プリマクさんより、ボビー・ウーマックが亡くなったとの悲しい話が。
ロジャー、JB、シャイダー、そしてウーマック、
何故か悲しい話を私に教えてくれることが多いな。
ウーマックはまずはそのソロアルバム群の素晴らしさが特筆もの。
最近のものにはさすがに一時の凄味こそ薄くなってしまっていたけど、
60年代後期から80年代半ばまでのアルバムは基本どれも最高と呼べるものだ。
もちろん他のソウルの巨人に比べると、歌唱にガサツな部分はあるかもしれないが、
その部分さえも一人のソウルマンとしての生々しい感情が表れているからこそ、
聴く者の心を揺さぶることが出来る、そういうものだったと思う。
意外に軽んじられることが多い歌だけれども、
例えばアリオリ、ジェラルド・アルストン(オールストン)、ドラマティックスのウィージー、
ジョデシのケイシー・ヘイリー、このあたりの歌手が好んでウーマックの曲を
取り上げたのを考えると、歌詞を叩き込むフレージングともども、
まずは歌手ウーマックの素晴らしさについて、改めて力説しておかなければ。
更に、曲作りの巧みさ。どのアルバムにも必ず聴き手を捩じらせるような
ものすごくよく出来た曲が必ず入っている。
曲を一つ一つは上げない(上げきれないので)が、必殺のコード進行とか
メロウなのにビターな味わい、いや逆だな、苦いのに甘みを感じさせるメロディー。
コンポーザーとしての才能も相当なものだ。
他人によるカバー曲集は多分出ていないけど、一度誰かが作ってみると、
サム・ディーズ級であることが絶対にわかるはず。
(ディーズより上と断言したい気持ちもある)
メロ作りの才能が抜群なので、1曲に無駄な部分をあまり詰め込まず、
そのため、ブレイクビーツ的な抜きドコロが少ないのが、
90年代以降もう一つ盛り上がらない部分だと言われるが、
はっきり言いますと、抜けるところはいっぱいあるはずだぞ!
それはさておき、さらに素晴らしいのがギタリストとしての腕前。
例えば、ピケットの"Sound of Wison Pickett"、アリサの"Lady Soul"、
ここで聞ける素晴らしいギター、まったくどうだ!
スライの"暴動"でのギターだって、ウーマックが弾いている。
(どこまでがウーマックかはわからないけど)
いずれもそれぞれの最高傑作もしくはそれに準じるアルバム!
若い頃にJBにスティックで頭を叩かれながらしごかれた経験があるだけのことはある。
ちなみにサム・クックの"Harlem Square Live"にも参加しているとの噂もあるが、
あれはデュプリー!!ともう一人も別の人らしいです。少し残念!
で、最後はやっぱりコラボレイターとしての力量。
この人はややこしい人をうまく扱える人。
ピケット、スライ、アリサ、ジャニス、この辺の人とコラボした(面倒を見た)だけで、
もう聖人の域に達していると言って間違いない。(特にピケットとスライ)
もちろん、パティ・ラベールなんかとの共同作業も素晴らしいの一言だし、
ガザール・サボとのブリージンだって最高だし。
ピケットとの伝説のセッション!
ということで、数年前に来日した時にかなり体調が悪いと聞いていたのだが、
何とも残念なことです。
本当に巨星墜ちる、といった感じですね。
ソウルの歴史の偉大な生き証人がこれでまた一人。大変さびしいですね。
月並みですが、ご冥福をお祈りすると同時に感謝の言葉しかありません。
ありがとうございました!