ということで、1年を締めくくる年間ベスト10。
例年の通り、新作でのベスト10なのですが、夏から生活環境が激変したこともあり、今年はこれまでになく新作を聴かない年だったので、10枚選ぶのに時間はかかりませんでした。 今年発売のものではないし、昨年選んでいるので今回は除外しましたが、やはり今年は(今年も)ディアンジェロ。3月に発売されたヴァイナルを今年の10枚に入れるという荒業も考えましたが、さすがにそれはやめておきました。8月のZEPPでのライブはずっと待ち続けた私(私達)の鬱憤を晴らしまくる、凄いライブでしたね。来年の再来日が楽しみすぎます。 ということで、2015年のベスト10を!ヘッメー! 前作が素晴らしかっただけに、それを超えてくることはないだろうと高を括っていた私の鼻を明かす近年のヒップホップ史上でも屈指の大傑作。 ここ数年の西海岸での面白い動きを全てまとめ上げ、クリントン、ロン・アイズレーの2大巨頭、更にはトゥパックまで召喚して繰り広げられる一大絵巻。 素晴らしいライム、濃密な空気感、息を突かせぬ展開を詰め込んだこの金字塔を何度もブログで書こうとして、ついに書けなかったアルバムでもあります。 このアルバムを超えることは流石に難しいと思いますが、もしかしてもしかするかも!と思わせられます。そうそう、このアルバムだけは歌詞対訳付きの邦盤がいいです。 そのラマーのアルバムにフューチャーされていたワシントンの3枚組。そのヴォリュームに初めは恐れをなしていたのですが、Youtubeにアップされていた怒涛のライブ映像を見て慌てて購入。 ここ数年の西海岸発の面白い音に絡んでいた面々、ドワイト・トリブル、ロナルドとスティ-ヴンのブルーナー兄弟、そしてブランドン・コールマンといった凄いメンツが集結。甘きに流れそうでもぐっとこらえ、暴発する様がロマンティックですね。 ドラムが気持ちいい、サンダーキャットもものすごい。2枚ぐらいに絞ったほうが良かったのかもしれませんが、173分をまとめて聴くことで更に味わいと興奮を増す2枚目の後半あたりから3枚目のラストへ向けての疾走感。これこそがジャズであり、ファンクであり、ブルースなのであります。海外出張で来日公演に行けなかったのがとても残念!3枚組なのに値段を抑えているも◎!ヴァイナルを買うかどうか、目下悩んでおります。 “Two Friends, One Century of Music (Live) (2CD+DVD) ” ジルベルト・ジルとカエターノ、二人で歌います。 先日の大コーフンも冷めやらず、今日現在での愛聴盤なのは当然変わらず。ジルの声の張りが少しだけ落ちた気も正直するのですが、枯れたら枯れたでいけるのが、この人達の強み。当然ですが、ギターの腕に衰えは無し! それにしても、カエターノの声。ストレートの私にもたまらんものがあります。せっかくだったら、DVDとのセットをお勧めします。 ディアンジェロの”Black Mesiah”に一番影響を受けたと思しいのが、このアルバムのような気がしますね。ラサーン・パタースンの盟友という位置付けだったのだが、頭の中に湧き出る妄想を音像化したかのようなこのアルバム、はっきり言って万人に受けるとは思えませんが、私の周囲10m以内では結構評価がもらえそうな音であります。 基本なんでも演奏できるマルチプレイヤーですが、Dやマクスウェル、あるいはベネイやケムのようにバンドとして熟成させた音がそろそろ聴いてみたいと思うのは私だけではないでしょう。次回作にも期待! これまた世評が滅茶苦茶高かったアルバムですね。おそらく各所での年間ベストに顔を出しているはず。リズムの処理等が非常に面白く、当然凄いアルバム。 でもね、正直言うとこの音はエリカ・バドゥが何年も前に通ってきた道じゃないの?と言いたくなるのは私が天邪鬼なためでしょうか?ライブを見に行ったプリマクさんによると、「Nai Palmはガンマ宇宙域のミューズ」だったとのことで、ライブで観ていると、もっと評価が変わったかも。ということで、期待値を込めてのこの位置です。 “Unity - The Latin Tribute to Michael Jackson” これは、もうひたすらラテンの世界のミュージシャンの力技を楽しむ、そういうアルバムですな。理屈は要りません。 でも、理屈っぽく聴いてみると、それはそれでもの凄い演奏とアレンジ、そしてソネーロの自在な歌いっぷりに圧倒されるという、そういう恐ろしいアルバムでもありますね。コアなファンにはもっと凄いアルバム、ゴロゴロあるよ!と指摘されそうですが、躍らせてナンボ、楽しませてナンボの世界、私は十二分に楽しませていただきました! 今の日本が誇る問答無用のランキンタクシー。 ボンボオヤジを初めて聴いた時の衝撃、ストレートなのに変化球。この人の視点が今の日本の色々なところに少しでも広まるといいですね。というか、本当はボンボオヤジみたいな歌をランキンタクシーが歌わなくていい社会になるのが一番なんだけど。 昨年末に出たファンカの3枚組(これも3枚組)。 ここ数年のクリントン先生のダメダメぶりに全く期待していなかったのですが、各方面での高評価に違わず、たしかになかなか良いです。 ただし、優れた曲の多くは明らかに90年代後半の音。例えば96年の大傑作“T.A.P.O.A.F.O.M.”がほぼ無視されていたことを思い起こすと、なんとも複雑な気分になりますね。当時積極的に評価していたのは、Q兵衛師ぐらいだったのではなかろうか? とはいえ、あの最悪な“His Gangsters of Love”からよくここまで戻してきたものだと私は嬉しくなるのでありますね。でも、やっぱり1枚で十分だったと思うかな。 あと、ベリータ・ウッズの声に泣けますね。(涙)ベリータの音源まとめて出してみようよ、ジョージ。