あっという間に年末ですね。主に熱心に掘るのは昔の音楽ばかりとなり、まあそれはそれで充実しているのでいいのですが、どんどん浮世から離れていく感じもありますね。でも黒光りする音のテクスチャーを追い求めているのは変わりません。ということで、今年2017年のベスト10の発表です!
実は昨年末に購入していたのですが、本格的に聴きはじめたのは素晴らしい映画を観てから。映像が浮かぶと音の深度も深くなるという好例。60年代、70年代の音を取り入れた云々と言われますが、その成分のまぶし方の微妙に新しい部分とオーソドックスな曲の良さのバランスの妙。ファレルの本領発揮ですね。私の耳が閉じておりました。それにしても映画の素晴らしさよ。機内で4回、映画館で1回観ましたが、未公開シーンが満載だというDVDが早く観たいところです。 もうモンチの歌世界に溺れまくったトリバリスタスは今年の後半、よく聴きました。徹底して歌というか声を引き立てるために配置された艶やかな音。完璧な三人のバランス。美しい。モンチの買ってないアルバムを買いに行かねば! まさかのオンダトロピカ2作目。ほとんど話題にならなかったのが不思議ですが、前作を踏襲した音に加え、ここ最近クァンティックが探そうとしていた音も加わり、なかなか強力な布陣?になっていたと思うのですが、どうでしょう。特にアルバム前半の怒涛の展開に痺れました。少し低迷気味だったクァンティックの復活の狼煙。第3作(あるのか?)にも期待したいです。あと、いつも付け加えていますが、このメンツでの来日もお願いします! ファンカデリックのリミックス。やはり私にはデトロイトの音が一番なのかもしれない。ファンカの濃ゆ~い音を見事に抽出したリミキサーのセンス(とプレッシャーに負けない男気)。これに触発された動きが高まりと面白いのですが。 艶やかな佇まいと美しい歌で私達を存分に魅了したあの嵐の中の来日公演から3年、待望のニディア・ゴンゴーラのソロ。曲の展開に合わせて旨味成分の濃度をめまぐるしく変化させることが出来る歌い手としての特性、色彩が増えて、ぎゅっと空気の密度が濃縮してしまう感じ、をうまく抽出したクァンティックの戦略が見事に功を奏しましたね。 自分の声を活かすために計算しつくされた音。同時にトラックに合わせて完璧に乗せてくる声。それぞれのトラックで見せる(魅せる)バリエーションの多さとその完成度。アルバムでの全体の流れを構築する能力。現在、世界最高峰のMCの実力を存分に見せつけられた3作続けての傑作。 バラエティーに富んだ曲調、素晴らしく生々しい録音、そして変幻自在なドラミングが全編楽しめるという、トニー・アレン好きにはたまらないアルバム。フェラ・クティの元を離れて以降では多分一番の傑作だと思います。 あの合気道の達人のような、重力を自在に操るような鍵盤のカッティングが結局は全てを握っているという、ドナート翁の威力がまたもや発揮されたアルバム。恐るべき若々しさ。まだまだいけますぞ! 聴き手をレイドバックさせる部分と耳をそばだてさせる部分の緩急の付け方が猛烈にカッコイイ。コンシャスなリリックと俺様な部分のバランスも絶妙。まだまだ若いし、本当にYoung Black Godになっちゃうのかも、と思わせるほど。次作にも期待してます! 音源の発表は無かったものの、タンク&ザ・バンガス、これはなんとしても入れなくては。タイニー・コンサートの予選を通過したことで一躍有名になったグループですが、フロントのタンクとジェリーの二人のコンビネーション、バンドの音の組み立て方。新作を早く出してほしいものです。 あれまあ、年々少なくなるR&B関連、フィジカルは1枚のみの2017年のベスト10。でも先に書いた通り、黒光り度合では負けません。何と戦っているのかはよく分かりませんが。 次点はオノシュンスケのスライ・カバー。音源の発表自体はずいぶん前になりますが、今年遂にLP化。最近では坂本慎太郎との共闘の記憶も新しいオノシュンスケ、楽器の重ね合わせといい、音色の選び方といい、カバーの選曲の妙といい、才能しか感じません。その凄みはディスコってのカバーにも存分に発揮されていましたが、今後の活動が楽しみ。活動量増やしてほしいって思っているのは私だけではないでしょう。その他、新作でよく聞いたのはMATT SOUNDS。 そして年末最後の最後、29日の夜中に出版されていることに気が付いて大いにびっくりしたのがJAMこと細田日出夫のブラック・ミュージック・レビューでの連載をまとめた「Chasin' the 80s Classics」!そう、物凄い情報量で昔から有名だったあの連載。この連載を集めるために連載が乗っている全バックナンバー買いそろえようかと思っていたあの連載。凄すぎて需要が無く、決して単行本化されることはないと勝手に思い込んでいたのですが、これは本当に嬉しい出版です。資料としての価値として考えても世界屈指!大コーフンです。これで年明けも相当楽しめそうです。 さて、来年はクリス・デイヴの新作からスタートですね。映画スターになったモネイちゃん、それにアンドレ3000の新作は一体いつになったら届くのでしょうか?