カテゴリ:Rumba DE Manbo!( 58 )

胸キュン(ただしオッサン)

最近、訳あって病院に通院していた私。
先生は実にいい感じで信頼できる感じなのですが、
病院の看護師さん、まあオッサンには若い看護師さんは
ある種の楽しみとも言えるのですが、の中に
絵に描いたようなドジっこ看護師さんがおりまして。

3日連続で点滴の針を刺すのに失敗、先輩に毎回ヘルプを頼んで、
私の腕はなんというか注射跡がいっぱいという、
大阪市N成区でお馴染みな感じになっているのですね。
で、点滴がなかった先日は、お湯を自分の足にこぼして
熱いーと叫んで、診察室の端っこにうずくまっておりましたよ。
私(ただしオッサン)の胸がキュンとなることは勿論ありませんが、
元来がそそっかしい質の私は他人事のように思えず、
ああ、看護師にならなくて良かったと思ったのであります。

そうそう、胸キュン(ただしオッサン)といえば、
あれですよ、先日ふとした時に聴いたコルティーホ。
58年のシングル、“Calypso, Bomba y Plena”!
これはたまらない曲ですな。
アルバム≪Invites You To Dance≫に収録されておりますね。
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私はLPは持っておらず、ボンバから出てたCDで持ってます。



トイピアノのように鄙びた音色のピアノから始まり、
クラーベが重なって、これまた滋味に溢れるホーン。
この時点でグッと来るわけですが、
その直後に入ってくる女性を含むコーラス(コロ)がたまりません。
懐かしさと温かみが滲み出てくるような、そういう感じ。

で、満を持して出てくるのがイスマエル・リベーラ。
大スター登場という感じです。(とはいえ、まだこの頃は駆け出し)
一気に音が華やかになるのは、持って生まれたオーラなのでしょう。
人生の中にある色々な感情をギュっと押し込めたような声。

終始ジコジコとなっているギロ、
後半になるにつれ、ひそかに激しくなる(なりすぎないけど)コンガ。
このコンガとギロとクラベスとベースで織りなすリズムは
シンプルなのにどこまでも豊潤。
バンドのメンバーは皆マエストロなのに主張しすぎず
全体にまとまった時の音のイメージが的確に共有されていて、
ため息しか出ませんね。

この時代のコルティーホ楽団は本当に生命力に溢れていて、
聴いて楽しくなるものが多くて困ってしまう。
同時代のプエンテの華麗で端正な美しさはないかもしれないけど、
例えばメイタルズとかジョルジ・ベンとかカークなんかと同質な
汗をかくことを厭わない全力投球ぶりが美しい。
≪Invites You To Dance≫に収められている大名曲 “El Yoyo”での
見事なコーラスというか掛け声、アホガ、アホガの連呼の素晴らしさ。



それにしてもコルティーホとリベーラのコンビは凄い。
才能も凄いけど、しかも長く続く互いの友情も素晴らしい。
これに匹敵できるのはカエターノとジルぐらいか。
個人的にはラフィンとエディ・ケンも挙げたくなりますが、
安定した関係というところでは少し危ういかな。

プエルトリコのPlaza de los Salseros(サルセーロ公園、ですな)には、
地元が生んだサルサの8偉人の胸像があるそうだが、
もちろんコルティーホもリベーラの胸像もありますね。
並んで立っていてほしいのですが、どうなんでしょう?
いつか見に行っていたいものです。
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by zhimuqing | 2015-10-22 07:28 | Rumba DE Manbo! | Comments(0)

気持ちいいっす

一部の熱心なアフリカ音楽愛好者の間で話題になっていた
ハイライフの王様、E.T.メンサーの全盛期の音を集めた再発4枚組。
恥ずかしながら私はメンサーをしっかりと聴くのはこれが初めて。
50年代の黄金時代の音を中心に集めたこの編集盤、
いやぁ、これは気持ち良い。素晴らしい。
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ブックレット(大変充実していて、これまた素晴らしい)をさらっと読むと、
ジャズの影響をいかに受けていたかということと合わせて、
バンドのドラマーのガイ・ウォーレンがイギリスからカリブ音楽を持ち帰り、
その影響を受けた等とも書いてあり、私のツボをいちいち突いてきますね。

実際アフリカものにそんなに詳しくない私がメンサーの音を聴くと、
これはもう完全にラテン音楽の変種としか思えないですしね。
特にカリプソの影響は強いようですが、マンボやルンバの影もかなり濃く、
そこが旨みを増している大きな要素なのだと思います。
ソウルやロック以前の世界ではやはりラテンこそが世界最先端だったわけで、
ラテンの影響というのは今では信じられないほどの範囲だったのだなとも
考えさせられますね。
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もっともラテン音楽に含まれる成分、特に旨みに関する成分は
本来西アフリカ由来のものが多いわけですし、
アフリカ音楽に関して言うと影響を受けたのは間違いないですが、
ある意味成長した子孫が元の故郷に戻ってきたと考えるほうが
自然な気分というものだろうと考えてみたりもします。
それにしても、西アフリカとカリブを中心としたアメリカ大陸との間の
相互に作用を与え続けるグルグルとした渦巻のような関係には
本当に興味が尽きませんね。

