溢れ出る勢い

e0147206_215680.jpg
ということで、興奮冷めやらぬ≪THE ELECTRIC LADY≫ですね。
前作よりもぐっとソウル・ファンクに寄せてきていて、
私としてはもう絶賛しかない訳ですが、とりあえず1曲毎の感想も
やはりきちんと書いておきたい、ということで。

M1:Suite IV Electric Overture
モリコーネには明るくないが、エリントンのジャングル・サウンドの空気感を
たしかに感じさせる素晴らしい導入部。
このオープニングで私は傑作を確信した!と言い切ってみたい。

M2:Givin Em What They Love (feat. Prince)
殿下との共闘。ファンカティアー道の伝承ですね。
プリンスが長年やりたかったことはこういう音なのではないか?
歌もギターも往年の生気に溢れていて、小躍りしてしまう。
モネイの濁った歌がまた良い。また共演してほしいなぁ。

M3: Q.U.E.E.N. (feat. Erykah Badu)
ギターやシンセのギラギラしたリフやオブリは昔のプリンス風、
だけど実際にどの曲かというと当てはまる曲はないという、
殿下のエッセンスを上手く抽出して、アンドロイド化した曲。
シングルとしてリリースされた時はバドゥが弱々しい気がしていたが、
これはこれでメリハリが効いていてカッコいいことが良く分かった。
歌は割と王道なソウルな歌唱。
ラップはやや単調だが、むしろその直球ぶりと力強さを買いたい。
ちなみにラップパートでのバックのストリングスのフレーズに
エクトル・ラボーのエル・カンタンテを思い出した私。

M4: Electric Lady (feat. Solange)
ずっと前のステージで披露された時はあまりにシンプルかつポップなので、
首を少し捻ったのだが、随所に細かくハンドクラップやタムを噛ませて、
コーラスの散りばめ方もたくみで、随分印象が変わった曲。
姉とは全く違う道を歩もうとしている姿が大変好ましいソランジュの姿は
多分バックコーラスに隠れているのだろうが、シングルかなんかで
そのお姿も拝みたいものだ。
ラストのアォアォ叫ぶアンドレみたいな人はローマンなのかな?

M5:Good Morning Midnight (Interlude)
このDJ Crash Crashなる人の喋っている内容はアルバムのコンセプトに
大きく関係しているだろうから、細かく和訳を読んでみたいものだ。

e0147206_22186.jpg
M6:Primetime (feat. Miguel)
これは名曲ですね。
モネイの柔らかく瑞々しい色気が全開!大歓迎です。
ミゲルは個人的にノーマークだったのだが、モネイを上手く惹きたてていて、
Summerbreeze1さんの言う「モネイのもてなし方」をよく理解している。
あんた、合格だ!
ギターソロの音色とフレーズの入りとコード進行は完全に殿下印。
このケリンドゥのギターソロが随所で聞こえて来るのも
アルバムとしてポイントが高いところ。

M7.:We Were Rock & Roll
割とシンプルなロックなのだが、弾みまくるベースが凄い。
曲としては中級だと思うが、このベースとドラムを聴いていると、
そういうことはどうでもよくなる。
でも、正直一番弱い曲かな。

M8:The Chrome Shoppe (Interlude)
メラニーが好みなのだ!(なんとなく)
バウンシング・エレクトリック・ブーティー・コンテスト、
私も一緒に行きたいのだ。

e0147206_2215179.jpg
M9. Dance Apocalyptic
イントロのウクレレが耳を引くこの曲は、
うちのムスメのお気に入りの一曲でもあります。
ルー・リードがかつてアウトキャストのHey Ya!を評した言葉、
「完璧なロックンロール」という言葉をここで私も献上したい。
完璧なロックンロールにて、完璧なブラックミュージック。
マイケルのジェリー・クールにインスパイアーというのも頷ける話だ。
ドラムとベースのパターンは確かにボ・ディドリーのビートを
大幅にアップデートして発展させたものだが、相当新しい。
はつらつとしたモネイの歌の乗せ方も完璧。
シャウトすると声がほんのかすかにハスキーになるのがたまりません。

M10:Look Into My Eyes
琥珀色のモネイの必殺の声がここで披露される。
くつろいではいるが、決して甘ったるくはさせない、
きめ細やかで丁寧な歌唱。
そのままM11に繋がる。

e0147206_222773.jpg
M11:Suite V Electric Overture
この第5章の始まりは実に素晴らしい。
ゴージャスな音から一転して静謐で柔らかい音に繋がり、
その後の展開を猛烈に期待させる。
何回聴いても期待させられるのだ。

M12:It's Code
割と素直なポップなファンキーなナムバー。
すぱっとしたやや青臭くもある歌はバブルガム・ソウルのようだが、
例えばカット・クロースなんかの20年前のヴォーカルグループも
思い出すのは私だけ?
ネイト・ワンダー(ですよね)得意のコード展開やムーグのフレーズは
スティーヴィーもだが、70年代のマルコス・ヴァーリ何かも思い出すな、
ブレイクの後のクイーカ的なパーカションも含めて。
で、ナイヤビンギ的なパーカッションのアンサンブルが早くなって
次の山場へ差し掛かるのであります。

