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秋の夜長に是非とも

58兄さんに薦められる音楽はどれも外れはないのだけど、
とりわけ痺れたのがYoutubeで観たボニー・レイット。
かなりの大物ではありますが、こういう機会がないと、
私の捜査網にはかかってこないので、大変ありがたいですね。

いつか聴いてみたいと思っていたのですが、先日福岡に出張した際に
中古CD屋で目に留まって購入したのが、
72年のアルバム≪Give it up≫、税込480円。
レイットの最高傑作との誉れも高いアルバムですが、
たしかに素晴らしい内容、駄曲や捨て曲は一切なし。
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スライドギターで始まる1曲目のタイトルナンバーがまず素晴らしい。
歌に続く、スライドでのソロ、ブレイクで出てくるチューバ、
歌に絡むソプラノ・サックス、転がりまくるピアノ、
ラストにかけてのソプラノとそこに絡むラッパで
ニュー・オリンズじゃなかったウッドストックの森を練り歩く
楽隊状態まで盛り上がり、もうこの時点で笑顔が零れ落ちそうに。

力みのない歌もいいですね。
必要以上にガナる英米の白人ヴォーカルは苦手なので、
このレイットとかキャロル・キングみたいに柔らかくても腰がある歌に、
白いファンクネスを感じるのですね、個人的に。

ベストは3曲目のニュー・オリンズ・クラシックの“I Know”。
ハロルド・バティステの手によるバーバラ・ジョージがオリジナルですが、
ここでの演奏はニューオリンズ・ファンクの傑作といっても過言でない。
オリジナルを超えていると言ってもいいでしょう。
隙間のあるリズムの一番のツボにスライドのフレーズがハマりまくり、
シャッキリしたドラムのフレーズと相まって大変心地よく、
全身のコリがいい感じにほぐされます。
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あと、個人的な好みは8曲目の“You got to know how”ですね。
こういうオールドタイムな曲がレイットに合っていると思うけど、
まあ、そういう曲を私が好きだということのほうが大きいかな。
ジョン・ペインのクラリネットが実にいい感じ。

ウッドストック周辺の人達らしい参加しているミュージシャンは、
たぶん有名な人達なのだろうけど、そのあたりには馴染みがないもんで、
デイブ・ホランド以外は誰も知らないのが情けないですが、
我を出さずに歌を盛り上げつつ、よく聴くとしっかりと自分を出した
しぶとい演奏を繰り広げるという、理想的なバッキングですね。

元気なロックンロールの7曲目はリズムがやや単調かなと思わせておいて、
ブレイクでの旨みたっぷりのギターの絡みから、
ブレイク終わりにしゃしゃりでるハープ、ラストに向けて跳び跳ねるエレピと、
終盤に向けて怒涛の仕掛けで盛り上がるし、
9曲目ではサイドギターが西アフリカ的な金属的なフレーズをまき散らす。

バラードでのゆったりした曲はシンガーソングライター風になりますが、
よく聴くと、ピアノとドラムのコンビネーションに工夫を凝らしていたり、
スライドギターが隙間にするりと差し込んできたりと、
レイットならではの味付けがなされていて、まったく油断?禁物ですね。
一曲一曲、丁寧に大事に仕上げているのがよく分かるのですが、
それでいて、作為的な匂いを感じさせないのが心憎いですね。

レイットが昔師事していたフレッド・マクダウェルもありのままに
ギターを弾いて歌う人だったのだけど、
そういう血を受け継いでいるのかな?
ちなみに、アルバム発表直前に他界したマクダウェルに対する献辞も
しっかりとアルバムに記載されています。
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ということで、ほぼ大絶賛のこのアルバム、
個人的にはポール・サイモンの70年代の作品に匹敵するレベルで、
ボニー・レイット、いろいろ聴いてみたくなりますが、
それ以前にスライドギターが弾けるようになりたいな、と思ったりもする、
実に困ったアルバムです。秋の夜長に是非とも!
by zhimuqing | 2014-09-30 06:28 | Blues 4 Terapin | Comments(2)
Commented by ごっぱち at 2014-10-01 14:49 x
スライド良いよね!ドラえもんの手でも弾ける。
Commented by zhimuqing at 2014-10-01 22:02
>> 58兄さま

どちらかのお兄様のせいで、スライド聴くと涎が出てしまう体質に
なってしまいましたよ。本当にもう!!
それにしても、ボニー・レイットはカッコいいです!
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