人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ようやく発見

先日新宿でライブをやった時のリハと本番の合間に
遂に某店で発見しましたよ。
Ras Micheal & The Sons Of Negus の≪Love Thy Neighbor≫。
ようやく発見_e0147206_184925.jpg
廃盤になって久しく、なかなか見つけられなかったアルバムなので、
正直かなりうれしいのだ。
ラス・マイケルはナイヤビンギの大御所ですが、
81年に発売されたこのアルバムは、録音自体は78年頃、
リー・ペリーとのコラボレーションで製作されたもの。
78年頃といえば、ブラックアークが焼失する直前、
つまりリー・ペリーが奇行に走り始めた直後な訳で、
アップセッターがクリエイターとして最後の輝きを見せていた、
もしかすると最後のアルバムなのかも。

ナイヤビンギのチャントとパーカッションにペリー師匠のダブが施される、
となると、宇宙とか古代とかそういう世界が展開されるのは、
誰が考えても自明の理で、期待がビッグバンのように膨らむのですが、
そういう期待をまったく裏切らない名作ですね、やっぱり。
ようやく発見_e0147206_1155940.jpg
ラス・マイケル近影。カッコいい!

ブラックアークでのペリーを時系列的に色々聴いてみると、
ナイヤビンギの影響が少しずつ強くなっていく感じもあるのですが、
そういう流れがブラックアーク終焉のぎりぎりになって
最終形態に行き着いたと考えてもいいのでしょうね。

冒頭こそ、比較的オーソドックスなミックスなのですが、
曲が進むにつれ、ペリー師匠の暴力的なダブの濃度が凝縮され、
コンゴスなんかでよく使われる、あのモーという牛の声の真似なんかも
ここではひずみまくって、牛というより海洋性の恐竜のような感じになっている。

メンバーのクレジットはブラックアーク関係ではなじみのない人が多いが、
なかではハックス・ブラウンのギターがかなり印象に残ります。
妙なフレーズが染み出すように湧き出している上、
ペリー先生がその上からバイフェイズとテープエコーをかけるので、
これまたアロマノカリスの触手のような状態になっていて、大変刺激的。
ちなみにエフェクトはナイヤビンギのパーカッションにもガッツリかかっている上、
随所に音程が合っているのか合っていないのか、もう一つ不明瞭な、
しかしかっこいいファルセットがこっそり差し込まれていて、これもまたイイ!

徐々にオーソドックスなナイヤビンギが崩されていきますが、
最終的に童謡の≪ロンドン橋≫に至る頃には、
音像どころか視野も歪むほどのギチギチに凝縮された漆黒の空間になっており、
ロンドン橋も大崩落してしまうわけですが、逆にこれはバビロンが崩れ落ちて、
ラスタが解放されるというイメージなのかもしれないですね。
そう考えると、グルングルンなのに、ぬるめのお風呂に半身浴しているような
心身ともにリラックスしてしまう感じがよく理解できるような気がしてくるのですが、
まあ、それは考えすぎなのでしょう。

ということで、ダブとナイヤビンギのピークへの到達点の一つとして、
まあ、お好きな人には絶対の自信を持ってお勧めできる名作。
しかし駄目な人にはこの良さがひとかけらも分かってもらえなさそうという事でも
自信が持てる一品でもあるかもしれませんね。
でも、多分子供にはOKです。我が家のムスメのいいね、これ!等と
したり顔でのたまっていますからね。
(たぶん、単にロンドン橋の歌を知っているだけの理由だと思うけど)
でも、もう少し入手しやすくなってもらってたほうがいいんですけどね。
ようやく発見_e0147206_110834.jpg
ラス・マイケルは実は名盤が多いらしい。
別名義DADAWAHでのこのアルバムもなかなか凄いと評判だが、まだ未聴。
しかし来月日本盤で再発されるとの由。
ようやく発見_e0147206_11747.jpg
一番有名なこのアルバムはもちろん持っている。
大学の時、友達の車でかけたら、みんなからブーイングを浴びた思い出の一枚。
おまえら、みんなバビロンの奴隷だ。
by zhimuqing | 2014-03-28 01:12 | Open the gate | Comments(0)
<< これもなかなか素晴らしい! 初めて見た。 >>