マーヴィン・ジュニア

マーヴィン・ジュニアが星になった。
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1974年に発売された≪マイティー・マイティー・デルズ≫というアルバムは
アメリカ黒人音楽の果てしなく広く深く広がる宇宙の中でも
圧倒的に突出した輝きと力強さと優しさを持つ、物凄いアルバムだが、
その力強さと優しさと輝きと苦みと甘みとコクと悲しみと喜びの多くは
全盛期のバッファローマンより力強いマーヴィン・ジュニアの声があってこそ!
若きテディ・ペンはマーヴィン・ジュニアを目指していたことは有名だが、
チャート上での実績はともかく、残念ながらテディ・ペンですら超えることが出来なかった
あまりにも孤高にて究極の名峰だったのだなぁ。
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デルズはバラードのイメージが強いような気がするが、
ファンキーなリズムでのノリも抜群。
テムプスやオージェイズのような華麗でお洒落な身のこなしこそ見せないが、
重心低く、パワーとキレを併せ持つリズムへのアプローチは
全盛期のシャックのように圧倒的なのだ。
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それぞれの時代で名プロデューサーとがっぷり4つに組んだ仕事はどれも見事。
チャールズ・ステップニー、ボビー・ミラー、ドン・デイヴィス、ジョージ・クリントン、
ノーマン・ハリス、ロン・タイソン、カール・デイヴィス、ユージーン・レコードなどなど。
シカゴのグループだが、デトロイトでの録音しても、フィリー詣でしても、
Pファンクをバックにつけても、いつでも完璧だ。

初めて買ったデルズは91年に買ったマイティ・マイティ・デルズの再発盤。
あまりの濃厚な味わいに20年ちょっと前の私はむせかえったのだが、
おかげでこういう体質になってしまったのだ。
この時代のドン・デイヴィス製作のデルズ3枚は買い揃えることが出来たのだが、
その前にあたる60年代後半~72年ぐらいまでのカデットでの大名盤の数々が
放置されたまま今に至るというのは、世界中のレコード屋の完全なる怠慢だ。
唯一の例外は、バカラックナンバーを歌ったDusty Grooveからの再発ぐらいか?
この辺の音源は銀河系遺産に相当するレベルのものなのだから、
前から言っているように、一度ボックスとしてまとめて再発するべきだ。

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今のところ、後期を除くと、デルズは基本的に編集盤で味わうしかないのだが、
HIP-Oから出ている2枚組の≪Anthology≫は流石の編集。
ドゥワップから初期のシカゴ・ソウル、そしてソウル・コーラスの完成に至るまでの
数々の名曲がきっちりまとめられていて、大変素晴らしい。
吠えまくるマーヴィン、絹を切り裂くカーター、緩急自在で層の重なりが美しいコーラス、
多くのグループが目指しながら届かなかった理想郷がここにあるのだ。
ズシンとど真ん中に突っ込んで来るマーヴィン・ジュニアの声は本当に素晴らしい。

一つの時代の終わりなのかもしれないし、とても残念でならないのだが、
あれだけの熱量を持った魂がこのまま消えてしまうことはないはず。
世界のどこかにきっと宿っていると思うのだ。
その歌う姿を生で観ることは一度もできなかったが、たぶん大丈夫。
たぶんその遺伝子を持つ歌手がいつかみんなの前に現れて来ることでしょう。
ありがとう!
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by zhimuqing | 2013-05-30 22:28 | Make Me Wanna Holler | Comments(0)
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