話が大幅に脱線していますが、メンサーの音の素晴らしさは
これはもう聴いてもらうしかないわけですね。
草原の風の香りとでも言いましょうか、軽やかで優美な音は
やはりアフリカ音楽の最大の魅力の一つかな、と。
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ヒラリヒラリと翻す、その軽やかな身のこなしの中で
音の濃淡が自在に変化して、耳元で弾けるというか、
そういう一見シンプルなのに、実は複雑な味わいに満ちているところが
実に気持ちの良いところですね。もうたまりません。

ブックレットにあるように、ジャズやラテンに加え、地元の様々な音楽が
自然に交差する環境と時代の中でこそ、産み出される味わいなのでしょう。
ギターのフレーズなんかはまだはっきりとした形にはなっていないものの、
この後コンゴで成熟する音楽、もっと言うと親指ピアノとの関連性も感じます。
こういったアフリカ諸国間で相互に与えた(与える)影響というものも
やはり相当に好奇心を刺激する内容なのですが、
私の知識と耳ではまだそこまでは追いつけない。
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4枚組全69曲を完全に消化しきるのはまだ先になりそうですが、
これは長く手元で楽しめそうなブツ。いい買い物をしました。
アフリカ音楽は熱心なディガーによってかなりマニアックなものまで
掘り起こされていますが、レアグルーヴとしての需要がメインなので
ネタとしての有効性の高い70年代のものが多く、
レア(最近ではオブスキュアなんて言葉も流行っていますね)なものが
どうしても話題になりがち。

レアものの発掘はそれはそれでありがたいのですが、
こういう王道というか、ど真ん中な音楽はきっちりと聴いておいたほうが
1リスナーとして幸せなんではなかろうか?と自省してみたりも。
とはいえ、このメンサー全盛期の音に身を委ねていると
硬い話はどうでもいいんじゃないか?という気分にもなるのですけどね。
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都内某店でこの10インチは買い取り価格30000円!だったそう。
うーむ。誰が買うんでしょう?
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by zhimuqing | 2015-06-23 07:28 | Rumba DE Manbo! | Comments(0)

アフロ万歳

70年代にCOCOレーベルを立ち上げたハーヴィー・アヴァーンといえば、
エディ・パルミエリの諸名盤の制作で有名なプロデューサーですが、
68年に発表したHarvey Averne Dozen名義のアルバム≪Viva Soul≫は
さすがにその才能が爆発した素晴らしいアルバムですね。
ブーガルーはラテンの正史?からは徒花扱いされていますが、
こういう流行を追った音楽にも、いやだからこそ、色々な仕掛けなんかが
隠されていたりするのが面白いところです。
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ブーガルーの名盤としてその筋で愛好されてきたアルバムですが、
ラテンの文脈だけで評価されるのはもったいない、というか、
デトロイト・マナー全開のソウル・アルバムとして聴いたほうが
その真価が分かりやすい気がしますね。
まあ、かくいう私も数年前にボンバから再発されて購入した時には、
うんうん、楽しいブーガルーだ、と聴き飛ばしていたのですけどね。
アルバムのタイトルは≪ソウル万歳!≫なのにね。

デトロイトものに毒された?耳では、何しろリードの歌がソウルフル。
アルバムには参加ミュージシャンのクレジットが何もなく、
どこのどなたが歌っているのかさっぱり分からないのがとても残念です。
もしかしてソウル界の誰かかなと思ったりもしないわけではないですが、
NYやキューバ、プエルトリコといったラテンの世界の界隈には、
他のジャンルでも確実に大スターになりそうな名歌手がゴロゴロしているので、
やっぱりラテン界の人なのかな?

まあ、このリードをとる男性ヴォーカルはとてもかっこいい!
60年代のデトロイト周辺の歌手と比べても遜色ない。
声の張りとタメ、バックの音との調和、タイトにもルーズにも決まります。
そのリードを前後左右?から支える女性のコーラスも華やかで魅力的です。
一部では、むしろこのコーラスのほうが人気があったりするのもよく分かります。
パンチも効いているし、アレンジと歌の力量とのバランスが取れていて、
この辺は編曲を担当したマーティー・シェラーの仕事なのでしょうか?

