これもなかなか素晴らしい!

世間にやや遅れてシェウン・クティの話題(ですよね)の新作を入手。
早めに注文したはずなのですが、我が家になかなか届かなかったのです。
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評判だった前作≪From Africa With Fury: Rise≫、
そして個人的にはそのアルバムよりもずっと印象深かった来日公演、
そういうモロモロから受ける期待が膨らむ中での新作。
しかも、今まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのロバート・グラスパーが
全曲キーボードで参加しているだけでなく、シェウン・クティと一緒に
プロデュースも手がけるとなると、話題になって当然ですね。
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ということで、冒頭から高速アフロビート2曲続きますね。
アフロビートはテムポが早いと、ドラムの旨みが出にくいと思うのだけど、
そこはベースとのテンションの高さ、そしてシェウンの若さでカバー。
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オープニングの“I.M.F.” はあの世界機関に対する意見表明。
いいですね、この姿勢とネタ?選び。まさにおっしゃるとおりです。
誰もがフェラの名曲I.T.T.を思い出すと思いますが、
フェラが残した全曲の中でも個人的にベスト3に入るあの曲とは
流石に比べてしまうのは分が悪いのだけれど、
敷き詰められたホーンのリフ、インタナシオナル・マザファッカというキャッチーなコーラス、
途中から飛び出すデッド・プレズのラップ、最後のパートになった時の緊張感、
最後の親指ピアノみたいなキーボード、山あり谷ありの展開で盛り上げますね。
脂肪燃焼に大変効果がありそうですね、はい。
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続く“African Airways”も寄せ木細工のように緻密に構築されたホーン、
ズバンと縦に切り裂くドラム、と圧倒的な演奏力を見せ付ける。
一時期のスライ・ロビーを思い出すベースは聴いていると真似したくなりますが、
シンプルなフレーズだけど、このノリを出すのはとても難しいです。(少なくとも私にはね)
リズムの緩急がいい具合に効いていて、中盤のリズムの刻みが細かくなるブレイクから、
ラストに向かって疾走する流れがいいですね。
これも脂肪燃焼系ですな。

でも個人的には、もう少しテンポを落とした“Higher Consciousness”なんかのほうが
やはり盛り上がりますかね。今のところ、私のベスト・トラックです、はい。
リズム隊のフレーズの組み合わせ、特にギターの単音カッティングの効き方が良く、
ドラム・パターンの旨み成分もぐんぐん湧き出してくる感じ。
やはりこういうテンポの方が旨みの抽出がうまく出来るのかな、と。
シュウンの歌が出てくるまでの長さもいいし、その野性味溢れるシェウンと
クールなんだけどキュートなコーラスとの対比も効いているし。
あのダンサー二人のお姿を思い出すと同時に、ダンサーが踊りだすと、
一斉にカメラマンのレンズが主役そっちのけでダンサーを向いていたのを思い出すな。
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4曲目は異色のアフロ・ポップ、ギターが親指ピアノ的なニュアンスを出していて、
まあ、それはアフリカ全域のポップな音楽に共通するのだと思うのだけど、
厚いブラスセクションでのリフにはローランド・カークの名盤Slightly Latinや
フィッシュボーン、それに渋さ知らズなんかを思い出します。
ただ、別に箸休め的なトラックという感じではなく、これはこれでポップなイイ曲。
今後ともこういう曲は1曲、必ず入れておいてほしいものです。
ラスト近くのグラスパーとドラムのキメ?も楽しい。

