爪の垢を煎じて

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話題のスライ&ザ・ファミリー・ストーンの4枚組のCD、
68年という絶妙な時期の2日4ステージのライブをまとめたもので
これはとても面白い。
当たり前といえば、これ以上当たり前のこともないのですけどね。
芽瑠璃堂で発売日に購入して以来、数週間、毎日のように
このアルバムを聴いているのですが、
なかなか文章に出来るほどまで聴き込めていないのが現状ですね。
ちなみに芽瑠璃堂で買うと、定価4,860円(税込)が4,131円、
しかも日本盤なんでBlu-spec CD2、お買い得です!!
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大傑作≪スタンド≫直前の登り龍のように勢いのある時期ですが、
逆に言えばバンドとして爆発的な成長過程にあった時期でもある。
それだけに時間にして24時間ぐらいの差しかない4ステージの間でも
かなり違いというか、試行錯誤の跡が感じられますね。
初日のファーストと2日目のセカンドでは全く違うノリが感じられて
たった2日間の間でグングン変わっていく様子が実に刺激的です。

もちろんスライ・ストーンその人の気紛れ等もあったのでしょうが、
初日のファーストでは試行錯誤している感じがあり、
試みをしては面白いものの、やはり爆発感が足りない感が強い。
それがセカンドでは演奏の中身を整理して余分な部分をそぎ落とし、
二日目には更に集中力を増して、ほぼ全編爆発するという流れ。
どうしても私なんかは2日目ばかりを聴いてしまうかな。

とはいえ、初日の1stの試行錯誤と感じる部分は
一方でスライ・ストーン個人の音楽的資質の幅広さでもあり、
この振幅をスライがモノにして全面的に露わにするのは
≪暴動≫まで待つことになるのですね。
スライの頭の中に流れる音を表現することは
腕利き揃いのこのバンド編成でもなかなか難しかったということでしょう。
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それはさておき、何はともあれ、聴きどころは
全盛期のこのバンドの類稀な推進力、突進力に尽きますね。
やっぱりラリー・グレアムとグレッグ・エリコのコンビは
ポピュラー音楽史上に残る名コンビだなと感じ入りますな。
世界中の誰もが知っていることですが、何度でも言わずにいられません。

ゴリゴリとした筋肉質な、それでいて柔軟性もあるグレアムは
少しだけ頭に突っ込んでくるのだが、絶妙にグリスを効かせて
粘り気も出すという、この人にしか出来ないノリが本当に素晴らしい。
時々出てくるファズ・ベースも隠し味程度に極めていて実に良い。
個人的にはバキバキに弾きまくるGCS時代よりも、
ラインはシンプルだとはいえ、この時代の方の演奏のほうが好き。

というより、グレアムとエリコとのリズムの組み合わせの妙、に
多分私は惹かれているのでしょうね。
エリコのドラムはベーシスト目線で見ると凄く合わせやすいそう。
ひたすら肝だけを突いてくる無駄のない叩きっぷりなのですが、
ドテステといった感じのラフでタフで荒っぽいところが
ベーシストとしては気持ちよさそうだな、と。
もっと評価されてもいい人だと思うのですがね。
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あとは、複数の歌い手がいるバンドの強み。
スライ、グレアム、ロージー、シンシア、フレディ、
色合いの違う歌い手がマイクリレーを決めるというのは、
あまり触れられることはないけど、スライ&ザ・ファミリー・ストーンが
嚆矢だといってもいいのでは?
よくテムプス(というかノーマン)がスライの音を借用したといわれますが、
テムプスを含め後世に影響が大きかったのは、むしろマイクリレーでしょう。
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次々と入れ替わるキャラが立った複数のリード、
きれいにハモるというよりもそれぞれの個性を活かしたまま
ワサワサ決めるコーラスやユニゾンの威力は
シニカルな詩作、ファンキーでロッキッシュな爆発力と並び
スライ&ザ・ファミリー・ストーンの大きな貢献ですね。
テムプスを代表とするコーラス・グループはもちろん、
70年代のファンク・バンドから80年代以降のドープなMC連まで
続く大きな流れの源流として、もっと評価されていいはず。
もっともファミリー・ストーンは黒白男女の混合で、
キャラの経ち具合も含め、ここまでの組み合わせはないですけどね。
個人的に好きなのはもちろんロージーです、はい。
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それにしても、このバンドの突進力。
突進力だけでいうと、ソウルやファンク、いやポピュラー音楽史上、
並び立つことが出来るバンドはあまり見当たらないですよ。
リズム隊もそうですが、フレディとスライによるギターの絡み、
そしてバシバシ決まるオルガン、いちいちカッコいい。
オルガン担当はロージーとスライだけど、強引に割り込んでくる
ある意味マイルス的なギラギラしたオルガンは
スライの手によるものだと思いますが、どうでしょう?
映像版も残っているはずなんで、なんとかして観て確認してみたいものだ。
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私の一番好きな写真。みんな悪そうだ。

この突進力に匹敵できたバンドは、と考えると、
50年代のプエンテ楽団やルイ・ジョーダン、70年のJB、
70年代中盤のPファンク、70年代後半のアフリカ70やマイルス、
86‐88年のプリンス、00年のソウルトロニックスぐらいじゃなかろうか。
もしかすると来週のD&ザ・ヴァンガードもかなりキテいる気もしますが、
それは来週のお楽しみということですな。

明日、明後日にいよいよスミジャズが控えている私としては、
今からでも遅くない、スライ達の爪の垢を煎じて飲むしかありませんな。
間に合うのか、いや間に合わせなければ。
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by zhimuqing | 2015-08-14 17:28 | Funkentelechy | Comments(0)
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