コテコテな左手の件

先日見たチャーリー・ハンター、あれから色々聞いているのだが、
私の手元にある音源だと、一番の名演はディアンジェロのSpanish Joint ですね。
まあ、あのアルバムは全曲素晴らしくて、2000年の頭に発表されて以来、
まだあれを超える作品は世に出ていないわけですけどね。

この曲はハンターのギターリフが元になったものだと思われます。
ラテンを消化した一見とりとめのないギターは実に色彩豊かで
ラテンもファンクも同じアフロ音楽だ、ということを主張していますが、
ギターの低音弦で同時に弾いているベースは更に凄まじく、
相反するスピード感と安定感をいとも簡単に共存させていて
大変スリリングです。
ここにアフリカの精霊に憑依されたDのヴォーカルが
自在に力を抜き差しながら華麗に絡んでいくので、もうタマラン。
ロイ・ハーグローブのミュートトランペットも大変クールだ。
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出る出る詐欺と言われて久しいD氏、今年の春に新作ドロップとの噂。
ちなみにラファエル・サディークとQ-TIP と新ユニットを組んで曲作りはじめたらしいが、
その音源はもっと出なさそうだ。


ハンターはジャック・マクダフを初めとするソウルジャズのオルガニストの
左手ベースをものすごい数の譜面に落として研究したそうですが、
(というよりオルガンの音を出したいが為の8弦ギターらしい)
ここまで弾かれると、ベーシストの出る幕はないですね。

ということで、私もヘタッピと言えどもベーシストの端くれ、
ソウルジャズの名盤聴きなおして勉強しよう、と思って
CD棚にあるオルガニストの名盤を取り出しましたよ。
ジャック・マクダフ、グルーブ・ホームズ、マクグリフ、ロニー・スミス。
1枚目に何を聴こうか迷いましたが、やはり初心に帰ることにして、
この手の音楽にはまるきっかけになったベイビーフェイス・ウィレットをチョイス。
1964年、Argo/Cadetから出た『Mo' Rock』ですね。
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ソウルジャズ、コテコテジャズの名盤として名高いこのアルバム、
6曲目の冒頭と最後に謎の叫び声が入ることで有名でもあります。
昔中国へ長期出張した時にこれをよく聞いていたのですが、
たまたまその叫び声の時に、向こうの人に聞かれて、
「一体何を聞いているんだ?」と呆れられた思い出深いアルバムでもあります。

で、久しぶりに聞いてみると、1曲目Mo’Rock から悶絶モノのかっこよさ。
メンバーはウィレット(org)にベン・ホワイト(g), ユージン・ベース(ds)の3人。
ギターもドラムも寡聞にして聞いたことのない名前ですが、
ジャズのセオリー無視、というか、小難しい理屈はいらん、というか、
考えるな、感じろ!という姿勢で、ソウルフルなフレーズを撒き散らす。
ダンスミュージックだったジャズの理想郷で、これも正しいジャズであり、
ブルーズであり、ソウル、ファンクでもあります。
「純正ジャズ」が好きな人には受け入れられないかもしれないけど。

で、肝心の左手ベースでありますが、ぶっとく黒光りしてて、
こういうベースが弾きたいのだ!と興奮してしまいましたよ。
ということで、何回もリピートしたので、他のオルガニストは聞かずじまい。

ベイビーフェイス・ウィレットは実はあまり経歴が知られていない人で、
ブルーノートに2枚、アーゴに2枚アルバムを残したきり、
行方が分からなくなっている人で、噂ではオーバードースで亡くなったとか。
しかしブルーノート時代は普通のオルガンジャズなので、
本領発揮(ですよね)はアーゴの2枚のみ。
(BN時代、グラントグリーン他のサイドマンとしての録音あり。)
それにしても、ライブ録音残していて欲しかったなぁ。
どこかに未発表曲の山があることを期待します。

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こちらは4枚目にてラストアルバム。
ジャケもいいが、内容も◎。
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by zhimuqing | 2009-02-16 23:30 | Funkentelechy | Comments(0)
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