1曲あれば当たりともいえるのだが

エリック・ベネイの新作(とはいっても16年作)。店頭で流れているのを聴いて、居ても立てもいられなくなり購入。
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前々作ががっかりの日本エクスクルーシブで、「80年代のポップロックを歌う」という企画ものだったので、もう買わなくていいわいと思ったのですが、この人は超名曲を忘れたころにぶち込んでくる人でした。忘れていましたね。数年前、存在自体を忘れかけていた時の“Sometimes I Cry”とか。

で今回は“Sunshine”。ま、これを聴いて触手が動かないスウィートソウル好きというのは真正の70年代至上主義のマニアぐらいしかいないかな、と思うのですが、案の定私も心を鷲掴みされ、レジ横のNow PlayingのところにあるCD見て、やはりベネイの仕業か!と思う暇もなく、レジでお金を払ってしまったわけですね。メロウなギターに合わせてセンシティブに始まり、プリンスばりのシャウトを聴かせる、ここ最近のベネイの黄金の必殺技。
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アルバムはその名も≪Eric Benét≫。期待に胸を躍らせて家に帰り、CDトレイに乗せて聴くわけです。1曲目はベネイらしいポップ・ソウル。ま、オープニングとしては悪くない。2曲目は必殺の“Sunshine”。グォーと盛り上がり、これやがなこれやがなベネイゆうたらこれやがな、を連発、何度もリピートしそうになるのをグッと我慢して、次の“Insane”へ。ベネイという過去の世代がみんな影響を受けているプリンス風味(でもポップな)で、これもなかなか。お次の“Cold Trigger”も80年代の味わいがあって、小粒だけど悪くない。
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ただね、この後が良くない。MOR全開な“Home”、 リズムが単調でバネが効いていない“Hold On”と続く流れがなかなかに退屈。中道路線を歩むのが悪いとは言わないけど、曲自体に魅力がない。その後、メロウな“Fun & Games”、マックスウェルの近作を思い出す“Floating thru Time”、 “Broken Beat & Busted”で持ち直すものの、途中でだれてしまった流れはなかなか取り戻せない。ベネイが好きなサルサ調の“Run to Me”も悪くないのだけど印象に残らないし。おまけに終盤の“That Day”、“Never be the Same”でまた王道ポップスに行ってしまい、不完全燃焼でアルバムが終わってしまう。

クレジットを眺めると、昔からの仲間のデモンテ・ポージーがこのアルバムの制作のメインのようで、これまた昔からの相棒の従兄弟のジョージ・ナッシュの名前がないのが目を引く。やはり名ギタリストでもあるジョージ・ナッシュ・Jrが作るオーガニックな音作りの上で軽やかな身のこなしを魅せるベネイが私は好きなのだな、と。ポップな曲で大ヒットを飛ばせ、というレコード会社の意向もあるだろうし、ベネイ本人も元々そういう体質の人だから、仕方ないのだけど、やはり≪Lost in Time≫でとことんこだわってみせた(魅せた)ソウル歌唱こそがファンが求めているものだと思うのだけどねぇ。
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ベネイの従兄弟ということですが、ナッシュさん、非常に親近感がわくルックスであります。

普通アルバムに1曲でも大名曲があれば、買いだとも言えるし、平均を超える曲もはいっているだけど、本来の実力からすると物足りないのもたしか。思えば12年の"The One"も前半の素晴らしさが後半で失速するアルバムでした。ルックスと歌双方でポップスでも突き抜ける実力を持った人だから
狙いたくなるのは分かるのですが、日本のレコード会社もトトとかのカバーでアルバム作らせるぐらいだから、そっちの需要の方が大きくて、私の好みの方が大幅にずれているだけなのかな。うーむ。
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シングルの12インチだけでも良かったかなと思ったり。ベネイを購入するのはなかなか難しい。



実に美しい二人のコーラス女性が気になりますが、この辺のチョイスは流石ベネイですね。伊達に元奥さんがハル・ベリーじゃない。が、この曲、実はコーラスは全てベネイ本人。その辺も伊達に現奥さんがプリンスの元妻ではないな。と。

とはいえ、ベネイのベストはやっぱりこれですね。


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by zhimuqing | 2017-02-24 21:28 | Funkentelechy | Comments(0)
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