タンク&ザ・バンガスにも期待してます! 再発モノでは、ここ2,3年続いていたレゲエ方面への集中がひとまず一段落して、一気にソウル方面へシフトした今年後半。イギリスKentには引き続き大変お世話になっていて、The IndependetsとかBilly Butlerの総集盤には大変お世話になりました。この辺のシカゴ系への探求は来年以降も続きそう。そうそう、レゲエ経由で違和感が完全に解消されたこともあり、華麗なフィリーの音も随分聴き直しました。でも、やっぱりブルーノーツとオージェイズがダントツなのですけどね。60年代デトロイトは既に人生のテーマとなりつつあり、年末近くになっても掘り出し物を発見出来て、嬉しいところです。 さて、その他は一気にまとめて。 あまりに目白押しだった昨年に比べると、ライブはあまり観に行ってないけど、内容は充実していたと思います。 ベストライブは何といってもエリカ・バドゥ@ソウルキャンプでした。やっぱり無理してでもビルボードライブに行っておくべきだった気がして、今でも少し心残りなのです。その他では、UA@野音、近藤房之助@Old Scot、Kodama and Dub Station Band@クアトロはもの凄かったですね。Reggaelation Independenceはそら豆も最高でしたが、真夜中の下北も面白かった。その他では、内田コ―ヘイQ@渋谷Roots、Dub Organizer@新宿OPENにも興奮しました。レゲエ界隈のミュージシャンは本当に凄腕が多いですね。 映画は機内で観ているものばかりなのできちんと観たうちに入らないし、更に私は映画に関しては(関しても)ごくごく単純な神経構造をしているので、単純なものばかり。でも、一番はやはりHidden Figures(ドリームとは言いたくない)に尽きますね、しつこいけど。その他では、ローガン・ラッキー、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー・リミックスあたりの肩の凝らない娯楽作も良かったですが、スノーデンかな、やっぱり。あと、機内上映で時間切れになって見終えることが出来なかった「女神の見えざる手」、この続きが猛烈に観たい今日この頃です。(調べたら、まだ上映しているのね、観に行こう!) カズオイシグロのノーベル文学賞はなかなか嬉しかったけど、本は例年ほどは読めておらず、これは大いに反省しております。一番印象深かったのは、船戸与一の満州国演技。NHKのインパール作戦等の放送、そして落ちてくるはずもないミサイルで大騒ぎしているこの残念な状況の中で、残念ながらリアリズムを持ってしまうのが厳しいところ。来年はもっと何とかならないものでしょうか? その他は色々と楽しかったもの。 カズンズはプレーオフに行ってくれ!キングスはもう少し頑張ってくれ! シルヴィア・モイ、クライド、ジューニー、デビー、Pナット、星になる人が多すぎです。そんなに急いで行かないでほしい。 ケンドリックス、プリーチャー、サンディー、ミスター・P、そしてボンさん、一年ありがとう。58さん、スミエ姐さん、ランチ、はてさて。モヤーン、来年こそ。ノブさんも。ロンマク&コハマク、今後が楽しみだ。ハイさん、またカレーを。MAさん、早く復活を。 ブラザG、君の活躍こそが私の養分。 孫の言いなりの鵜雛&Hはやっぱり元気が何より。 ヨメさん、今年も色々とすまん。 レイとヨウ、君たち二人はいつも私の世界中心。 今年もお世話になりました!それでも皆さん、よいお年を!
by zhimuqing
| 2017-12-31 00:00
| Funkentelechy
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Comments(2)
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ごっぱち
at 2017-12-31 13:20
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ベスト10をみても今までは???でしたが、今年はAmazon Unlimitedのおかげで7割ほどチェック出来た。イイのか悪いのかアチコチ聴けて時間が足りないしCD買わなくなった。
来年もマゴ家にとって、幸多き年になりますよう。 良い年をお迎えください。
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zhimuqing at 2017-12-31 15:17
>> 58兄さん
今年も一年お世話になりました&お疲れ様でした。 興味の範囲は広がる一方で、全く困ったものです。来年は58兄さんとも、もそっとバリバリやりたいのでよろしくお願いいたします。 奥様となっちゃんにも宜しくお伝えください。 それでは良いお年を!
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