疾走感があふれるバックの演奏も(当然のことながら)素晴らしい。
エイトビートに多彩なパーカッションが絡むのはブーガルーならでは。
あと、随所に決まるキメの数々のかっこよさ。
ヴァイブ(これは流石にアヴァーンでしょう)とベースとのユニゾンが特に燃えます。
ヴァイブラフォンが多用されているのが、デトロイト感を高めますね。
ジャック・アシュフォードとかデイブ・ハミルトンなんかの職人技ってやつです。
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ただ、ヴァイブは元々マンボなんかの得意技であるわけで、
逆にラテン音楽がソウルに与えた影響の大きさを示しているとも言えるわけで、
そうなると、ソウルはラテン音楽の一種として捉えるべきだという、
発想の軸の転換を迫られるような気にもなるという、不思議な感じにも。
まあ、ジェマーソンのリズムの間隙を縫うようなフレージングも
ピストル・アレンのタムを中心に組み立てるリフもラテンの影響大だし、
ソウルの源流の一つであるニューオリンズもラテン音楽と言えるし、
アフロ音楽として考えると、ラテンもソウルも同じ音楽なわけで、
ジャンルに区切って聞く意味はあまりないのでしょうね。
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エディ・パルミエリと。

ということで、ブーガルーをいろいろ探求したくなるのだけど、
なにせ狭い世界なので、一度再発されたものはすぐに廃盤になるし、
そうなると入手困難になるのが、困ったところですね。
まあ、資金が限られている身としては、足で稼ぐしかないということで、
ボチボチ集めていくとしましょう。
それにしても、リードの歌手は一体誰なんでしょう?
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by zhimuqing | 2014-07-29 23:28 | Rumba DE Manbo! | Comments(0)

曲順変えると、もっと良かったのかも

クァンティックの新作であるが、これはなかなか一筋縄でいかないですね。
コンボ・バルバロやフラワリング・インフェルノを率いたバンド形式でなく、
クァンティック単体、つまりウィル・ホランドの個人名義での作品なので、
脳内に産まれた音をそのまま素に近い形で提示したシンプルな音像。
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なもんで、コンボ・バルバロでの濃密で優雅な熟成された音に
魅せられている私には、初めのうちはやや物足りない気がしていたのも事実。
特にアルバム前半、LPでいうと1枚目は悪くはないのだが、
コクに欠けていて、あっさりしすぎているという印象は変わりませんね。
ただ、その感触はアルバム全体を通して聴いていると随分と変わり、
単純に曲がもう一つ好みから外れているだけかもしれないけど。
ただ、中盤以降に盛り上がります。
聴き終わった頃にはああ良かった良かったという、そういう感じかな。
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前半でもバラフォンを模した音やアコーディオンをエレクトロに置き換えた試み等
目新しい要素も色々加わっているのだけど、軽やかさやエレガンスが足りない。
これまでホランドがDJで紹介していたエチオピア音楽を取り込んだ"Arada"も、
フルコとサルミエントをゲストに招いた"Descarga"もどこかグッと来ない感じ。
なかでは、ホランド自身が弾くバンジョーとアコーディオンが効いた
"You Will Return"でのアリス・ラッセルのもてなしぶりが一番かな。
ミゲル・アットウッド・ファーガスンのオーケストレーションは
期待していたほどの空気感を出してはいないけど。

ただ中盤以降、ニディア・ゴンゴーラが登場する“La Plata”からは良いですよ。
やはり歌が圧倒的に良いことと蕩けるような演奏、この2点が重要ですよね。
ゴンゴーラとの双頭アルバムを待ち続けている私としては、文句無しです。
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この声こそがクァンティックを構成する音の中で最も大事な要素だと思う。

まだ活動していたの?と驚きのシャインヘッド登場の“Spark It”もいい。
ダンスホール・レゲエをクァンティック流に捌いた曲だが、
前半の曲と比べ、聴くものを曲にのめり込ませる力が違う。
イアーラ・レンノ(と読むのか?)とのメロウなサンバヘギ“Caruru”は、
レンノの可憐さにマッチするグニャグニャしたダブ処理に加え、
随所で加わるメロウなホーン・セクション。本当に良い曲だ。
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レンノ嬢はきっかけ次第で大ブレイクしそう!

伝説のアコーディオン奏者アニーバル・ヴェラスケスをフューチャーした
“La Callejera”も目玉曲の一つ。
リズムのプログラミング自体は割と平板なんだけど、
ホランドのギターとベースが躍動感を与え、そこに中南米のオジイサンのもつ
深みと独特のやさぐれ感をもったヴェラスケスの声が加わるわけで、
悪いはずがないではないか。
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若き日のアニーバルさん、男前だ。

ゴンゴーラが再登場する“Muevelo Negro”はバラフォンの音?をループさせた上で、
コーラスとゴンゴーラが対話する曲で、構造はシンプルだけど長ければ長いほど
気持ち良くなるタイプの曲ですね。
“Aguas de Sorongo”は“Caruru”と並び、もっとも一般受けしそうな曲。
我が家のムスメが気に入るぐらいですからね。抜群の遠投力と浸透力。
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前半の曲がやや弱く、あまりに素晴らしすぎた近作4枚には敵わないが、
やはり今年のベスト10には入ってくるアルバムでしょう。
中盤以降に良い曲が固められているのが少し勿体ない気も。
曲順(CDとLPの曲順も少し違う)を工夫すると、印象も変わった気もしますけどね。
まあ、私としては、ゴンゴーラとのデュオ作を早く!ということと、
早めの来日公演をお願い!という毎度毎度同じことを述べたところで。
まあ、お勧め度合いとしては8.5点で、買って損はさせませんが、
コンボ・バルバロとのCDを持っていないのだったら、やっぱりそっちを先に
購入することを強くお勧めします!
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by zhimuqing | 2014-05-26 21:28 | Rumba DE Manbo! | Comments(0)

バチストさん、お呼びですか?