テンポは速めだが、慌しさを少し控えめにした“Kalakuta Boy”も目玉の一曲。
ベースのフレーズがフェラの名曲“I No Get Eye for Back”に少し似ているけど、
これは全般的に言えることだけど、よりレゲエを通過したタイム感だと思いますね。
ギターの単音ピッキングのフレーズは今のところ、この曲が一番好きなかも。
ホーンの処理がややダブっぽくもあり、特にホーンのソロを回す時のブレイク、
途中でのドラムのパターンが変化して、重心を後ろに持ってくる場面、
その後一気に全体を畳み込んできたり、コーラスに引っ張らせてみたり、
最後にはふわふわと煙るようなグラスパーの鍵盤で締めてみたりと
全編に亘る細かい心配り、おもてなしに聴いている私は燃えてしまうのだ。
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ブリッツ・ヂ・アンバサダーのMCからスタートする“African Smoke”、これも名曲。
これまたリズムのパターンは70年代後半のフェラ・クティっぽくて、
それだけでも、いとも簡単に私はノックアウトされてしまうのだ。
シェウンが男前に炸裂するが、どちらかというと鈍器で殴りかかるような男前、
後半にも登場するブリッツ・ヂ・アンバサダーは喉の奥まで響かせるような
ヒップホップの正統派の男前な感じで、その対比が楽しい。
ドラム・パターンはこれが一番好きかな。
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ブリッツ・ヂ・アンバサダーは最新作も大いに期待されているが、
チャックD、キザイア、バロジ、レ・ヌビアンが参加した12年作のアルバム、
今回一緒に入手したので、近々紹介する予定。

ラストの“Black Woman”は多分一番、グラスパー色が強いかな。
フェラ・クティのアルバムでもよくB面に入っているようなテンポを落とした曲。
ヴァイブラフォンもいい感じですね。ロイ・エアーズを引き合いに出すまでもなく、
アフロビートと蕩けるようなヴァイブの音は本当に相性が良い。

今回の目玉であるロバート・グラスパーは予想以上に前面に出てくることはないが、
よくよく聴きこんでいくと、結構効果を発揮している瞬間があって、油断できない。
全般的に曲の後半というかクロージングで目立つ場面が多いのだけど、
その辺もグラスパーらしいかも。
人を押しのけて前面に飛び出してくるタイプではなく、
雹をバラバラと空から散らしてみたり、煙のようにふわふわ漂ってみたりというのが
この人の面白みを感じさせる部分だと思っているのでね。
優れたプロデュースぶりだと思うのですが、いかがでしょう?

ドラムは今様のアフロビートに共通する、どちらかというとスネアでの叩き込みが中心で
この辺はヒップホップのメインストリームにもどこか通じるものがあると感じさせるもの。
バスドラとハイハットとスネアの三位一体のトリッキーなフレージングが前面に出る、
トニー・アレンの様なスタイルが少し懐かしくもあるのだけど、
勢いとか殺気とかそういう強度を増して行く方向を考えると、
こういうスタイルでもそれはそれで良いのだと思う。

ブライアン・イーノが手掛けた前作よりも音がツルツルしていないのも
個人的にはポイント高いところ。
でも、やっぱりまだクリアー過ぎるかな。
もっともっとザラザラ、ヒリヒリした音(ドクター・ジョンの近作のように)に
仕上げてもらえるともっといいのですけどね。

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生真面目な印象が抜けない(それはそれでいいのだけど)長男フェミに比べると、
末弟シェウンには、人工的に鍛えたのではない野性的な筋力を感じるし、
他のアフロビートやってるバンドに比べると、そこが大きな魅力になっているのだけど、
偉大な親父に比べると、殺気がかけるのは致し方ないところではありますね。
ステージで観たシェウンも人が良さそうだったしね。
でも、フェラ・クティを完全にコピーしてもあまり意味があるとも思えないし、
この調子で突き進めばよいと思うのだ。
ということで、今年度ベスト10いや、ベスト5には間違いなく入る作品。
この勢いでガシガシ突き進んで、親父と肩を並べる音楽を作ってほしいものですね。
仲間は世界中にいるのだし。
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やはり、それでも私が見習いたいのは、このペイントだな、やっぱり。
形から入るタイプなのかもしれない。
と思っていると、我が家でこんなことが発生。
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うーむ。やるな、お前。先を越されてしまった感が。
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おまえ、それではリル・ウェインだぞ!
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by zhimuqing | 2014-03-30 15:34 | Funkentelechy | Comments(2)
Commented at 2014-03-30 16:59 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by zhimuqing at 2014-03-31 00:59
>> 両子寺鶉雛さま

隔世遺伝でメーター振り切ってしまわないことを祈る今日この頃です。
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