しっかり聴き直そう!

カーティス・メイフィールドの名盤といえば、
個人的には長らく『Back To The World』か『Live』、
次点は『There’s No Place・・・』と声高に語っていた私ですが、
やっぱり先入観が邪魔して聴きこみが足りていないな、と反省ですね。
数年前に改めて『Super Fly』の良さを再認識したこともあり、
カーティス侮るべからずと思っていたのですが、
まだ認識が甘かったのだな、と。
『Got To Find A Way』の凄さを見逃していましたからね。
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世間一般でも地味な扱いを受けている『Got To Find A Way』、
私も何回か聴いただけでうん、いいけど、まあ地味かな、と
簡単に分かったような気持ちになっていましたね。
甘い、甘過ぎる!
一体どういう耳をしていたのだ?と小一時間当時の自分を問い詰めたい。

それにしても70年代前半のカーティスのバンドの凄さ!
71年~74年に限定すると、バンドのアンサンブルという点では
JBズよりもスライよりもMG’ズよりもファンカデリックよりもミーターズよりも
魅力的なのではないかな?
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タイロン・マクレーンやクイントン・ジョセフのバネが効いたドラム、
ラッキー・スコットの硬質なのに柔らかいベース、
少し雄弁だが喋りすぎることのないクレイグ・マクミュレンのギター、
楽器それぞれの間に入って旨みを増すパーカッションは
ご存じマスター・ヘンリー・ギブソン。
そしてカーティスの糸を引くような緊張感あふれるワウギター。
複数のギターの織りなす綾には溜息しか出ません。
音像の密度や色合いを自在に操るという意味では、
バンドとして最高峰を極めたことは間違いないでしょう。

最近熱心に60年代のシカゴソウルを聴いていた耳には
この音はシカゴ流儀にファンクのエレメントを
うまくまぶしていたのだな、とよく分かります。
ドラミングにそれを特に感じるのですが、ラッキー・スコットのタイム感も然り。
この辺は最近になって改めて感じている部分です、個人的に。
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それにしても。やっぱりドラムが凄いと思うのですが、
この時期のカーティスのアルバムにはクレジットがないので
誰が叩いているか、もう一つ不明。
ベースとの絡み方なんかから判断した推測はタイロン・マクレーン。

クイントン・ジョセフもそうですが、マクレーンのドラミングは
ドテステといった感じのバスドラがもう最高!なのですが、
対照的にしなやかに決まるスネア、かゆい所に手が届きまくるハイハット、
ああ、シカゴの流儀だな、というのが良く分かります。
スティーヴ・ジョーダンが当時のマクレーンを評して、
モンスターだと言っていたのも頷けますね。

さて『Got To Find A Way』ですが、まず出会い頭の一撃で悶絶。
“Love Me”は緊張感漲るアンサンブルこそ、名曲“Billy Jack”と共通しますが、
ギリギリと絞り上げたBilly に比べると、こちらは声とバンドが混然一体となり
聴き手をめくるめく快楽に包み込む至福の7分20秒。
多重録音による声とそれに呼応するワウ・ギターの絡みも凄いですが、
リズムの組み立て、重ね具合も素晴らしいとしか言いようがない。
聴きどころ満載で何回聴いても飽きません。
ライブでの壮絶な演奏を想像させますね。
特に後半のパーカッションとドラムのブレイクなんか特にね。
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知らなかったんだけど、シングルあるみたい。少し欲しいかも。

そんな感じで冒頭から何度も悶絶させられますが、
続く波状攻撃もなかなかのレベル。
後半にSo You Don't Love Meを思いっきり連発する2曲目は
深い喪失感と前向きな心境という相反した二つを包み込みます。
失恋の歌と取るか、挫折しつつあった社会への不信感と取るか、
私は後者の様な気がするのだけど、まあそれだけの深みがある曲。
後半のフルートが出てきてからの展開がたまりませんね。
パーカッションも活躍するし。

それにしても、1曲目は普通のラブソングなのにあの切迫感、
2曲目は失恋歌でのこのポジティブな空気、
カーティスは人格者のイメージがあるし、実際そうだったのだろうけど
色々と複雑な部分も当然ながらあったのだろうと考えさせられます。

もっとも3曲目の十八番のゴスペル・ソウル“A Prayer”では
音も歌詞も全面的にポジティブな色合いに変えて
聴き手をじんわりと癒してくれるわけで、
このLPでのA面3曲での展開には唸らされるばかりです。
カーティスの歌唱の素晴らしさにもうたれます。

B面は一転してファンク3連発。
中では、やはり割と有名な"Mother's Son"でしょうね、燃えるのは。
バネの効いたソリッドなリズム、歌に呼応するワウギター、切れるカッティング。
曲の展開に応じて、鮮やかに変わる色合い。
文句を付けるとしたら、曲の長さぐらいですかね。
と思って時間を見ると、それでも6分以上あるのですね。
個人的な印象としては3分ぐらいなのですが。

続く"Cannot Find A Way"はSuper Fly以降に確立されたファンク。
ストリングスの使い方がその辺の曲に似ていて、勿論カッコいいのだけど、
今の私としては、アルバムの中では印象に残らないかな。
とはいえ、ギターは後ろで何気なく凄いことをやっていたり、
後半に飛び出すパーカッションとアヴェレージは軽々と越えている。

むしろ、マスター・ヘンリー・ギブソンのパーカションが乱れ飛ぶラストの
"Ain't No Love Lost"のほうが面白いかな。
というかギブソンのタイコの音が好きなだけという話もありますが…。
ドラムは割と淡々としてバッキングに徹し、カーティスの歌と呼応するのは
マスターのトーキングドラム。
もともと通信手段というか、言葉の代わりでもあったというトーキングドラムを
この時点でファンクにここまで使いこなしていた例はあまり思いつかない。
ラテンとの親和性を一気に飛び越えての狼藉!美しいです。
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いやあここ2週間、実はこのアルバムばかりを聴いていますが、
全く飽きることがありませんね。
70年代中期のアルバムもじっくり聴き直さねば、ということで、
皆さんも是非!
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by zhimuqing | 2015-07-03 06:28 | Funkentelechy | Comments(0)
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