土曜の夜に最適だ!

ジュニア・ウォーカーは数あるガイド本やモータウン本で、
必ずと言っていい程、優等生揃いのモータウンで異色のシンガー、
ワイルドとか悪の空気を持っている数少ないアーティスト等と評されるわけですが、
なんというかね、的外れだと思うのですね。
都会的でない、というのであれば、それは頷けるのだけど、
その歌とブロウを聴くと、ワイルドというよりも全力投球、
田舎式の実直なもてなしといった言葉のほうがしっくり来るというものだ。
聴いている人、レコードを買ってくれた人、観に来てくれた人に対して、
楽しませずに、喜ばせずに帰してなるものか、というサービス精神には
悪の風とか、不良っぽさなんかは微塵も感じませんね。
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もちろん実際の性格や生活がどんなだったかは分かりませんが、
むしろモータウンの名シンガー達を並べてみると、今の耳で聴いてみると、
音とルックスだけで判断すると、ほぼ不良揃いなのではないかと。
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まあ実際に極悪だったデイヴィッド・ラフィンはまあ本物だとしても、
男前なエディ・ケンは軟派な不良だし、リーヴァイ・スタブスは更正した元不良、
マーヴィンは不登校系の一匹狼系?、運動神経よさそうな不良のG.C.キャメロン、
シュープリームスやタミー・テレルだって中学によくいたヤンキー系の別嬪さんでしょ?
新宿2丁目系のトニー・ワシントン率いるダイナミック・シュープリアーズもいる。
不良をあまり感じさせないのは、ミラクルズとか
そもそも親分のゴーディーからして悪い雰囲気がプンプン匂うではないか!
まあ、いずれにしても都会のヤンキー的で、その辺、スターとなる要件には
やっぱり不良っぽさが重要というのは、洋の東西、肌の色関係なく、
世界共通ということなのでしょうね。
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一番極悪だったろう人が一番カッコイイ!ああ、ラフィン様。

話が大幅に脱線しましたが、そんなわけでジュニア・ウォーカー。
昨今のモータウン名盤1000円攻撃でもほぼ無視されている人ですが、
レコードも格安で出てくるので、割と熱心に探しているわけですね。
個人的な目安としては、やはり三桁が基本です。

で、先日遂に見つけたのが、67年に発売された“LIVE!”。
大枚はたけば簡単に見つかるのを我慢した甲斐があった、800円!
割と長い間探していたので、嬉しさもひとしおです。
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まずはジャケットが大変素敵ではないか!
上部4分の1を占める緑色のバックに映えるオレンジの字体、
そしてその下の写真のマットなブラックのバック、くすんだ輝きを放つテナー、
緩めた首元、袖の渋いカフス、そして汗ばんだウォーカーののけぞった姿。
モータウン史上に残る名作ジャケットと思うのですが、どうでしょう?

この手の暑苦しい(失礼)人はライブでこそ本領発揮というのが定番ですが、
この何といいますか、もてなしの心はここでも爆発していて、
汗だくのサービス精神がてんこ盛りで、スタジオ録音よりも性急に突っ走る感じは
落ち着かない感じは女性にモテモテとはいかないでしょうが、
そんなことはない、これで押し切られる女性も多いのだ!という話もありそうですが、
いずれにしても私にはあまり縁のない話ですね、残念ながら。
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この時期のモータウンではよくあるように、ライブのメンバーは不明。
一応、ジュニア・ウォーカー&ジ・オール・スターズというグループ名義なんですけどね。
おそらくドラムはジェイムス・グレイヴスやテッド・アイヴィーではなく、
67年に出戻りしてきたビリー・ニックス、ギターはウィリー・ウッズでしょう。
ライブのラストのオルガンインストはアール・ヴァン・ダイクの名義なので、
本編もヴァン・ダイクがオルガンを弾いているのでしょう。
ベースは誰なんでしょう?ジェマースンではないと思いますが。
ちなみにイントロのコーラスはヴェルベレッツですね。
後にテンプスのリチャード・ストリートと結婚するカル・ギルもいたはず。
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うーむ、瑞々しい!

ウィリー・ウッズのギターのソウルジャズ丸出しのバッキングも麗しいですが、
やはりここはワイルドでホットなウォーカーの押し出しこそが目玉。
プギィィィー、プピィィィとなるフリーキーなトーン、性急にぶちかますシャウト、
私なんかはホッコリと和んでしまうわけですね。
流暢なフレーズできれいにまとめる気などサラサラ感じさせないその気合、
さすがチトリン・サーキットで鍛え上げた苦労人だけありますね。
モータウンの販促資料で11歳もサバ読みさせられていた経歴はダテではありません。
シャッフルのほうがバンドとしてのまとまりが良いのも経歴から言って当たり前。
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大ヒット“Shotgun”のB面だった“Hot Cha”でのメインのリフとオブリを
高低つけて自身のテナー1本で強引に吹き分けようとするその心意気に心打たれます。
もっともこの人の持ち味はメロやリフに唐突に入れるフリーキーな高音ですので、
まあ、それもいつもの必殺技ではあるのですけどね。
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たとえばマーヴィンの名曲のカバー“How Sweet It Is”の黒いノリはどうだ!
ウォーカーのバージョンもヒットしていますが、華麗な技が冴えまくるマーヴィンと違い、
熱情滴るウォーカーの歌と演奏はずっと野暮ったいかもしれないが、
恋人の愛情に感じる不器用な男の喜びに満ち溢れていて、
聞き手の心までもホカホカにさせる遠赤外線的な温かさがあるのだ。

ファンクではなく、あくまでファンキーな“Cleo's Back”。
ルー・ドナルドソンよりもテクニック的には及びも付かないかもしれないが、
ずっとダウン・トゥ・アースで、ブラックネスという観点からいうと、はるかにカッコいいし、
ヒット曲“Shotgun”や“Road Runnner“等での不器用だが甲高くて歪んでいる歌も
また泥臭くて美しい。
“Moonlight in Vermont”でのドラムのヘンテコな攻撃なんかもまた同様。

そんなわけで、A面13分、B面17分の怒涛のような30分間。
短いといえば、当然短いのだけど、内容的には十二分に満足させてくれるものだし、
聴けば聴くほど楽しさや親しみは増していくばかり。
週末の夜に延々とレコードをひっくり返しながら楽しむには最適ではないか?
もてなしの心がここには横溢しているので、何回ひっくり返して聴いても、
けっして胃もたれすることはありませんしね。
こうなると70年に出ているもう一枚のライブ盤もなんとかして入手しないといかんな。
どこかに転がってないのか?(安値で)
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by zhimuqing | 2014-11-16 01:28 | Funkentelechy | Comments(0)
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