M13:Ghetto Woman
これはアルバム屈指の名曲ですね。文句なし。
Ⅰm7→Ⅱm7→Ⅲ♭m7→Ⅳm7と繋がる上昇するコードや
その後の半音階で攻めるコード使いはスティーヴィー直系だが、
それ以上にリズムのアレンジや展開がキレキレで息つく暇が無い。
2分23秒までの展開でも十分物凄いけど、
音を薄くして歌のグルーヴを変えつつ、ムーグがのたうち回った後に
ブレイクしてラップ→ホーンで乱入→再度ブレイク→ケリンドゥが爆発という
展開はもう最高だ!
ヴォーカルも投げ離したり、粘りを付けたりとアーティキュレーションを変え、
徐々にナスティ度を上げていく。
もう聴いている私はゲットウーマンの前でまな板の鯉です。
ちなみに新作が話題のトロンボーン・ショーティー、入ってます。

e0147206_2223315.jpg
M14. Our Favorite Fugitive (Interlude)
これも大事なスキットっぽい。
STPさんとSummerbreeze1さんの更なる研究を待ちましょう!

M15:Victory
コード進行がローリン・ヒルのあの名曲に近くて既聴感が強いのだが、
聞き進めるにつれ、モネイ色に染められてしまうという1曲。
歌いっぷりが実に気持ち良く、これまた好きな曲ですね。
思えば、モネイはローリン・ヒルの影響もかなり受けていそうですね。
名作2枚残した後、すっかり迷走気味のローリンだが、
まだまだいけるはずなので、モネイと共闘してほしいものだ。

M16:Can't Live Without Your Love
事、ここに至る頃には骨抜きにされている私を更にとろとろにする、
蜜の様なローマンのギターと夢見心地のコーラスワーク。
リードで無理に節を付けずに、曲調を上手く優先させているところが
やはり素晴らしいですね。幸せな気分満載です、はい。
後半の歌い込みに対応させるギターがまた凄い!

M17:Sally Ride
アメリカ初の女性宇宙飛行士サリー・ライドに捧げた曲。
ゲイとしても知られる人だけに、この曲こそは歌詞が必要だな。
まっすぐで毅然とした歌が素晴らしい。

e0147206_2245022.jpg
M18:Dorothy Dandridge Eyes (feat. Esperanza Spalding)
やはり今日の時点でもこの曲がベストであることは変わりない。
I Can’t Help Itに似たメロディとコード進行と音色だが、
リズムとベースフレーズに乗せる歌のグルーヴも当時のマイケルみたい。
モネイとエスペランサの歌へのアプローチの違いによって、
味わい深さが大幅に増している。
しなやかな瞬発力と柔軟な機動力のモネイに対して、
リズムの隙間を縫うように歌うエスペランサ。
バックの音の抜き差しも最高で、全てにおいて絶妙な奇跡的なバランス。
スキャットのパートから歌に入るところ、その歌を支えるコーラスもいいが、
ギターソロの終わりに入るコーラスの美しさも特筆ものだ。

M19:What An Experience
もうラストに至るころには完全に出来上がっているのです。
素晴らしいアルバムの流れの最後に行きつくのはこの曲しかないな。
ジャメイカとブラジルにインスパイアと書いているだけあって、
前半のフワフワしたコーラスの雲の中から陽が射すように
途中からレゲエ風味のリズムになるが、そのリズムもやがて歌が包み込む、
実に素晴らしいエンディングだ。
困ったことは、またリピートしてしまうところなのだな。

e0147206_222568.jpg
ということで、やはり何度聴いても名盤。
個人的には前作を完全に凌ぐと思うし、今年度屈指のアルバムでしょう。
モネイの歌と世界観も完璧(歌詞を読んでいないが)。
もちろんディアンジェロのVoodooやエリカ・バドゥのMama's Gun、
アウトキャストのStankonia級にはまだ到達してはいないけど、
その辺は今後への期待として取っておこうではないか?

日本盤が一体どういう形で出るのか、楽しみにしたいところだが、
この辺は心配しなくてもSTPさんやSummerbreeze1さんが
しっかりとフォローしてくれることでしょう。(何という他力本願!)
やはり個人的には、ネイト・ワンダー(ワンダーはスティーヴィーの真似?)と
ローマンなんかの詳しいインタビューが読んでみたいなぁ。
後は日本盤が出るということで、やはり来日に期待したいところです。
想像しただけで興奮して鼻血が出そうだが。
[PR]
by zhimuqing | 2013-09-18 00:28 | Funkentelechy | Comments(0)
<< もう少しコクが欲しかったか? またもやカバンに詰められる >>