春先にStrutレーベルから出たオムニバス盤"Haiti Direct"は、
ハイチの70年代の音源をまとめたもので、なかなかの内容だと評判なのですね。
私は資金不足?で買いそびれていたので、某所に探しに行ったのですが、
ミニ・オール・スターズの最高傑作の呼び声高い3作目"Pure Gold"の中古CDを発見。
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二昔前にPヴァインが熱心にヘイシャンものをリリースしていた時期があり、
間違いなく収支は赤だったと思うのだが、ミニ・オール・スターズだけでなく、
タブーコンボとかその辺のレコードが軒並みCD化されていた時期があったのですね。
思えばとても素晴らしい時代だ。

で、ブームが落ち着いた後、ハイチものは中古屋に捨て値で転がっていたのだが、
そうなると、いつでも買えるわい!と、どうしても放置してしまうのが人の性、
結局7作目と8作目を2in1にした“南京豆売り”を買っただけで、
気がつけばあまり見かけなくなってしまっていたのだ。
(“南京豆売り”が相当良い出来なので、そこで満足したということもあったと思う。)
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思えば、このCDを購入したのは就職活動で大阪に面接に行った時だったな、と
遠い目になってしまう私。
場所はミナミの電気街のJoshinの中のCD屋だったはず。

ミニ・オール・スターズはミニ・レコードに所属しているミュージシャンから
精鋭を選りすぐったオールスターもので、まあファニアに習ったものでしょうが、
さすがに精鋭部隊だけに演奏もキレキレで、しかも優雅というか優美というか、
よく聴く込むと、しぶとくもあるのだけど、軽やかで、大変美しいものですね。
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オールスターズというだけあり、味わい深いルックスがずらり。

大昔に買った“南京豆売り”も優雅で気持ちよいのだけど、
“ピュア・ゴールド”のほうがサルサ等の他の地域の直接的な影響が少なく、
テンポもミディアムに統一されていて、夢見心地でふわふわと体が勝手に動きます。
ハイチといえばヴードゥーの本場なわけですが、この音楽をかけられると
ゾンビも命じられるがままに動いてしまうだろうし、
もしかしたら、ああ見えてゾンビも内面はこういう多幸感に溢れているのかも。

このアルバムはCDだと2枚組みですがLPだと3枚組の大作で、
ヌムール・ジャン・バチストに捧げたものだそうですが、
ハイチについて全く詳しくないので、バチストの偉業についても、
自分としてのコメントも出来ないわけですが、
モダンなハイチ音楽の基礎を作った人だそうですね。
言ってみると、エリントンとJBを合体させたような感じなのかな?

なんといっても、アコーディオンの効き具合が最高です。
輪郭がぼんやりしていて、音がパツーンと頭から出てこない音が
じつにまろやかで気持ちよい。(気持ちよいという語彙しかでない私)
ヴィンテージなクンビアやブラジル北東部の音楽、アメリカ南部のザディコといい、
汎カリブ海の黒い音楽の根っこにはアコーディオンが大きく関係してそうで、
この辺りは私が知らないだけで、多分色々研究している人もいそうだな。

ホーンセクションはフレーズが実に練り込まれていて、
その構成を追っているだけで良い気分になるのだけど、
なんといっても、色気がこぼれおちるサックスが凄い。
メロウに迫るのだけど、ギリギリのところで踏みとどまるのは
フランス語圏だからなのかどうかは、よく分かりませんが。

ギターは前面に出てこないけど、2本の絡みが見事。
片っ方は単音ピッキング等、クールにリズムを刻み、
もう片っ方はピャラリピャラリと煌びやかな反復フレーズで攻めると思わせといて、
アコーディオンに鋭く反応してみたり。
音像の中で結構キモになっていると思いますね。
アフロの含有濃度を濃くしているという意味でもね。
カッティングのキレにアフリカ70を思い出したり、ナイル・ロジャースを思い出したり、
JBの偉大さを思い出したり、アルセニオまで思いを馳せたり。

ベースはシンプルな四分音符系ながら、音価の取り方に
実は結構レゲエと相似する成分も聴きとれる。
もっとも、カリプソだってジャメイカ音楽と関係が深いのだし、
81年という時点ではレゲエが世界を席巻した後だし、
なによりハイチとジャメイカは距離的にも近いし、相互に影響を与えているのは
ごくごく自然なことですしね。
(ミニ・レコード自体とメンバーはNYメインなんですけどね)

