引き裂かれたソウル

ミュージシャンの伝記作家として有名なデイヴィッド・リッツは
びっくりするような有名人の本をものしていますが、
やはり何と言っても1発目がレイ・チャールズだったのが大きかったのかなと。
そして2番目が、そのレイの自伝を読んでいたマーヴィン・ゲイ。
もちろん中身の良さも折り紙つきですが、大物釣り感が半端ではありません。
レイ・チャールズにマーヴィン、大物、しかも手がかかりそう、
もっとはっきり言うと面倒くさそうな2人。
オファーが殺到しそうなのがよく分かりますね。
e0147206_7583394.jpg
レイ・チャールズの本が78年、マーヴィンの本が85年で
この後に並ぶメンツがもの凄い。1,2年おきにバシバシと。
私が気になるところだけでも、こんな感じ。

89年 スモーキー・ロビンソン
93年 ジェリー・ウェクスラー
95年 エタ・ジェイムズ
96年 B.B.キング
99年 アリサ・フランクリン
00年 ネヴィル・ブラザーズ
08年 グランドマスター・フラッシュ
10年 ナタリー・コール
11年 ジャネット・ジャクスン
12年 バディ・ガイ
12年 R.ケリー
13年 ベティ・ラヴェット

私が気になるところだけでもこれだけありますからね。
他にもジョー・ペリーとかエルヴィス関係とか。
節操ないと言えばないのだけど、わりと通好みというか
渋いところ、突いています。特に前半は。
個人的には多分和訳されていないけど、アリサとかスモーキーは
絶対に読んでみたいっす。
ちなみに、向こうでは本人からの聞き書きによる自伝では、
リッツはゴーストライターという位置づけになるそうで、
その辺は日本とは感覚が違いますね。

ということで、話は戻ってマーヴィン・ゲイ。
こちらは本人との対話を中心とした自伝ではないタイプの本。
なんといっても今となっては貴重な本人によるコメント、
しかも自伝が前提でない、生の声が多数散りばめられているのが
とても興味深いです。
e0147206_759031.jpg
デイヴィッド・ラフィンやリーヴァイのダイナミックな声への憧れ、
マイケルやスティーヴィーに対する少しだけ嫉妬心を感じる共感、
フローレンス・バラードやポール・ウィリアムズへの惜別の念。
個人的には、ショーティー・ロングやアンダンテスを称賛しているところは
やっぱり嬉しいなぁ。
さらに近しい人々(家族、なんと父親も含む)のコメントもたっぷりだし。
e0147206_7591413.jpg
とはいえ、やはり読みどころ、読ませどころはマーヴィン自身の心の揺れ動き。
不安定すぎる、その心境はこの本の原題≪Divided Soul≫の通り。
巧みなリッツによる筆致(というか誘導?)もあり、ぐいぐい読ませますね。
誰にもフォローできない、あまりに儚いマーヴィンの心。
大変面白い本ですが、読み手の心境を選ぶ本なのかな?とも思いますね。
全方位に対峙せざるを得ない心持ち、まあ、誰の心の中にもそういう気持ちは
多少なりとも存在するのだろうけど、こんなにむき出しだったら
随分辛かったろうと、そういう風に感じる訳ですが、
逆に遺してもらった音の素晴らしさ、輝かしさが増して感じる部分もあります。
e0147206_7592783.jpg
ということで、吉岡正晴の翻訳は相変わらず読みやすいし、
(各章のタイトルは意訳しすぎて好きではないが)
マーヴィン・ゲイが好きな人はやっぱり読まないとダメですね。
でも、出来ればアナとジャンのコメントも合わせて読みたかったかも。
e0147206_80997.jpg
e0147206_802294.jpg

[PR]
by zhimuqing | 2015-02-09 08:00 | Funkentelechy | Comments(0)
<< 誰説人是理性的 もう一度まとめてみる >>