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テレンスでほっこり?

ということで、初のサナンダ・マイトレーヤというか、
物凄く久しぶりのテレンス・トレント・ダービー。
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ヴァイブレーター・ツアーは悶絶して失禁しそうになるぐらい
かっこよかったのだけど、あれから18年経ち、テレンスも51歳、
正直期待しすぎないように注意しながらブルーノートに行ったのです。
イタリア人二人とのトリオ編成だし。

お顔のほうは流石に少し老けた感じもするが、しかし51歳、
むしろ異様に若いといった方がよさそうだ。
以前とほとんど変わらない体型を維持しているのは素晴らしい。
(うっ羨ましい!)
髪の毛は金髪坊主ではなく、細めのドレッドなのは予想通り。

ステージ始まっての一発目の出だしが拍子抜けするぐらい音圧が弱く、
音が良いので定評のあるブルーノート東京ですが、
これでは生音と変わらないではないか。

曲は予想通り、会場にいる誰もが望んでいる昔の曲は無し。
最後までほんの少しだけ期待していたんだけどねぇ。
昔のギラリとした危うさ、ストレンジな風味は無くなっていて、
やや風変わりだとはいえ、かなりストレートな曲調。
バンドの演奏はやや単調というか、下手とは言わないが、
躍動感やファンクネスがかなり欠けており、ニュアンスにも乏しい感じ。
ヴァイブレーター・ツアーのバンドが凄かっただけに、
せめてパリ在住のアフリカ人ミュージシャンと組んでくれたら等と
思ってしまうのは致し方ないかな。
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では、つまらなかったのか、といえば、実はそうでもないのだ。
出てくる音は多少ポンコツだったかもしれないのだが、
歌というか声の方はややパワーが落ちたかもしれないが、
衰えは感じさせず、説得力もばっちり。
しかも、そこには気の置けない仲間と純粋に音を出す喜びが詰まっていて、
極めてピュアでソウルフルな瞬間がたくさんあったのだ。
ピュアで(やや)ポンコツないい感じのファンクだったと思うのだ。
魔界から転生してきたスライ・ストーンよりもずっと幸せそうだし、
昔のポップスターだった頃よりも幸せそうな気さえもする。

フライングVで弾くギターも悪くはないが、より説得力が出てくるのは
ピアノの弾き語り。
時折ギラギラしてドロっとしたソウルフルなものが滴り落ちる様は
ヴードゥーなものを感じさせる。
やはり天才。いまでも天才なのだな。
レブロン・ジェイムズとコービーが好きだとは、やや意外だったけど、
天才同士、引き合うものがあるのかな?
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開演前と終演後、畏友プリマク氏とテレンスを支えるミュージシャン、
今だったら誰をチョイスするか?という話になり、
やはり、昨年のドクター・ジョンの名盤≪Locked Down≫を支えたメンツが
いいだろう、ということで意見が一致したのだが、うまく舵取りが出来る
プロデューサー的な後見人がいたら、何とでも出来そうな気がするのですね。

ブラック・キーズのダン・オーバックの仕切りで、
マルコム・カットー、パラディーノ、ジョン・メデスキが支える形は
想像するだけで燃えてくる。
ギターはヴァーノン・リードか、チャーリー・ハンターか、
はたまたマーク・リーボウか?

例えば、ジョン・レジェンドのようにザ・ルーツをバックに招いたとすると、
もっとザラッとしたソウルフルな歌ものが出来そうだし、
あるいは日本が誇る渋さ知らズと組み合わせてみると、これはこれで凄そうだ。
もしくは、MFドゥームやマッドリブのマッドでグルグルな音をバックに
シャウトを決めてみるテレンスというのも、なかなか燃えるのでは。
他にも、サーラーのエレクトロでサイケな音だとか、
グラスパーの静溢な空気をぶち壊すってのも良さそうだ。
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結局、この人は出てきたタイミング、生まれた時代に恵まれなかったのだな。
ちょうどヒップホップが一気に台頭してくるタイミングで、
プリンスが苦戦し始める時期だったからね。
あと20年早ければ、類まれなソウル・シンガーもしくはファンク・スター。
5年早ければ、80年代のエレクトロな音にがっつり乗りこなしていただろうし、
10年遅ければアウトキャストやシーロー、ディアンジェロと並ぶヒップな姿を
世界に披露したと思うのだが。

テレンスがデビューした87年はプリンスの影響がでかかったからね。
プロデュースも自分でやって当たり前の時代、
テレンスも何でも自分で出来てしまう人だったのだけど、
うまく周りを見渡すことが出来る仲間がいたら良かったんだけどね。
もしくは、Abeja Mariposaさんが言うようにインエクセスと
共闘を続けていたらよかったのにね。
それにしても、この時期のレーベルとしてのソニーはやっぱりダメだな。
ジョージ・マイケルともテレンスとも(多分MJだってそう)軋轢を生んで
せっかくの才能を台無しにしたのだからね。
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うーむ。考え込むとなかなか複雑だ。
とはいえ、今のテレンスじゃなかったサナンダは結構楽しそうなので、
その辺はゴチャゴチャ考える必要もない。
ライブ中も実にくつろいだ感じで、ブコウスキの一節なども披露。
終演後のプリマクさんの感想は「ほっこり」。
ライブの終わりには客席の人とも握手やハグを連発。
女性陣はみなさん全員、目がハート・マークですよ。
私は距離があったのだけど、なんとか右手の指3本を握ってもらえましたよ。
おかげでベースが多少上手くなるかもしれないな。
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by zhimuqing | 2013-03-22 20:28 | Funkentelechy | Comments(2)
Commented by M.A. at 2013-03-25 12:03 x
この記事の前半だけ読んでですね、
楽しみにしていたTTD、しかも高い高いブルノ…
zhimuqingさんが気の毒すぎて読み進めるのを躊躇したくらいですが
結果、いろいろ空想もできて楽しそうでよかったです(笑)。
しかしTTDって呼びかけても振り向いてさえくれないんでしょうかねぇいまや。
わたくし、ビルボードでホゼさんとハイタッチしちゃいました。
ハート目…だったかもしれません。
Commented by zhimuqing at 2013-03-25 23:49
>> M.A.さま

こんばんわ!
先日頂いたジョン・メイヤーはお風呂で良く聴いていますよ!

さて、テレンスですが、少し時間が経って振り返ると、
あれはあれで良かったのでは?と思うのでありますね。

昔のテレンスは目が合っただけで殴られそうな危うい感じがあって、
天才ゆえの孤独な感じが強くて、マーヴィン・ゲイの駄目な時の雰囲気もあり、
そこがまた魅力の一つでもあったのですが、窮屈そうでもあった訳ですし、
今のふっきれた楽しげな姿には、ショー・ビジネスと無理に
折り合いをつけなくてもいい、のびのびとしたポジションで
自由に楽しんでいるような、そんな感じが私の気持ちも楽にしてくれた、
そんな感じですね。(うまくまとまらないです)

ただ、もっともっといけるはずという思いもあって、
なんとかもう一花咲かせてほしいんですけどね。

あと、51歳でもカッコいいです。
私はストレートですが、抱かれてもいいです。断られそうですが。
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