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臥薪嘗胆?一念通天?

JBの“Live at the Garden”のデラックス版を遂に入手!
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09年にHip-O Selectから発売されたもの。当然気にはなっていたものの、当時のHip-Oからは今から考えても鬼のようなリリース攻勢を見せている時期でモータウンやJBの年別シングル全集攻撃、更にはデイヴィッド・ラフィンやエディ・ケンの再発まで重なり、私なんかは捌くのに精いっぱい。ここまで手が回らないうちに、気が付くと入手困難に。そこが限定盤の難しいところで、案の定アマゾンでは恐ろしい値段になっておりますね。

が、流石にその価格で買おうとは思わないので、虎視眈々、雌伏雄飛、臥薪嘗胆、一念通天、坐薪懸胆、心堅石穿、手ごろな価格で入手できるチャンスを狙っていたのですが、ようやくこのほど入手出来ました。粘ってみるものです。

元は67年発売、ファンク突入したJB初のライブ盤なのですが、翌年のアポロpart2があまりにも有名なもので、あまり顧みられることがなかったアルバム。しかも歓声なんかがオーバーダブされているということで、何となく更に評価が低くなっている感もあったのですが、いやいやどうしてJB屈指のライブ盤かと。
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それにしてもよくこんなチラシが残っていたものだ。

録音が67年1月14日なので、シングルで言うとちょうど"Bring It Up"の発売のタイミング、脂が乗りきった時期のJB、悪いはずがありません。フェイマス・フレイムスは離脱の直前、バンマスはピーウィー、バンドメンバーにはジャボ&クライド、バーナード・オドム(オーダム)、ジミー・ノーランとアルフォンゾ・ケラム、ピンクニー翁(この時はまだ若いけど)といったメンツ。メイシオは兵役で抜けているタイミングなのが残念ですが、ほぼ完ぺきな布陣。

このデラックス版はリマスターに加え、元の録音、土曜日14日の2分だけでなく翌日15日のショーの録音を交えて、当日のJBのショーが楽しめるよう再構築されています。個人的には全4セットがまるっと聴いてみたいのですが、使える音質のものが少なかったようで、ま、そこは仕方がありません。元のアルバムのリマスター(一枚目の方)は音がやや鮮明になって迫力が増したかな。それに対してライブの再構築版(2枚目)のほうはくっきりした音ではあるものの、音質は少し細め。でも楽器のフレーズはよく分かります。そんな細かいことは気にしてちまちま聴く音楽ではないのですが。
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普通ライブ盤になると演奏がホットになるあまりオリジナルの良さが無くなってしまうことも多いのですが、灼熱に燃えてはいるけどバンド全体がしっかりとドライブしていて、カッコいいとしか言えません。親分を盛り上げるためにバンドが一丸となって突き進むこの熱量は当然ながら他と比較するのが難しいです。あえて言うとサム・クックのハーレムでのライブかな。アリサのフィルモアは同じくらい素晴らしいものですが、どちらかというとバンドメンバーのアリサへの愛情が前面に押し出されていて似て異なるものだし。あとは思い浮かぶのはフェラ・クティぐらい。でも、70年代後半のこれだというライブ盤はなかったような気が。

目玉は何といっても“Papa’s Got A Brand New Bag”でしょう。演奏が長すぎてLPからカットされたとライナーにありますが、他のライブ盤でも一瞬しか演奏されたものしか残されていないので、これは本当に貴重な音源。しかもスタジオ版に比べると、100倍ラフでタフ。JBの喉も絶好調、おそらくダンスも絶好調だったことでしょう。会場のラテン・カジノ(シンシナティのガーデンではなかったそう)のマイクのセッティングが悪かったため、音が歪んだりもしますが、それも味のうち。

バラードがまた素晴らしい。フェイマス・フレイムスがまだいるので、ゴスペル臭の強いコーラスが楽しめるし、なによりもJBの泣きっぷりが凄い。演奏も以降のバンドよりもしっくりとはまっています。考えてみるとオリジナルを録音したメンツが大半を占めているので当たり前と言えば当たり前なのですけどね。
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さらには大傑作"Let Yourself Go"のスタジオ録音のアウトテイクまで。なんでもこの曲、このラテンカジノでのショーの後、会場で急遽録音したものだそうで、失敗した音まで入っていて、その場にいる感じになれて盛り上がります。

ということで、名盤とされるライブ・アット・ジ・アポロpart2と比べても、全く遜色ないこのアルバム。もう少し容易に聴けるようにしておくべきだとは思います。奇しくもJBのライブ・アルバムがまとめて何度目かの再発されたタイミングですが、こういう隠れたアルバムもしっかりとカタログに残しておくべきではないかと。それが人類の義務なのではなかろうか、と。

それはそうと、Hip-O Select、なんと閉鎖されたのですね。最近全くHip-Oからの再発がないと思っていたのですが。うーむ。
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モータウンのシングル集と並ぶ、あまりにも偉大すぎるこの偉業!
感謝の気持ちしかありません。
by zhimuqing | 2016-12-08 21:00 | Funkentelechy | Comments(0)
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