ということで、当然のことながらまだ完全には消化出来ていないのだが、
このCDを入手したのが19日、西半球では18日になるのですが
なんとバチストさんの29回目の命日だったということで、
これはもう偶然の出来事ではないでしょう?
ヌムールとヴードゥー(ヴドゥン)の神々が呼んでいるとしか思えない。
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よく考えると、仕事の時はゾンビみたいな状態が常態とも言えるし。
ヌムールだのドゥルゾーだのウェベールだのハイチ人の名前は
大変覚えにくいけど、この状態だとなんとか脳みそも
何とかついてきてくれるような気もするしね。
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by zhimuqing | 2014-05-21 21:28 | Rumba DE Manbo! | Comments(0)

久しぶりの開耳

1週間のうち2,3日は子供を寝かせようとして、
そのまま真っ先に自分が落ちてしまうのですが、
それ以外の日は大体ノロノロと遅くまで起きているのが常で
そういう日はタイマーをかけてCDを聴きながら寝ることが多いのですね。
もっともあっという間に意識がなくなるので、
ほとんど聴いていないようなものですけど。

そういうときに聴く音楽というのは、
当然のことながら、選択の余地が限られてくるわけで、
個人的なヘビー・ローテイションのベスト3は、
エリントンのインディゴかディズニー曲集、ジョアンの初期録音、リロイ・カー、
そしてアルセニオ・ロドリゲスの6枚組みボックスですかね。
(ベスト3どころか、全部で10枚になるけど)
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それにしても至宝過ぎる6枚。
分厚いブックレットはほとんど手を付けていませんが、
これは今後の楽しみとしておきましょう。

ということで、アルセニオ・ロドリゲスなのですが、
中村とうようがヘヴィーだヘヴィーだとマガジンに書き続けていたのですが、
私の印象は少し違っていて、ヘヴィーというよりヘヴィー級、
ヘヴィーという響きよりも、もっとバネが効いている印象ですね。
重くて切れの良いパンチが低い位置から飛んでくるとでも言いましょうか?
(それではロー・ブロウで反則じゃないのか?なんてとは言わないでね)
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そんなわけで、先日もいつものようの寝る前にかけていたのだが、
アルセニオのトレスの音が急にクリアーに耳に飛び込んでくるは、
ベースのフレーズが猛烈に染み込んで来るは、で
もう寝るどころではなくなってしまったのですね。

久しぶりの開眼、いやこの場合は開耳?とでもいうのでしょうか?
これまでもアルセニオの音楽を愛好してきたつもりだったのだが、
今までこの音楽の何を聴いていたのだ?と自問したくなるほど、
スピーカーから溢れてくる音が実にカラフルで生々しい。
ドロリと垂れて来る殺気。
サンテリアの神々から降りてくるようだ。
(別に変なオクスリを服用したわけではございません)
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特にベースが凄いですね。
アルセニオはベーシストに歌うようなフレーズを作れと指示していたそうだが、
なるほど、それは確かにその通りだし、よく言われるように、
その血を濃く受け継いだのが、ジェマースンだったりファミリーマンであり、
そういう意味ではソウルやファンクやレゲエやヒップホップやテクノ等の
ベースが肝になる黒い音楽はみんなアルセニオの子孫だと言っても
過言ではないっっ!と大風呂敷を広げたくなるのですが、
まあ、冷静に考えると、その音楽はどれも西アフリカにルーツがあるわけで、
ここで私が拳を握り締めて力説するようなことではないですね。
これは大変失礼しました。
でもアルセニオ、素晴らしいので、ラテンに興味のあまりない人も是非!
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サンテリアの神々にこのLPを高くても買いなさい、いや買えと言ってるだろ、お前!
と言われているような気がする今日この頃。

こちらは家に帰るとテーブルに置いてあった楽器。
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アルセニオのトレスではないようだが、形状から判断するとボ・ディドリー仕様ギターだな。
細かいところまで手が込んでいていいのぉ。
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by zhimuqing | 2014-02-25 23:28 | Rumba DE Manbo! | Comments(4)

分かってはいるのだけどね

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某所で見かけたブツ。
バスドラは要らないので、箱だけ貰えないかな?

ひょんなことから格安でどうだと言われ、
ラリー・ハーロウを観にブルーノートまで。
絶対に良いとは分かっているのだけど、
腰が重いし財布は軽いしで、これまで観るチャンスがなかったのですが、
やっぱり本物は凄いですね。
圧倒されました。
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サルサのライブは人数が多く、このバンドも12名。
リズムセクションだけで6名ですからね、ステージに上がるなり、
いきなり飛び出す濃密なリズムに一瞬唖然として、
後はもう身を任せるだけですね。
見所が多くて、どこを見ていたらいいか分からなくなるのだが、
ハーロウ曰く「みんなNYに自分のバンドを持っている」メンバーだけに
これはもうどこを見てよいか、分からなくなる気ですね。
(まあ、どっちにしても分からない訳ですが)

それにしても、サルサっていう音楽はやっぱり現場の音楽ですね。
お客をいじってナンボ、踊ってナンボの世界で、
まあサルサが踊れない私としては、なんとももどかしいわけですが、
おとなしいブルーノートの客、しかも年齢層高め、に対しても
果敢にちょっかい?をかけ続けるフロントの歌手2人の
男臭い心意気は全くたいしたものだ。

