売されたものの、
限定盤だったため入手できず涙を飲んだブツなんですけど、
今回は24ビットのデジタルリマスターで、しかも通常版のCDということで、
あの時買えなくて本当に良かった良かった。

1961年~1971年までのオデオン音源をまとめたもので、
大体アルバム2枚+ボーナストラックをCD1枚にまとめている。
ソン・トレスがバックをつけていて、メローかつファンキーな歌と演奏は
先日ベトナムで食べた雨季直前の完熟マンゴーのよう。
マイナスイオンとかスピリチュアル・スポットとかヒーリング・グッズとか
そんなものに金を使うぐらいだったら、シモナルを聞いたほうが良い。
朝でも昼でも深夜でも春でも夏で真冬でも、いつでもOKな全方位音楽。
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60年代前半のアルバムは時代柄ボッサ調のものが多いが、
軽やかにスウィングする歌は力みもせず脱力もしていないという
なんというんですか、自然体の極みって感じです。
録音順に聞いているので、まだ全部聞けているわけではないので、
あとで印象が代わってしまうかもしれないけど。

あと印象的なのは曲の良さ。
ジョビンとかジョルジ・ベンとかカエターノとか良く知った名前と
私の勉強不足でよく知らない名前がいっぱいあるのだが、
いい曲、いい歌、いい演奏がタップリ。
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ブラジル音楽の魅力の一つは曲にあると感じているのですけど、
最近思うに、猫も杓子も曲を書く必要があるのか?ということ。
世の中には星の数ほど良い曲があるわけで、
人の作った良い曲を自分なりに表現出来れば、
それでいいのではないか?と思う訳です。
カルトーラの歌詞を読んだり、こういういい曲を聴くと
シンガー・ソング・ライターのほうが単に歌を歌う人よりも
それだけで評価されるという風潮に疑問を感じるのであります。

でもまあ、そんな理屈っぽいこと、シモナルさん聞いていると
どうでも良くなってしまうんですけどね。
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この写真は非常に惜しい。
薬指と小指をくっつけていれば最高だったのに。
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by zhimuqing | 2010-04-20 23:36 | Mickey's Monkey Job | Comments(0)

ママのミルクに感涙する

ということで、プリマク氏が上京している中、今年最高の楽しみと言っても全く過言ではないエリカ・バドゥのライブに出撃!一部で噂になっているロノブ兄さんと3人、3/8 マクンヴァですな。(正式な分母はちょっと不明だけど)
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興奮のためか、ゾンビパウダーのためか、トランスに入ったお二人。

入り口で屈強なブラザーの予期しないボディ・チェックに若干焦りながらも、会場の横浜ベイホールに入ったのだが、何年ぶりかな? この会場!P.ファンクで見に来て以来なんで、15年は経ってると思うのだけど。アトミックドッグでクールネス極まりないシンセを弾いてたア●プ・フィ●ラーに「おい、●リ●ァナ持っていないか?」と聞かれた非常に思い出深い会場ですね。
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開演までは結構長かったので、その間も歯痛と闘うために鎮痛剤をオクスリをキめる人のように飲みながらも、ひそかにテンションを上げていったのだが鎮痛剤なんか屁の役にも立ちませんね。物凄い表現者が本気で表現すると、こちらのありきたりな期待を軽く超えてしまうということなのですね。当然ショーの間、ただただ呆然と魅せられたまま、歯のことなんか、神経が感じないのであります。

ここまで素晴らしいアルバムを積み重ねているエリカ・バドゥ、その素晴らしい曲をライブで聴かせるだけで、誰をも納得できるショーになるのだと思うのだが、そんなレベルは完全に超えて、表現者としてギリギリ攻めていく結果、別の表現、別の次元にまで達していて、ただただ圧倒されるのみ。度肝とか尻子玉とか色々なものを抜かれましたよ。
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非常に高度な表現を強いられているにも関わらず、楽々とこなしてしまうバンドも素晴らしいし、ラップトップやDJが出す音やリズムパッドやテルミンも歌世界の表現を広げるための必然性をもったものとしてそこには組み込まれている。

バンド、そして出てくる音も凄いのだが、それをも凌駕、いや凌駕ではなくて、包み込んでしまうエリカ・バドゥの表現者としての凄味こそが、最高の醍醐味。表現に対する迷いの無さは切れ味が鋭すぎて、ドライアイスで火傷をしてしまうようなそういう感覚に近い。