ちなみに来年初頭の目玉はQ兵衛師と押野素子の黄金コンビによるクリントン先生の自伝出版ですね、はい。 “A New Constellation” クァンティックのこのアルバム、コロンビアでの音楽修行の成果をまだまだしっかり刈り取るべきなのに、なぜにアメリカなの?と発売後もなかなか聴く気になれなかったのですが、繰り返し聞いているうちに結局気に入ってしまったのですね。 肝はウィルスン・ヴィヴェロスのドラム。来日公演で絶妙なティンバレスを叩いていたウィスルン叔父貴、ここでは主にドラムに専念しているのですが、うまくは説明できないが、普通のリズムを刻んでいるだけでも、どうしても漂わせてしまうカリブの芳香。それを聴いているだけで気落ちが良くなってしまのですね。 アナログな音質も私好みで、これもLPを購入するかどうか、迷っている一枚ですな。そうそう、曲によっては坂本慎太郎が歌ってもおかしくない感じ。いっそ、一度セッションを試してほしいものです。 でもね、私が待っているのは、オンダトロピカの第2弾なんですけどね。それは来年に期待かな? 結構無視されていた感が強いジョデシの再結成作。 あまり期待されていなかったデヴァンテの音作りだけど、時代が一周して、復活のタイミングとしてはばっちり。ケイシーの鋼鉄の声もかっこいいまま。(ソウルトレインアワードでの雄姿も嬉しかった) 本国でも結構ツアーをやっているようだし、ここは一発来年あたりジョデシでの来日を激しくお願いしたいところでありますね。 とまあ、いつものことながら変なラインアップですね迷った挙句、選外になったのはThe Internet, Jill Scott, Cee-loあたり。まだ聴いていない、買っていないものもいくつかあって、ケリス師匠の新作とか、Le Jitのロイ・チップ・アンソニーはとりあえず早く聴いてみたいかな。来年はとりあえずエリカ・バドゥやアンドレ3000の新作が何としても聴いてみたいっす。 古い音の再発モノ、発掘モノは結構手ごたえがありましたね。以下、私が大コーフンしたものをパッと思いつく限りで。 ①The Fantastic Four “The Lost Motown Album” ②Sly & The Family Stone “Live at the Fillmore East October 4th & 5th. 1968” ③The Nitty Gritty Sextet ④The Isley Brothers “The RCA Victor And T-Neck Album Masters” ⑤E.T. Mensah & The Tempos “King of Highlife Anthology” ⑥Johnny Adams “I Won't Cry ~ The Complete Ric & Ron Singles 1959-1964” ⑦Clarence Gatemouth Brown “Okie Dokie Stomper - Peacock Records Years” ②については4枚組というヴォリュームもさることながら、演奏がどんどん良くなっていく様に感動。レジェンド大集合でのブーガルー爆発の③、E.T.メンサーのヴィンテージ録音を集めた⑤はiPodで聴いた回数がかなり多かったですね。 ④⑥⑦に関しては、中途半端な編集盤に対する長年の鬱憤を晴らす、これまたリスナー寄りの素晴らしいCDですね。苦戦が伝えられるCDの売り上げですが、この辺のフォローをしっかりやらずして何を、とも思うのです。そういう意味では英KENTそして日本のOldays Recordはやっぱり偉い!再発盤で買い逃しているのは、ステイプルスとボビー・ラッシュ。買い逃さないよう気をつけておかねば。他はライ・クーダーとかプエンテとかミラクルズとかローリン・ヒルをレゲエとディアンジェロの間によく聴いていました。 あの興奮を3月にもう一度味わえるとなると、お尻のあたりがむずむずしてきますけど、箱がデカめなのが少し心配です、はい。仕事で観ることが出来なかったハイエイタス、カマシ、そしてリロイ・シブルズ、これを逃したのは痛かった。来年はモネイちゃんが観てみたいけど、来ないだろうなぁ。 そうそう、忘れてはならないのがWASABEATS! 来年第3弾も決まっているそうで、楽しみです、はい! 音楽映画ではさすがに一昨日観たNWAの印象が強いですが、JBの映画にも燃えました!関連イベントでのQ兵衛師との遭遇にも大コーフン。見逃したのはサルガドの映画ですね。DVDは出るのかしらん。 来年は何といってもスタートレックですね!楽しみすぎます! 他には、高村薫の文庫本になっていない単行本を一気に読みました。が、まだ空海を読んでいないので、これは来年の楽しみかと。あとは、続編が出ているのを知らずにいたゲド戦記のも興奮しました。とは言え、ややネタ切れの感もあるのでそろそろ他の好みの作家を探さないと、苦しいかもしれないですね。 寂しい出来事もたくさん。 やっぱりレナード・ニモイですね。 その他にも、BBキング、船戸与一、トゥーサン、水木しげる、シンシア、サンダーサム、フェルダー、野坂・・・。寂しいですが、残された宝物を味わい尽くすしかありません。 だんだんといやな空気になってくる昨今の日本ですが、もちろん楽観視しているわけではありませんが、悲観論だけで生きていくわけにもいきますまい。いつまでもヤツらのいいように進むはずはないのだ。来年こそはいい年になりますように! それでは皆様、1年間大変お世話になりました! 来年もよろしくお願いいたします!
by zhimuqing
| 2015-12-31 00:00
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