演奏のほうも生ならではの自由な演奏が素晴らしい。
自由に動きまわる(フレーズとしてね)のだけど、
周りのパートとのバランスを乱しすぎない自由さは
百戦錬磨のメンバーなので、当たり前というば当たり前なのだろうけど、
目の当たりにすると、やはり凄いなぁと。
(プエンテ楽団なんかの出身者もいるので当たり前ですね、やっぱり)

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やはりニッキー・マレーロのティンバレスとカウベルに釘付け。
派手に暴れるパートも当然かっこいいけど、黙々とカウベルの4つ打ちを
続ける姿にこそ、真実があるのだと確信しました。
今度はパルミエリと一緒に来てくださいな。
あとは、コンガのウィルソン・チェンボ・コルニエルと
ベースのレイ・マルティネスかな、やっぱり。
隙間を埋め尽くすのではなく、他のメンバーとの会話を楽しむような演奏。
憧れの境地ですね。
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ラリー・ハーロウはラティーノではなく、ユダヤ系の人らしいが、
子供の頃にラテン音楽にあこがれて、努力で努力、練習に練習を重ねて
この世界でマエストロまで上りつめた人ということで、
そういう感じはあまり見せずに飄々と演奏するのですが、
まあ、なんと言いましょうか、私も色々と努力しないといけないなと思いながら、
家路に着いたのですが、本日に至るまでまだ努力を開始出来ずにいるのが、
我ながら情けないところですな。
フロアで一人で踊っていたオジサン(お兄さん?)、かっこよかったので、
ああいう風に踊れるようになればと思ったりもしつつ。

それにしても、他の日にはなんとあのタモリがステージに乱入して、
コンガを叩きまくったのことで、なんとも羨ましいセットもあった模様。
まあ、そういうのを含めて、やっぱり現場の音楽ですね。
今度来たらまた観に行こう!
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by zhimuqing | 2014-01-29 23:28 | Rumba DE Manbo! | Comments(0)

そこに本物がいるのだから

アリス・ラッセルとのアルバムがとても素晴らしかったクァンティック、
ロス・ミティコス・デル・リトモ名義でのアルバムは
オーセンティックに徹した音作りに愛情を感じるものの、
軽やか過ぎる内容に今一つ刺激を感じなかったもんで、
ほとんど聴かないままになっていた私。
そんな訳で、ウィル・ホランドが手掛けた新しいプロジェクトである、
このオンダトロピカ、なかなか手を延ばす気になれなかったのだが、
勝手な思い込みは何の役にも立たないことを改めて思い知らされる結果に。
問答無用で素晴らしい音楽がここにあるのだ。
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埋もれていた国宝級のベテランを気鋭のプロデューサーが引っ張り出し(再発見し)、
世界に広く紹介する、ありふれた構図に見えるかもしれない。
事実、ブエナビスタ・ソシアル・クラブのコロンビア版と紹介されていることも多いよう。
確かにブエナ・ビスタもそれはそれでとても素晴らしかったのだが、
しかし、オンダトロピカにはもっと違った感触を感じるのだ。

昨年の10月にDJ Juan Dataにインタビューされた際のホランドの発言
その答えがあるのかもしれない。
(DJ Juan Dataはビルボードのスペイン語版等に寄稿しているDJ、ライター)

その音楽を作ったミュージシャンが、今まさに自分の目の前で演奏しているのに、
昔の音源を漁る人々のほとんどが、そのミュージシャンに見向きもしない。


また、こうも言っている。

新しいクンビアはクールだし、昔の音源をサンプルした曲もグレイトだ。
だが、コロンビアの多くのミュージシャンは同じように演奏出来るのだ。
また、昔の音源に新しいビートをマッシュアップしているものも多いが、
元の音楽だけで完璧なのに、アメリカ人受けが良くなるように
あとからビートを乗せる必要があるのか?


これまで次々と埋もれてきた音楽を掘り出して、
世界に紹介してきたホランドの言葉だけに、
なかなか説得力のある言葉ですね。
安易にサンプリングする必要も無い。そこに本物がいるのだから
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ベテランのミュージシャンのこれまでの経歴に対する敬意の深さ、
この辺がジャイルズ・ピーターソンとは違う部分ですかね。
(とはいえ、ピ-ターソンの軽さも嫌いでない、というより、結構好きなのだが)
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過去の音楽に深く敬意を表明しつつ、単なる懐古趣味にも陥らず、
今、現在、求められている音楽とのバランスを保つ、その感覚の絶妙なこと。
当然、最新型のファッション、意匠の枠に無理矢理はめ込むようなこともしない。
ソウルの偉人、ブルーズの偉人に対して、英米のロック勢が敬意を示しながらも
その素晴らしさを活かしきることが出来なかったのと対照的であるともいえる。
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ちなみに、オンダトロピカの音楽的な成功は参加ミュージシャンの実力と
ウィル・ホランドによるものだけでなく、マリオ・ガリアーノの力も大きいと思われる。
フレンテ・クンビエーロのリーダーにして、作曲家、レコード収集家、大学教師、
そしてベーシストの肩書を持つ男。
クァンティックのメンバーに加え、フレンテ・クンビエーロのメンバーの貢献も大きいはず。
更にコロンビア在住の若手ミュージシャンの選定にも大きく関わったのではないかと
私は睨んでいるのだが、どうだろう?
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このプロジェクトにはフォトグラファーとしてB+も参加!
流石にいい写真が随所に。