かなり前方で見ることができたこともあるのだが、瞼や指先や髪の先まで神経が行きとどいた身のこなし、破れたTシャツの破れ方、シルクハットの被り方、ドレッドが解けたような髪型、随所に決めるアフリカと宇宙が合体したようなポージング、目線やブレス一つだけでも強力な磁場を作り出すことができる本物だ。色がないはずの背景が深緑がうごめくように見えてくる。(ラリってたわけではないっすよ。)
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ライブを見て強く印象に残ったのは歌の強さ。どちらかというと線が細い印象があったのだが、完全にその印象はひっくり返りましたね。自在なフレージングはもとより、竹が裂けるような鞭がしなるような瞬発力やここぞという時に見せるとっておきの爆発力やジャジーなグルーブでもドープなビートでも軽々と乗りこなす運動神経はこの人がアフリカ由来の芳醇な音楽土壌から産まれてきた人であることを完璧な形で証明していますね。コーラス隊との歌の絡みがホーリー・ゴーストを呼び出すのもむべなるかな。
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音楽的にもステージの構成的にも、ルイ・ジョーダンやキャブ・キャロウェイから続く素晴らしいブラック・エンタータイナーの王道というか精髄というかエッセンスを正統に引き継いでいる、そんな素晴らしい音楽表現を行っているのが、非常に美貌に恵まれた一人の女性であることが更に感動を深めるのだ。
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クールな批評性も持っているところなんかは、スリム・ゲイラードやスライ・ストーン、ジョージ・クリントンを引き継いでいると言えるし、バンドに目が全く行かず、主役一人に目が釘付けになる、そういう感覚はもしかしたらマイケル・ジャクソン以来じゃないのか。(そういえば、途中にオフ・ザ・ウォールを挟んでいたな)

現時点で世界最高のファンカティアーであることは間違いないでしょう。

しかもスライやマーヴィンやディアンジェロのような天才ゆえのバランスの悪さもなく、(それはそれで魅力的であったりもするのだが)まだまだ非常に高いレベルで安定した活動が期待できるのだ。ルークに最後の希望を託さざるを得ない反乱軍にやっかまれそうなくらい。
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この精神的な安定感によって、曲やMCでのメッセージが活きてくるのだ。銃を捨てろ!とか、スレイブマスターからの自由を!とか人民に力を!とかそういうメッセージがまったく上滑りせずに、心にズドンと落ちる説得力の塊。地元で貧困家庭の子供達に対する慈善活動を展開しているのも全く頷ける話だ。

そんなこんなで感動の連続であったライブなのだが、私は最後の最後で完全にやられましたよ。ライブの終盤、Tシャツの胸の部分に出来た染みに「マイ・ミルクが」と説明して、1歳なるかならないかの子供がステージに登場し、一人のママの顔に戻った時の笑顔を見た時、そして最後、MCの最中に子供の声が聞こえてきて、「これから(子供の)ディナーだから」といって笑顔でステージを後にした時、私は本当に感動したと同時に、心底から信頼できる人だなと感じたのでした。
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エリカ・バドゥは最高だ!
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by zhimuqing | 2010-04-18 23:41 | Funkentelechy | Comments(0)

知らず4+1に盛り上がる。

そんなわけでベトナムから帰ってきた訳ですが、
びっくりするぐらい寒くて、驚きますね。
昨日まで日中42℃だったのに。

それはさておき、遂に関東に出てくることとなったプリマク氏が
家探しに上京しているので、寒い寒い眠い眠いといいつつ、
久しぶりに会ったムスメが一緒に行く、というのも振り切りつつ、
荻窪のライブハウス『ベルベット・サン』で合流したのであります。

お目当ては『渋さチビズ』改め『知らず4』!
なんといってもこれまで2回見たライブが素晴らしかったし、
プリマクさん上京の第1発目として、これほどふさわしいものは
なかなか思いつかないのだ。

今回はゲストで坂田明ということで、
会場も満員に近い状態、30人くらい集まってましたが、
濃厚なジャズ・オタクのようなサラリーマンから、
生業不明度が高い兄さんや姉さんまで、濃厚な雰囲気。

サックスの立花秀輝がトイレに行っている間に
ステージが始まったのだが、何事もないようにステージに戻って、
いきなり爆裂する立花氏のサックスはやはり素晴らしく、
寒い中、荻窪まで足を運んだ甲斐もあるというもんです。
アブストラクトなのに、肉感的。
こう、音符を捻じ曲げて宙に放って何かを掴もうとする
サックスにはいつも感嘆させられるのだ。

スガダイローのダビーでピリャリとしたピアノも素晴らしいが、
今日は何と言っても磯部潤のドラムがキレてて圧倒的。
激しく逸脱しても、リズムのノリを失わず、それでいて
メンバーが思い思いに出す音への反応が非常に速く、
カッチョイイというぐらいしか、まあ言葉が思いつかない。

坂田明は伊達にミジンコで有名な訳ではなく、
伸縮自在な音が素晴らしいが、クラでのリリカルなプレイが
今回の収穫でしょうか。
プリマク氏は「顔を輪郭の線が細くて宇宙人みたい」と言っていましたが、
私見では「顔の表皮が薄いが故の地球人離れ」なのではないかと
睨んでいたりするのですが、同じアルトサックスの立花氏との
対比が非常に聞きごたえ抜群。
何故か痛くなっている左の奥歯の痛みも忘れるというもんだ。
両者のブルースの解釈の違いが面白かった、とはプリマク氏の弁。
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猫とカラスと港について熱く歌う坂田氏。

