大阪に出張していたのだが、途中で読もうと持っていった≪李鴎≫、
読むのはもう何回目か分からないが、 一旦読み始めるとストップするのが難しくなるのは、 何度読んでも変わらない。 しかも舞台が大阪なので、臨場感もばっちり。 仕事が溜まっているのに、失敗したなと思いつつ、 読み続けるというのも、また変わらない光景?ですね。 久しぶりに読んでみると、李歐と同時に拳銃に見せられる一彰の描写、 高村薫ならではの陰影で、一旦味わうともう逃れられない凄さですね。 もともと≪わが手に拳銃を≫というタイトルだったこの本だが、 そのタイトルを付けたくなる気持ちもよく分かる というか、改題前のオリジナル・バージョンも 一回きちんと読んでみないといかんな。 古本屋に探しにいこう! 拳銃の精密機械ならではの滑らかに削られた金属に 冷ややかに興奮する一彰の姿はある種の黒い音楽に興奮させられる気持ちにも 共通する何かが隠れているような気がする。 たとえば、ナット・キング・コールなんかがそうで、 あの笑顔と艶やかな節回しの下に巧みに隠されていそうな何か、とか、 ああいうものに惹かれる気持ちに近いような、と言うと やや強引すぎるかもしれないけど。 (まあ、ナット・キング・コールはよく見ると冷ややかな目をしてるからね) 滑らかな殺気を放つグレゴリー・アイザックスとか デビュー当時のスヌープの冷めた目だったり、 もちろん高村薫と読むと必ず思い出す、甘い毒を含むカエターノの声なんかも そういう魅力に溢れているなぁと思うのですね。 あとは、ロシアン・ルーレットで死んだジョニー・エイスなんかも、 そんな口ですね。 しかも時代がR&Bのころなんで、もう一つ私の周りでも知名度が低いのだが、 この人の歌もまた素晴らしい魅力に満ち溢れていますね。 いろいろな音源をまとめていて、大変便利な上、中身も素晴らしく、 リイッシューの鏡といえるブツなのですが、こういう秋の時期には いつもよりも更に魅力が増すというものです。 こぶしを利かせまくるわけではなく、むしろ淡々とした歌い口。 抑制が効いた丁寧な歌唱は流麗だが弾き過ぎないピアノと合わせて、 なんともいえない温かみが溢れて来ます。 でも、その奥には隠れた殺気の気配が漂っており、 そういう塩梅が聞けば聞くほど病み付きになってしまうのですね。 ジョニー・エイスは元々メンフィスのバンド、ビール・ストライターズの メンバーだったそうだが、このバンドが黒人史上有数の凄いメンツが 揃っていたのですね。 時期は様々だとはいえ、ジョニー・エイスにBBキング!!、 ボビー・ブランド!!!、ロスコー・ゴードン、ジュニア・パーカー。 アイク・ターナーなんかも関係していたみたいだし、 メンツの豪華さでいえば、うーんどうでしょう? ピケットとエディ・フロイドとジョー・スタブスがいたファルコンズとか デイヴィッド・ラフィンとメルヴィン・デイヴィスとマンチャが絡んだ デトロイトのジェイウォーカーズとか、その辺を凌駕する勢いだな。 あえていうと、ソウル・スターラーズぐらいかな? で、このアルバムにはそのビール・ストリーターズとの録音もあるけど、 残念ながらBBとかの参加はなかった模様だけど、いなたくて大変味わい深い。 でも、目玉はそちらでは無くて、ジョニー・オーティスが関係した曲の方かな。 全20曲中の9曲だけど、ジョニー・オーティスのヴァイブが効いていて、 ヴァイブの音が入っているだけで嬉しくなる私は パブロフの犬的に反応してしまいます、はい。 ビッグ・ママ・ソーントンとのデュエットも面白い! それにしてもエイスが亡くなったのが僅か21歳の時なのだけど、 この老成したような味わいは一体どういうことなんでしょうね? さらに成長を重ねて、ソウルの時代に突入したら、 一体どういう歌を聴かせたのか?色々妄想するときりがないのだが、 そういう意味でも浪漫溢れるというか、妖しい魅力に溢れるというか、 どこまでも味わい深いシンガーなのでありますね。 さて、もう一回聴こうではないか!
by zhimuqing
| 2013-11-09 00:28
| Blues 4 Terapin
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Comments(4)
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hide
at 2013-11-09 09:28
x
ワタシも大阪行ってましたよ(笑)joeを観に。そこでkem公演で相席したお姐さんに見つかりビックリ!聞けば、お友達と2ステージみて東京公演にも行くとの事。気合い入ってます。…目が笑ってないって言われた事あります(>_<)と言う事は、キングコール、スヌープと同類ですね?嬉しいです!
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zhimuqing at 2013-11-09 23:13
>> hide兄さん
My Man! こんばんわ! さすがにこの時期になると、大阪も暑くはないですね。 それにしても、店員さんだけでなく、お客さんまで顔を覚えられているとは流石です! それにしてもコメントの難しいコメントありがとうございます。 兄さんの目が笑っていないとは全く思わなかったですが、 ナッキンコールとスヌープと同化したいお気持ちも 実によく分かるので、無碍に否定できないし、 でも否定しないと、目が笑っていないと言っているみたいだし・・・。 うーむ、流石の手練です、はい。
はじめまして。
B.B.キングの訃報に接し、拙ブログで取り上げようと、ビール・ストリーターズを検索していて貴ブログに辿り着きました。 ジョニー・エイスは、初めて聴いて以来30年以上になりますが、私にとって永遠のシンガーであります。 オンナの私からすると、ジョニー・エイスの魅力は、若造で歌が下手なくせにやたらに深い…年齢不相応な包容力に富んでいるというところです。 人によっていろんな見方ができるものですね。 あと僭越ながら、ジョニー・エイスは1954年のクリスマス・イヴに25歳で事故死しています。 いずれにせよ若すぎる死であったことに変わりはありません。
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zhimuqing at 2015-05-15 22:52
>> 第四玉手箱姐さま
はじめまして! BBの訃報を聞いて、一気にズドーンと落ちているのですが、 気を取り直して、ブログ拝見いたしました。 いやあ、これまた濃厚なブログですね。面白いです。 私の不案内なところが一杯書かれていて、これは読むのが楽しみです! というか、ファッツ・ドミノ、まだ生きていたということを知って、 なんだか得した気分になっております。 ということで、今日はBBに浸りますので、また後ほど。
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