我が家と海の向こうでは大フィーヴァー

先月は楽しみにしていたアルバムが複数リリースされたのだが、
これもまた個人的に待望の1枚、ケムの4枚目“Promise to Love”。
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昨年観たライブには心底驚かされたものですが、
その後もロナルド・アイズレーの新曲での見事なプロデュースだったり、
大盛況だというツアーの話もよく目にしていたので、
こんなに早く(といっても前作は4年前だが)新作が
出てくるとは思っていなかった。

まずは傑作であることは間違いないかな、と。
インタールード的に始まる冒頭からラストまで自分の色に染め上げ、
絶妙な抑制を効かせた歌と演奏が相変わらず素晴らしい。
以前よりも多少キャッチーというか、分かりやすい曲も増えたが、
それもプラスに出ている。
やはり自分の持ち味が分かっている人は強いな、と。
安定の一枚といってもいいでしょう。
もちろん海の向こうでも大フィーヴァーの模様。
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フィリーのレコ屋での店頭販売!

得てして安定と言うと、もう一つ良くない意味に捉えられがちですが、
ケムのようなシンガーは何も特別な冒険は必要なく、
しっかりした楽曲を丁寧に歌いこむことが肝要なので、
横綱相撲のほうが聴き手としてもありがたいというものだ。
そういう意味で、やはりシャーデーに近いかな。
(とはいえ、歌手としての能力はまったく違うわけですが)
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今回はリズムナンバー(あえてダンサーとは言わない)が目立つかな。
曲自体の良さもありますが、バックの演奏陣が素晴らしい。
来日時に、凄いやろ、このバンド!とケムが自慢したメンツで
固定出来ているのも、この手のシンガーとしては理想的ですね。
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細かなタイム感がいちいち勉強になるアル・ターナーのベイスは
音にあわせてベースを弾くとその素晴らしさに驚くという、見事な職人ぶり。
来日時にこれぞ都会派ソウルのバッキングを堪能させてくれた
ランディ・ボウランドのギターが全編で満喫できるのも嬉しい。
来日公演で感動したドラムのロン・オーティスは
プログラミング主体の演奏なので、出番が4曲しかないのが少し残念。
ケムのライブの魅力の半分近くはこの人が担っているのですけどね。
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テレビの出演もきっちりバンドで出るのが、これ股イイ!

ケムの歌唱スタイルはここにきて完成というか、熟成されたと言うか、見事の一言。
グルーヴに身を任せ、グルーヴを震わせ、グルーヴを引っ張り込む自在な歌いっぷり。
滑らかさと力強さの表出、リズムに対する反応、それらが乗数的に現れる表現には
他の追随を許さない。もう驚くしかないですね。
そういう意味では、スヌープやロン・アイズレーといったゲストのチョイスも正解。
(アイズレーとの曲は既発曲でなく、新曲が聴きたかったけど)

通常盤の11曲は全て外れ無し。とりあえず全部イイ!と断言しよう。
冒頭2曲でケムの世界に引き込まれると、一気に終盤まで持っていかれます。
後半の崩しが素晴らしい安定のケムの世界のタイトルナンバー②、
控えめな4つ打ちが低い高度でゲッダウンするスヌープとの共演③から
繊細なヴォーカルワークを見せ付ける⑤、新機軸の80年代のケム解釈⑥、
ロナルドを喰ってしまう競演曲⑦、ボウランドのギターと響きあう⑧、
針の穴を通すが如き⑨、一番ライブの姿に近い気がする⑩、
アコギとのアウトロ⑪まで、一貫性を持たせつつ、飽きさせないテクニシャンぶり。
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ちなみに私はボーナストラック2曲が入った拡大版を買ったのですが、
2曲のうち1曲、“Moments”はスムーズなグルーヴものでまあまあですが、
もう1曲のL'Reneeの紹介曲は要らないですね。
一番出来が良くなく、これは入れないほうが良かったと思うよ。
ということで、コアなリスナー以外は通常版で十分かな。
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それにしても、もう一回生で見たいね、ケム。
音源で聴いてももちろん良さは分かるけど、
生で見るとそのヴォーカル表現の素晴らしさや深さが分かりやすいし、
ドラムのロン・オーティスとの煽り煽られのガチンコ勝負が凄いのでね。
アメリカではスタジアム級の人だけに、残念ながら集客が望めない日本では
やっぱり難しいのかな。うーむ。アメリカまで行くしかないのでしょうか?
とはいえ、本国だと、大きなオバ様方が大合唱する中で観ることになるわけで、
それはそれで凄い体験になりそうですね。
ま、そんなおカネ、どこにもないんですけどね。
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海の向こうではやっぱり凄い!
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ブルボード、アルバムチャート初登場3位、シングルはR&Bの方では当然1位キープ。
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by zhimuqing | 2014-09-02 22:28 | Funkentelechy | Comments(2)
Commented by hide at 2014-09-05 02:15 x
作品として完成されてるアルバムに売らんが為にイボのようについてるボートラ。ワタシもデラックスエディションを買ったクチですが。もう来日はないでしょうね?レディシとかもビッグになってご無沙汰だし。
Commented by zhimuqing at 2014-09-05 13:08
>> hide兄さま

ボートラ疣説はなるほど!って感じですね。
どうしても買ってしまうのですが、ライブバージョンとかだったらともかく、
基本的には邪魔なものがやっぱり多いです。
うーむ。

ケムはでもビッグになった後に来ているので、
可能性あるんじゃないかなと思ったりもしています。
バンドメンバーのリズム隊はアール・クルーのバンドも兼ねているので、
前回同様、その辺に絡ませることが出来れば!と思うんですよね。
でも、集客厳しかったみたいだし、やっぱり無理なのかなぁ。
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