バチストさん、お呼びですか?

春先にStrutレーベルから出たオムニバス盤"Haiti Direct"は、
ハイチの70年代の音源をまとめたもので、なかなかの内容だと評判なのですね。
私は資金不足?で買いそびれていたので、某所に探しに行ったのですが、
ミニ・オール・スターズの最高傑作の呼び声高い3作目"Pure Gold"の中古CDを発見。
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二昔前にPヴァインが熱心にヘイシャンものをリリースしていた時期があり、
間違いなく収支は赤だったと思うのだが、ミニ・オール・スターズだけでなく、
タブーコンボとかその辺のレコードが軒並みCD化されていた時期があったのですね。
思えばとても素晴らしい時代だ。

で、ブームが落ち着いた後、ハイチものは中古屋に捨て値で転がっていたのだが、
そうなると、いつでも買えるわい!と、どうしても放置してしまうのが人の性、
結局7作目と8作目を2in1にした“南京豆売り”を買っただけで、
気がつけばあまり見かけなくなってしまっていたのだ。
(“南京豆売り”が相当良い出来なので、そこで満足したということもあったと思う。)
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思えば、このCDを購入したのは就職活動で大阪に面接に行った時だったな、と
遠い目になってしまう私。
場所はミナミの電気街のJoshinの中のCD屋だったはず。

ミニ・オール・スターズはミニ・レコードに所属しているミュージシャンから
精鋭を選りすぐったオールスターもので、まあファニアに習ったものでしょうが、
さすがに精鋭部隊だけに演奏もキレキレで、しかも優雅というか優美というか、
よく聴く込むと、しぶとくもあるのだけど、軽やかで、大変美しいものですね。
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オールスターズというだけあり、味わい深いルックスがずらり。

大昔に買った“南京豆売り”も優雅で気持ちよいのだけど、
“ピュア・ゴールド”のほうがサルサ等の他の地域の直接的な影響が少なく、
テンポもミディアムに統一されていて、夢見心地でふわふわと体が勝手に動きます。
ハイチといえばヴードゥーの本場なわけですが、この音楽をかけられると
ゾンビも命じられるがままに動いてしまうだろうし、
もしかしたら、ああ見えてゾンビも内面はこういう多幸感に溢れているのかも。

このアルバムはCDだと2枚組みですがLPだと3枚組の大作で、
ヌムール・ジャン・バチストに捧げたものだそうですが、
ハイチについて全く詳しくないので、バチストの偉業についても、
自分としてのコメントも出来ないわけですが、
モダンなハイチ音楽の基礎を作った人だそうですね。
言ってみると、エリントンとJBを合体させたような感じなのかな?

なんといっても、アコーディオンの効き具合が最高です。
輪郭がぼんやりしていて、音がパツーンと頭から出てこない音が
じつにまろやかで気持ちよい。(気持ちよいという語彙しかでない私)
ヴィンテージなクンビアやブラジル北東部の音楽、アメリカ南部のザディコといい、
汎カリブ海の黒い音楽の根っこにはアコーディオンが大きく関係してそうで、
この辺りは私が知らないだけで、多分色々研究している人もいそうだな。

ホーンセクションはフレーズが実に練り込まれていて、
その構成を追っているだけで良い気分になるのだけど、
なんといっても、色気がこぼれおちるサックスが凄い。
メロウに迫るのだけど、ギリギリのところで踏みとどまるのは
フランス語圏だからなのかどうかは、よく分かりませんが。

ギターは前面に出てこないけど、2本の絡みが見事。
片っ方は単音ピッキング等、クールにリズムを刻み、
もう片っ方はピャラリピャラリと煌びやかな反復フレーズで攻めると思わせといて、
アコーディオンに鋭く反応してみたり。
音像の中で結構キモになっていると思いますね。
アフロの含有濃度を濃くしているという意味でもね。
カッティングのキレにアフリカ70を思い出したり、ナイル・ロジャースを思い出したり、
JBの偉大さを思い出したり、アルセニオまで思いを馳せたり。

ベースはシンプルな四分音符系ながら、音価の取り方に
実は結構レゲエと相似する成分も聴きとれる。
もっとも、カリプソだってジャメイカ音楽と関係が深いのだし、
81年という時点ではレゲエが世界を席巻した後だし、
なによりハイチとジャメイカは距離的にも近いし、相互に影響を与えているのは
ごくごく自然なことですしね。
(ミニ・レコード自体とメンバーはNYメインなんですけどね)

ということで、当然のことながらまだ完全には消化出来ていないのだが、
このCDを入手したのが19日、西半球では18日になるのですが
なんとバチストさんの29回目の命日だったということで、
これはもう偶然の出来事ではないでしょう?
ヌムールとヴードゥー(ヴドゥン)の神々が呼んでいるとしか思えない。
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よく考えると、仕事の時はゾンビみたいな状態が常態とも言えるし。
ヌムールだのドゥルゾーだのウェベールだのハイチ人の名前は
大変覚えにくいけど、この状態だとなんとか脳みそも
何とかついてきてくれるような気もするしね。
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by zhimuqing | 2014-05-21 21:28 | Rumba DE Manbo! | Comments(0)
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