サンダー・サム、雷を呼ぶ親指

ルイス・ジョンソンといえば、高速スラップ、雷の親指、サンダー・サム。
プロペラのように手のひらというか腕全体を振り回してキメる爆裂スラップ、
たとえば代表曲の”Stomp”でのベースソロなんかが有名ですよね。
もの凄いインパクトで、誰もが一度は真似をしたくなるのですが、
この人の本当に凄い部分はそんな高速スラップではないと思うのです。
ファンキーなんだけど、他にはない粘着力と柔らかさこそが
ルイス・ジョンソンの持ち味かな、と。
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音の長さの調節が絶妙だし、音色のバリエーションも多彩。
特にプルの使い方が上手いですね。
リズムやメロディー、ギターのカッティングに合わせて
ブチ、ブチン、ベ、プチン、プッ、ポッッ等々、
バ行とパ行を1曲の中で巧みに使い分けるのが凄い。
(何を書いているか、自分でもやや分からなくなっていますが)
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音をコントロールすることで生まれる柔軟性と粘着力は
特にメロウな曲での効用が絶大です。
教会のホーリーゴーストが憑依したラリー・グレアムのダイナミズムや
よりマッチョで直線的でムキムキなマーク・アダムズには無かった部分。
クインシーが重宝したのも、この巧みな制球力あってのことでしょう。
ディスコからブラコンに繋がる80年代の黒い音楽の方向性に
一役買ったことは間違いない。

だもんで、音作りにおいて生音が減って打ち込みが全盛になるタイミングで
流行の流れに埋没していってしまったのも仕方がないのかな。
80年代半ばの音はシンセベースが大半だったし、
打ち込みドラムと生のベースの組み合わせの妙が発見されるのは
もっと後のことですしね。
個人的にはスティングレイをバキバキ弾いている時代よりも
プレシジョン持っていた時代のほうが好きだったりもするのですが、
これも時代の音とのマッチングだということで、
私が70年代の音のほうが好きだというのが大きいのでしょう。
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このジャケの味わい深さは相当なもんですけどね。
ある意味ファンクを極めたといいますか。

そんなわけでブラザーズ・ジョンソンとしても1枚目、2枚目が
好きな私ではありますが、バンド、ユニットとして見た時、
やっぱりジョージ・ジョンソンの歌の弱さが実に勿体ない。
細い音に好き嫌いが分かれそうなジョージのギターは
それはそれで独特の浮遊感を醸し出していて悪くはないのですが、
歌はやっぱり他の人に任せておいたほうが良かったと思います。
バリトンでシャウトしまくるいわゆるシャウターでも勿論良いのですが、
バンドの音にフィットさせるとなると、ここはしなやかに歌える人。
そんな歌手がバンドにいれば、もっと良い作品、もっとカッコいい作品が
バンバン産まれてきたのではないか、と思うのは私だけではないでしょう。

同時代の人で一押しはやっぱりハワード・ヒューイットかな。
他にすぐ思いつくところではオークランド出身のレニー・ウィリアムズとか
クインシー・ジョーンズ繋がりでジェイムズ・イングラムとか。
イングラムだったらちょっとゴージャスすぎるかもしれないけど。
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過小評価極まりないヒューイット!
シャラマー参加の直前に未発表となったエディ・ヘイゼルの2枚目のソロアルバムに
参加していたことはあまり知られていない。
タイトルは『Kingdom Come』、製作はジェフリー・ボーウェン。
うーむ、聴いてみたいものだ。

もう少しベテランだと、多彩な技を持つGCキャメロンなんかも面白そう。
もう少し無名な人だと、カーティス・ヘアーストンとかマーク・サダーン、
今だったら、ケムとかエリック・ベネイとかマックスウェルかな。
元ネタの一つだったオハイオプレイヤーズのシュガーフットや
バーケイズのラリー・ドットソンなんかもまあ外れはないでしょう。
この辺の独自の味を持っているシンガーと組んでいたら、
もっとファンクやソウル側に振れた音が聴けたのではないかな?と。
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もっともマイケルとの諸作を初め、70年代後半から80年代半ばにかけて
様々な人のアルバムで客演しまくる客演王だったわけで、
そこかしこで自分の音が流れていた、という意味では
プレイヤーとしては十二分に恵まれていたとは思うのですけどね。
まあ一度でいいので、雷のような親指が観てみたかったな。
ゆっくりとお休みくださいませ。
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by zhimuqing | 2015-05-27 22:28 | Funkentelechy | Comments(0)
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