当時のコロンビア音楽への敬意はミュージシャンのみならず、
ディスコ・フエンテス等のレーベルやスタジオにも向けられる。
ディスコ・フエンテスのスタジオにいるのは教会にいるのと同じ。
ソウルが染みわたる、とは他のインタビューでのホランドの発言。
ブックレットの参加ミュージシャンの紹介欄にも、
フエンテス専属のエンジニア、マリオ・リンコンを愛情たっぷりに紹介。
こちらもいい笑顔になるではないか!
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曲の良さに関しては、とにかく聴いてもらうしかない。
的確に表現するボキャブラリーも持ち合わせていないし。
リズム隊の素晴らしさは改めて言うまでもないだろう。
アルフレディート・リナーレスのピアノとエレピは特に印象に残る。
がらっぱちなホーンはいい意味でヤサグレていて、ストリート感覚濃厚。
ヘナヘナしたクラリネットの音は最高だ。
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でも一番盛り上がるのは、クァンティックがこれまで様々な媒体で紹介してきた
コロンビアのレジェンドがこのタイミングで一堂に会していることかな。
以前散々ネタにさせてもらったフルコの味わい深さに変わりがないところが
特に香ばしい、いや間違えた、喜ばしい。
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フルコ(左)の味わい深さたるや!
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アルバムに収められた19曲もとうぜんそうだが、
ジャケに封入されたパスワードでダウンロード出来るボーナストラック7曲、
いずれも汎カリブ海の音楽をごった煮に煮詰めたもので、
正調なクンビアもあれば、そのものずばりデスカルガもあれば、スカ調なものもある。
ダビーな音響処理されたパートも随所に。
とはいえ、アルバム通して統一感があるのは、ホランドとガリアーノが根っこにある
アフロ成分を前面に、全面に押し出しているため。
ここは件のインタビューを原文のまま引用した方が良さそうだ。

we have to remember the importance of the African drum patterns

やはり、この人は良く分かっている!
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それにしても、ウィル・ホランドの精力的な働きぶりは凄まじい。
ディガーとしての仕事、DJとしての活動、ミュージシャンとしての作品発表、
そしてライブ活動、いずれも高いレベルで共存させている。
ヒップホップ系では結構あるが、楽器をメインでこなすミュージシャンとしては
あまり例がないのでは?
今年度に関しては、十二分に仕事はやったと思うけど、
ウィル・ホランドに一つだけ注文を付けるとしたら、当然あのことですね。
おい、日本でのライブが決まったと言う話はまだ聞こえてこないぞ!
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このフライヤーの日本バージョンが欲しいのだ!
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by zhimuqing | 2012-08-24 01:28 | Rumba DE Manbo! | Comments(4)

佛跳牆のごとし!

ということで、遅ればせながらクァンティックを。
アリス・ラッセルとの双頭アルバムですが、これはこれは。
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クンビアとかソウルとかラテンとかダブとか、
様々な音が入り混じっているのだけど、
それぞれ素晴らしい傑作だった前2作に比べても、
出てくる音の波の中で、音の混じり具合の境目が感じ取れない。
どこの国の音楽でもないけど、各地の音楽へ確かに繋がっている。
時間をかけてじっくり鍋で煮込んだ上での良質な上澄み、とはいえ、
コクや旨みもタップリ、実にエレガントです。
まるで福建省南部で食べた佛跳牆のようだ!

軽やかに転がるリズム隊はコンボ・バルバロ。
やや乾いた質感の中でグルグルとトグロを巻くような殺気が
うっすらと漂ってくるのは前2作同様だが、
微量成分としての空気への溶け込み度合いは更に増しているか?
ウィル・ホランド自身のギターやアコーディオンもいいが、
うらぶれたピアノとヴァイオリンに絡みつくコンガの粘り腰も聴き応え満点だ。
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その音像と絶妙なマッチングを見せるアリス・ラッセルの歌がまた良い!
煤けた、ほろ苦い声がバックの甘みを引き立てる。
声が「黒い」訳でもないし、声を張り上げるのでもないが、
力みのない、たゆたう節回しがバンドの音とあいまって、なんともソウルフル。
イギリス人の女性ヴォーカルで、ここまで惹きつけられたのは、多分初めてだな。