それにしても、狂おしくて、ロマンティコで、ファンクネス溢れるこういう音楽は
やはりホーチミンとかではなかなか味わえない訳で、
いくら寒いとはいえ、東京はいいもんだな。
と、思いながらライブハウスを後にしたのだが、
帰りの電車が異様に混んでいて、乗車率は200%超えのような状態。
押しくら饅頭なので、寒くはないのだが、
いきなり現実に戻される雪が降りそうな4月の東京なのでした。
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それにしても荻窪、古本屋が充実している。
立ち寄った本屋で格安にてこの収穫!
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by zhimuqing | 2010-04-17 01:10 | On The Corner | Comments(0)

越南は大層暑くて妄想してしまう件

以前転職しないかと誘われていた会社がなんと倒産したということで、
結構いい給料、提示されていたんだけど、行かなくて良かったと思いつつ、
やはり人生一寸先は闇だな、と考えさせられている今日この頃です。

そんな今日この頃、ベトナムに出張に行って来たのだが、
出張先が田舎だったので、ネットもつながらないし、
日本の衛星放送も入らない、という10年前の中国の田舎のようだったのだけど、
仕事が忙しかったこともあり、意外と大丈夫というか平気なもんですね。

それにしても、ベトナムは中国の影響を凄く受けているわけですけど、
わりとノンビリというか肩の力は抜けてるし、ご飯はうまいし、アオザイは可愛いしで、
昼はめちゃくちゃ暑いのと、ホテルとか飛行機の空調が寒すぎるのと除けば、
結構いいところですね。
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結婚式の新郎新婦が乗る車のデコレーションは
中国とほぼ同じような感じ。


あと、いろいろな意味で垢抜けていない絶妙な格好悪さがいい。
香港とかバンコクとか上海では既に失われた旨味成分がたっぷり。
せっかくホー・チ・ミンおじさんというキャラがたったアイコンがあるのに、
全然活かしきれていないし。

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この広告の垢抜けなさ、味わい深さは格別なもんですが、
この人は70年代後半のレア・グルーブの雄、Nguyen The Thai の娘で
再評価の兆しがあるというNguyen Ngoc Thanh Vanらしい。
父親譲りのファンクネスを濃縮したグルーブが基本なのだが、
そこにチープなシンセが加わることで、結果として一時期の西海岸モノに
近づいてしまっている上、カンボジア人ギタリストによるサイケなギターが
飛び道具として加わり、しぶといウネリが生み出されており、
もしかしたら時代の革新者になれたかもしれない、と
そういう感じを受ける人もいるかもしれない。

サイケなギターを弾いているのはクメールルージュから逃れてきた
カンボジア人の2世であるLe Ngoc Anhなのだが、
ラオス周辺との疑惑が広がり、現在行方不明だということ。
彼の行方も気になるところでありますね。
なおこの人、徴兵時代のシアトル出身のギタリストの血が
訳あって流れているという噂もあるのだが、
噂の真偽はよく分からないのだ。

そういう疑惑にまつわる因縁もあり、
この人達の音源は現在はなかなか入手できないそうなのだが、
今回知り合ったNihso Nogam Avm Uqam氏がコレクションとして
大事に取っているもの。
残念ながら時間がなくて、コピーを貰うことができなかったのだが、
その辺は次回の楽しみとしてとっておこうと思ったりしつつも、
なんだか暑くて妄想も激しくなってきたので、
この辺でやめておこうと思う今日この頃なのだ。
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by zhimuqing | 2010-04-16 23:10 | Mickey's Monkey Job | Comments(0)

4千万歩の男の姿がダブるのだ。

この作家に出会っていないと、
私は本をあまり読まない人になってたかもしれない。

伊能忠敬を書いた『4千万歩の男』、残念ながら未完に終わったのですが、
そこで描いた実直で着実でおっちょこちょいな男の姿は
貴方自身の実像であるような気もしています。
素晴らしい歩みっぷりで、他の追随を許さない。

最高傑作はやっぱり『吉里吉里人』だと思うけど、
その他にも『ブンとフン』とか『不忠臣蔵』とか『下駄の上の卵』とか
『ナイン』とか『ドン松五郎の生活』とか『手鎖心中』とか『四千万歩の男』とか
『四十一番の少年』とか『腹鼓記』とか『浅草鳥越あずま床』とか
『東京セブンローズ』とか『喜劇役者たち』とか
忘れてはならない『新釈遠野物語』とか、
本当に楽しませてもらったし、勉強もさせてもらったし、
変化球に見えるけど直球以外の何物でもない
素晴らしい文学に少し後追いだったけど、
同時代に出会えたことを感謝します。

本当にありがとうございました。
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by zhimuqing | 2010-04-12 00:53 | La Sombra Del Viento | Comments(0)