サダアアアン!

ジャズからR&Bに拡張してきている近年のロバート・グラスパー。
最新作ではあまりのゲストの多さに、目指せ!クインシーになりたいのか?と
思っていたのだが、自分の音を作りこんで、その上でゲストに歌わせるというのは、
クインシーというよりもエムトゥーメイに近いのかな?と。

過去にやっていた演奏よりも刺激が少なめで、奔放に逸脱することがなくて、
スタイリッシュに磨かれた都会的な音作りも似ているし、
それでいて細部にはおぉっと思わせる仕掛けも隠しているところも
結構共通するように思いますね。

ということで、エムトゥーメイ印のR&B、ソウル系、
一時期はあまりしっくり来なかった(音質的に)のだけど、
今、流行のブギー・ファンク(あぁ、デイム・ファンク様!)とか
一昨年末にまとめてブートを堪能したプリンスなんかで、
私の耳もずいぶんこの辺の音に調教されたので、
今ではCDの棚から色々取り出しては聴いているのですが、
やはりエムトゥーメイ(とレジー・ルーカス)の中では、
ダントツで一番かっこいいのはマーク・サダーンの1stかな、と。
e0147206_9582832.jpg
81年作だけに、リズム・セクションはほとんど生音だけど、
腕利きで名高いエムトゥーメイ一派の演奏だけに、猛烈にタイト。
この音をバンドで再現してみたいとは思わないけど、
いずれにしても私の腕前では不可能でしょうね。
まぁ、それはどうでもいいことですけど。
(ちなみに、この手の曲はドラムが超絶に難しいと思うのだ)

でも、やはりポイントは主役のサダーンの歌ですね。
大きな間合いを感じさせる、余裕のある歌いっぷりだけど、
しなやかで伸びやかな筋肉質な歌いまわしなので、
テディ・ペンみたいに大味にならないのが良い。
e0147206_1025112.jpg
あと、エッジが効いて少しだけざらつく声の質感が
この後の時代のブラコン全盛期の人とは違う風味を感じさせますね。
華麗なアリ・オリとはまた違う種類の色気だな。
鈴木啓志は解説でスティーブ・マンチャを思わせると書いているが、
マンチャよりもコーラス・グループ向きの個性だと思います。
60年代のデトロイトのソリッドな音に合わせて、
しっかりした男性コーラスを従えて歌う曲が聴いてみたかったな。

それはともかく、このファーストはやっぱり80年代屈指の名作でしょう。
抜群の制球力と男の余裕を見せるダンサーでの身のこなしもいいし、
フォー・トップスのあの曲のカバーもいいけど、
個人的にはやっぱりアルバム冒頭の絶品ミディアムに尽きる。
絶妙に抑制された音で魅せるソウルフルな歌が気持ちよすぎる。
欲を言えば、エムトゥーメイ2年後の大傑作Juicy Fruitのような
スロー・ジャムで歌うサダーンが聴いてみたかったけど、
あの音は80年、81年ではまだ出てきていないから、仕方がないです。
e0147206_1005018.jpg
ちなみに、この後82年にセカンドが出ているけど、
こちらも悪くはないけど、さすがにファーストには負けますね。
バーニー・ウォーレルとかアル・マッケイにマーカス・ミラーとか、
参加している面子はより豪華になっているのだけど。
e0147206_1031067.jpg
そんな素晴らしいマーク・サダーンだけど、どうやら全く売れなかった模様で、
音楽業界に見切りを付けて別の仕事についていたそうだが、
昨年イギリスで復活したということで、インディーとメジャーでの
音作りに差がなくなっている今こそ、ガシガシと活動してほしいものだ。
出来たらデイム・ファンクがグラディス・ナイトでやってくれたような音で
歌いまくってくれると、私も躍り上がって喜ぶのですけどね。
[PR]
by zhimuqing | 2014-02-03 23:28 | Funkentelechy | Comments(0)
<< やはり素晴らしい! これは名作!やはり名作! >>