なによりも全体の音質というか、音の質感が好みなんですね。
コロンビアのスタジオで録音したのだろうけど、
スタジオに漂っているモヤモヤをうまくパッキング出来ているのでしょう。
ヴィンテージな肌触りなのだが、わざとらしくもない。
大変気持ちよく、なんとも羨ましい音ですね。
多分、今が最盛期というか、旬というか、食べ頃なのだと思うクァンティック、
何はともあれ、一刻も早く日本に来てもらわなければ!
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by zhimuqing | 2012-07-03 20:28 | Rumba DE Manbo! | Comments(0)

ハードコアなヴィンテージもの

RZAの映像 → タランティーノ の連想で
ここ最近本棚からエルモア・レナードを引っ張り出している今日この頃。
久しぶりに読むレナード、やっぱり面白いです。

「五万二千ドルの罠」「スティック」「グリッツ」と続けざまに3連発、
話の組み立て自体が面白いのが言うまでもないけど、
登場人物のディテイルの作りこみが凄い。
エチオピア出身の黒人がラスタのカリブ人に信仰されてしまったり、
サンテリーアに熱心なキューバ人のギャングが出てきたりと、
随所に散りばめられる設定に、いちいち盛り上がる私がいます。
軽いといえば軽いのだけど、映像が目に浮かぶだけでなく、
登場人物が活き活きと脳内で喋っているように感じさせるのが、
エルモア・レナードならでは。
だもんで、映画化したくなる気持ちは良く分かるのだけど、
映画以上に映画らしいレナードの小説はやはり難物ですね。
ゲット・ショーティーもジャッキー・ブラウン(ラム・パンチ)も
やっぱり小説の方がずっと面白いもんね。

とはいえ、レナードの小説もル・カレなんかと同じように
絶版になっているものが多いようなので、
この辺も手に入るうちに、まとめて入手した方がいいのかもしれないな。
家にあるレナードをもう一回読んだ後に、リストの作成にかかるとしよう。

さて、サンテリーアといえば、アルバム『Top Percussion』ですね。
先日入手したティト・プエンテの名盤の誉れ高いアルバム。
ラテン・パーカッションを語るのだったら、これを聴いていないと
完全にモグリだといわれている、パーカッション中心のアルバムが
プエンテには2枚あり、1枚が1955年の『Puente in percussion』、
もう1枚が58年の『Top percussion』なのですね。

この2枚、今聴いても、かなりハードコア!
特に『Puente in percussion』はピアノもホーンもいない、ベースも少しだけ。
ティンバレス、コンガ、ボンゴ、カウベル等がメインというか、
ほとんどそれしか入っていない、無駄な肉を落としたというより、
ほぼ骨格標本のような作りで、凄まじくハードコアですね。
数年前再発されていたのだが、気がつくと廃盤になっていましたので、
慌ててドイツから中古を購入。値段は安かったのだけど、送料が高く、
個人的な予算ギリギリの価格でした。(残念ながら2000円オーバー)
ドイツから届いたCDのジャケはどうにも垢抜けない。
オリジナルのカッチョいいジャケのCDが欲しかったが、
まあ贅沢は言いますまい。


ウィリー・ボボ、モンゴ・サンタマリーア、パタート、そしてプエンテの
壮絶なパーカッションに大興奮させられますね。
どうしても、プエンテのティンバレスが音色的にも分かりやすいだけに
目立つのだけど、聞き込めば聞き込むほど、味わいが増していくことは
今の段階でも断言できますね。
とはいえ、聞き手をかなり選ぶアルバムではあるとも思いますね。

で、その続編となる『Top percussion』、こちらは普通に入手できるけど、
やはりハードコアなことには変わりはありません。
冒頭の6曲(A面)はサンテリーアの儀式をスタジオで再現したもの!
もちろん、プエンテなりにアレンジしているのだろうけど、
サンテリーアの音楽をそのままアルバムにするという発想自体が
良い意味で良く分からない。
今となっては有り難い限りだけど、50年代後半のプエンテ、
脂が乗り切っているだけでなく、実に意欲的で革新的だったのですね。

ちなみに、このA面の6曲、コール&レスポンスが実にかっこよく、
家で練習して、子供達と3人で歌えるようになると凄く楽しそうだけど、
真似してみようと思っても、なかなか出来ない、というか、
シンプルに聞こえるけど、実は複雑。簡単には習得出来なさそうだ。

B面のほうは、プエンテのティンバレスが火を噴く演奏がテンコ盛り。
『Puente in percussion』よりも、サービス精神が多目に感じられるので、
やや分かりやすい演奏かな。
テクニックに裏打ちされた猛烈な演奏であるのだけど、
これ見よがしなテクニックのひけらかしに感じないのは、
グルーヴに溢れていることと共に、ルーツに対して真摯な想いが
その根底にあるからなのだろうと、思ってしまうのであります。

プエンテの素晴らしく華麗なティンバレスを聞かされると、
どうしてもこの音色が欲しくなってしまう。
スティック裁きが重要な楽器なので、
ここはモヤーン氏辺りに導入をお願いしたいところであります。
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by zhimuqing | 2012-04-16 18:28 | Rumba DE Manbo! | Comments(0)