ワサワサヌメヌメヘロヘロ!

遅ればせながら、ビラル(ビラール)の新作≪A Love Surreal≫を。
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前作は発表されたのが2010年なので、はや3年も経つのだが、
あまりというか全くご無沙汰感が無いのは、相変わらず客演が多いだけでなく、
目立つ仕事が多かったからでしょうね。

結論から言いますと、これは結構いいアルバム。
今年度ベスト10に入ることは間違いない。
歌と演奏が有機的に絡んでいるというか、馴染んでいる曲が多く、
引っ張ったり、捩じったりするビラルのリズム感が際立っている。
やや考えすぎかと思われた前作に感じた不満点を解消してくれた感じ。
ほぼ固定したバンド(ドラムとベースは前作と同じ)での演奏だが、
リズムの立ち具合が猛烈に私の好み。あと、録音の音質もいい!
特にベースのConley Whitfieldは特に派手なことをやる訳ではないが、
フレーズの間の取り方がとてもかっこ良い!
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アルバムの前半はほぼ完璧!と言っていいのではないか?
幻の2枚目以降、定番となっているシャフィーク製作の”West Side Girl”は
前作同様サンダーキャットが絡んでいて、ムチムチしたベースが気持ち良いが、
曲自体が魅力的だが、全体のノリを引っ張るヴォーカル・ワークが秀逸!
“Back To Love”でのシャキッとしたリズム、歌に呼応した音の抜き差し、
途中からザッパっぽい展開のコード進行になる”Winning Hand”を聴くと
なぜか”Lickin’ Stick”を思い出すのだが、ギターの音色もいやらしくて良い。
”Climbing”もうねるベースとワサワサヌメヌメヘロヘロした歌がファンキー。

中盤はややアンビエント?な感じのスロウが多く、
評価に困るというか、実際に評価が割れている模様。
全体的に歌と演奏がベタ付いているのが、難点。地味だし。
とはいえ、何回も聴くうちに意外と良くなってきた気がする。
(単に慣れただけなのかもしれないけど)

“Longing And Waiting”の途中の歌い込みはファンキーだし、
“Right At The Core”の途中に挟まったパートは実はかなりカッコいい。
でも、やっぱり”Slipping Away”のベタ付いた感じはやっぱり苦手かな。
最後のギター・ソロはいいんだけど。
ビラルの歌はファンキーだけど、粘着力というか吸引力があるほうなので、
もっとシャッキとしたバックのほうが合っていると思うのだ。
ロックぽいのだったら、アコギのイントロで始まる”Lost For Now”のように
カラっとした曲のほうが絶対いい。
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その後は持ち直し、壊れ気味なリズムが病みつきになる”Astray”や
70年代初頭のカーティスのメロウな曲を思い出す”Never Be The Same”、
ロバート・グラスパーのピアノをバックで歌う美しい”Butterfly”、
アルバム全体の雰囲気をまとめたような”The Flow”と繋がって終わる。

挑戦的な姿勢は変わらず、でも前作よりもグルーヴを重視したアルバム。
テレンス・トレント・ダービーに通じる匂いをなんとなく感じさせるのは、
多分ほとんどの曲に少し異なる味わいをはさみこんでしまうというか、
素直にポップな展開にしない性質ゆえかな?
でも、周りのメンバーやスタッフに恵まれているみたいだし、
自閉症の息子を育てている父親としての姿にも激しく共感する私としては、
この妙な味わいを更に深化させていってほしいな、と思うのだ!
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とはいえ、この人はもっと凄い音楽作れるはず!
私をびっくりさせてくれるアルバムを待っています。
出来れば、サーラーとの完全共闘アルバムをお願いしたいのだが!
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by zhimuqing | 2013-04-03 01:28 | Funkentelechy | Comments(0)
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