「くろすけ」にやられまくる

宮部みゆきの『あんじゅう』を読みましたよ。
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『おそろし』は江戸の怪談ものをベースに短編を最後にうまく積み上げて、
最後にスティーヴン・キングのような大団円に持っていく、
宮部みゆきならではの緻密な構成力と力技に圧倒される1冊だったのだが、
この三島屋変調百物語シリーズの第二弾は、短編を集めた構成となっているので、
『おそろし』のようにうねるような読後感というかカタルシスは得られない。

とはいえ、では『あんじゅう』が面白くないかといえば、
そんなことはない、というか、これが大変面白いのだ。

短編としては4話入っているのだが、いずれも長編に立て直しても
名作になりそうな旨みがタップリ詰まった話。
どれも宮部みゆきの想像力の素晴らしさがたんまりと味わえる。
単なる怪奇話ではなく、人の情や業が凝縮して怪奇に変わっていく、
その掘り下げ方が凄い。
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『あんじゅう』に入っている4本はどの角度から見ても素晴らしいが、
なかでも「暗獣」、これはもうたまらん。
この世のものではない「くろすけ」と武家の老夫婦との交流は
心の深いところまで染み渡り、読み終わって何日経っても、
ジンジン来てしまう。
宮部みゆきはこれだから、安心できないのだ。困ったものだ。

残る3短編もいずれも良いが、個人的には「吠える仏」かな?
その後が気になるのは「逃げる水」。
どれも『おそろし』に比べると、話が解決しないままになるものが多く、
その辺、読む人によって好みは別れてしまうかもしれないが、
それは『語って語り捨て、聞いて聞き捨てが決まり』という、
百物語の本来の形に立ち戻ったというだけともいえる。

ということで、個人的には『おそろし』に軍配を上げたいが、
その差は微々たるものだな。
ATCQでの≪The Low End Theory≫と≪Midnight Marauders≫、
キャメオの≪キャメオシス≫と≪魔法の騎士≫ぐらいの差かな?
うーん、分かりにくい?

分かりやすく言い換えると、
ミーターズの≪Look-Ka Py Py≫と≪Struttin'≫、
コモンでいうと≪Be≫と≪Finding Forever≫、
エリック・ベネイだと≪Lost in Time≫と≪The One≫、
この辺の2枚のアルバム程の差は無いということですね。
うん、こっちの方が分かりやすいな。

ということで、文庫本になっていない第3弾『泣き童子』を
買うべきかどうか、大変迷っているところなのですね、はい。
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by zhimuqing | 2013-07-26 23:28 | La Sombra Del Viento | Comments(0)
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