BLACK AMERICA AGAIN

まずはこの映像を見たほうが早いかな。タイニーデスク、まさかのホワイトハウスの図書館でのこのパフォーマンス。コモン、マスター・カリーム・リギンズ、シュープリーム・ロバート・グラスパー、インコンパラブル・デリック・ホッジ、キーヨン・ハロルド、レイナ、そしてビラル。




涙が出ますね。


大統領選挙に合わせて発売したコモンの新作は復活の狼煙を上げる久しぶりの力作。前2作は結局買わなかった私が言うのもなんですが、“Be”以来でしょう。いやもしかすると、Like Water以来かも。
e0147206_1613595.jpg
BLACK LIVES MATTERに深くコミットしたアルバムという意味では、DのMessiahやラマーのButterflyに続くアルバムであることはすぐに分かることですが、ソランジュの新作とも波動を一つにする作品でもありますね。アフロアメリカンを取り巻く状況の酷さという厳しい流れではあるものの、コンシャスな姿勢はそのままにコモンがかつての力強さを取り戻してくれたのは1ファンとして本当にうれしいところです。(状況は良くなりそうにないことがつらいところですが)
e0147206_16145765.jpg
なんといっても黒幕のカリーム・リギンスに尽きるでしょう。コモンのバックバンドでドラムも叩いているリギンスによるトラックの切れ、これがないとコモンに力感が戻っていても映えないわけで、というより、このトラックがあったからこそ、の復活作かと。

プログレのキュラキュラしたキーボードをこれ以上なくドープにチョップした上にビラル、元フロエトリーのアンブロージアス、BJ・ザ・シカゴ、パリス・ジョーンズ、シド・ベネットによるホーリーゴースト漂うコーラスで包んだ最高のオープニング、その直後にまさかのO.V.ライトの大傑作“I’m Going Home”から地を這うファンクネスを抽出した“Home”で完全にノックアウトです。カチカチしたドラムは勿論リギンスの手になるもの。オルガンは名盤の陰にこの人あり、のポイザーさん。この2曲だけでも傑作の名にふさわしい出来かと。それにしてもO.V.のこの曲を使うとは驚きました。

で、ここからはロバート・グラスパーが登場。アルバムタイトル曲はJBの“Say It Loud”のライブ盤でのイントロダクションから御大の声を、コモンの声にかぶせてMCライトにチャックD、最後にスティーヴィー。ベースはエスペランサ。チャックDの居場所がまだ分からないのが悔しいと言えば悔しい。ちなみに、この曲は全く異なるけど、21分に及ぶ力作ヴィデオを見ることをお勧めします。というか、私の感想文なんか不要です。ヴィデオを見て、あとは音を聴けば十分です。



大半の曲に参加しているグラスパーの音も心持ちいつもより強度があるように聞こえるのは、コモンとリギンス効果なのか?それにしてもリギンスのリズムはディラ以降のあの撚れた感が強く、しかもビラルをはじめとする歌の絡み方を含め、ソウルクウェリアンズの心意気に非常に近い感じがしますね。リギンス自身の新作は来年早々に出るそうですが、これは大いに期待できそうな予感ですね。先のタイニーデスクにも出演していたフルートのレイナは全編で相当効いています。
e0147206_16155191.jpg
後半にはロイ・ハーグローヴ登場で更にソウルクウェリアンズな空気感に。ジョン・レジェンドとのグローリーコンビもあり、沈鬱な表情からポジティブな心持ちに変わっていったところで、ビラルとのコンビでの魂の祈りで大団円。それもまたコモンを象徴するかのような流れ。アルバムトータルでしっかり練られていて、後味がまた素晴らしい。閉塞感が漂う今の日本にもしっくり来る(来てしまう、残念ながら)アルバム。アメリカの状況はもっとひどいのかもしれないけど、ここで見せるコモンの力強さはまた別格。力づけられます!末永く楽しめるアルバムになりそうです。必聴。
e0147206_1620523.png

[PR]
by zhimuqing | 2016-12-24 00:28 | Funkentelechy | Comments(0)
<< 本物の才能と芸人魂と 地下鉄博物館 >>