ケムは素晴らしい

ケム、涙が滲むほど、素晴らしかった。
こうやって思い返すだけで、感動が押し寄せる。
期待を高めるだけ高めて、観に行ったにもかかわらず、
それを軽く凌駕するのだから、驚くばかり。
語り草となるソウルやファンクの来日ライブというのは時折あるのだが、
今回のライブも間違いなく、語り継がれるものになることは間違いない。
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まずは、ケムは類い稀なグルーヴマスターであること。
そのうえ、実に瑞々しい声。絶妙な喉のコントロールで私の琴線を鷲掴みに。
4ピースのバンドはもちろん腕達者ではあるが、単に腕利きというのではなく、
歌手ケムとの一体感が素晴らしかったこと。
全体の音像が一塊、というより一つの生命体のような趣があった。
更に、会場の音が素晴らしく、ケムの声が織りなす微妙な綾や
楽器一つ一つの繊細な響きまで、過不足なく客席に届けてくれていた。
アリーナ・クラスでのライブが多い本国では、おそらく味わうことが出来ない、
なんとも贅沢な空間。

なんといっても、歌手としての実力が素晴らしい。
「洗練&成熟のジャジーなR&B/ソウル」という謳い文句は
その本質を全く突いていないと断言できる。
先日、シャーデーを思い起こさせると書いてしまったが、
生で見ると、これもまた全く違いますね。
自在に伸縮させるフレーズと体の動きで、グルーヴと聴き手の琴線に対して
抜群の舵取りが魅せる、それがケムの一番の見所だと思うのだ。

声のグルーヴで音を引っ張るというのはああいう状態を指すのだ。
普段から安易にグルーヴという言葉を使わないように気をつけている私ですが、
あんなの見せられると、もはやグルーヴ、NGワード・レベルですね。
アップヤミディアムはもちろん、スロウなナムバーでもそれは変わらない。
聴き手である我々は、その抜群の身のこなしと舵取りに、身を捩じらせたり、
悶絶させられたり、拳を握り締めたり、自在に操られるのでありますね。

それにしても、バンドがまたまた凄いのだ。
ケムもMCで何度も自慢するだけのことはある。
フルメンバー(10人以上)ではなく、コーラスも来ていないのだが、
ドラム、ベース、ギター、キーボードの4人だけで、柔軟性に満ちた音で包み込む。
フィリー出身のギターのランディ・ボウランド以外は皆デトロイト産。
あれほど完成された音を聴くチャンスはなかなか無いもんだ。
ステージ上の5人から、いい音がバシバシ出て来るので、
どこを見たら良いか、分からなく私。
目を閉じるという方法もあるが、流石に勿体ないので辞めました。
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さあ、呆然としてポカンと口を開けている私を探してみよう!?

あれだけのライブを出来るシンガーが今どれだけいるか分からないが、
真っ当なミュージシャン・シップ、まっすぐで前向きな姿勢、
If you believe, you can make itを等身大に伝えるメッセージを含め、
フランキー・ビヴァリー&メイズ並み、というより
バンド全体としてメイズの継承者、21世紀のメイズというのが正確か。

この素晴らしい音楽が日本でももっと広く届いて欲しいものだが、
メイズもルーサーもリバートも一部の間でしか聴かれていなかったし、
なかなか難しいのかな。国内盤も出ていないし。
開演前にはディアンジェロやマックスウェルがかかっていたけど、
まったくヒケをとらない、このグルーヴ。
ヒップホップ濃度が薄いために、多くのファンク好きに届かないとしたら、
それは、なかなか不幸なことだ。
それを考えると、アルバム≪Intimacy≫が初登場2位になるアメリカは凄い。
耳が肥えているとも言えるし、エンタメの底力を感じさせるとも言えますね。
やはり一度、向こうのおばちゃん達に混じって観てみたいものである。

バンドのメンバーについても、やはり触れない訳にはいかない。
シャーデーとは違うと先に書いたが、シャーデーとシャーデー・アデュのように、
ケムという単語も、一人のシンガーを差すと同時にバンドでのことでもあると、
私は思っていますからね。

個人的には、キーボードのブライアン・オニールが興味深かった。
オシャレなスーツ姿が決まっていたが、顔がロノブ兄さんに激似。
相似形と言ってもいいでのはないか?終演後、間近で話をしたので間違いない。
ソロを取る時もそうだがバッキングでも、メロウではあるけど、
キレ味を強調する時とあえてモヤモヤさせてみせる対比が面白かった。

ギターのランディ・ボウランドはやはり凄いね。
ジル・スコットやジェラルド・リヴァートのバンマスにして、
オージェイズやグラディス・ナイト、パティ・ラベルのバンドメンバー。
個人的にはアル・グリーンの大傑作≪Lay it down≫での仕事がお気に入りです。
アーバンなソウルでのカッティングとは?を体現してました。
オクターブ奏法も良かったが、オートワウを使ったソロが完全に好み。
ちなみにこのボウランドだけ、2枚目に参加していないですね。

ベースのアル・ターナーはアルバム通りの正確無比なプレイだが、
必要最小限の音数に留めて、全体の音に対しての目配りを忘れないのだが、
バンドの音のノリの中心にいるという、ベーシストとして理想の境地。
バンマスという立場もあるからか、ケムの声の変化に一番の反応を示すが、
ケムとは10年来の付き合いがあることもあるのだろう。
全く凄いベースでしたと伝えると、そうそう私のCD、そこで売っているから
是非ともチェックしてくれと重ねてアピールされるも、
持ち合わせが限られていたので、買いませんでした。スミマセン。

基本的にドラマーが一番気になるというか、ドラム萌え?の私だが、
ロン・オーティスははっきり言って最高で完璧でしょう。
はっきり言って、ケムの音楽はライブの方が凄いと思うが、
その凄味の部分はもちろんケムの歌ぢからによるものが大きいが、
オーティスのドラムに追っている部分も結構多いのでは?
大きくてガシっとしているが、柔らかいノリ。マーヴェラス!

また是非見たいので、早く日本に戻ってきてくれと伝えると、
私とアルは日曜と月曜もライブやっているよ、と言うので、
すわ、こっそりとどこかでライブやるのかと色めき立ったのだが、
なんと、ケムの後に来るアール・クルーのライブに参加するとの事。
驚いたことに、アール・クルーのバンドのキーボードは
80年代のPファンクを支えたデイヴィッド・スプラドリー!!
スプラッドリーにオーティスとターナーの組み合わせ、
非常に気にはなるのだが!どうしよう。

終演後はサイン会も開催されたので、当然のベシでサインを貰ったのだが、
並んでいる人の少ないこと。なんと勿体ない事。
ちなみに写真はNGだったのだが、サイン会の風景を収めようとしていた、
ソウルサーチャーがスタッフに注意されていました、はい。
私は、もちろん2枚目と3枚目にサインを貰ったのだが、
もちろんメンバー4人にもサインをきっちり頂いたのだが、
完全に乾く前にブックレットを閉じたようで、ボウランドとオニール両氏の
サインが一部張り付いてしまうという、痛恨のミスを。
ああ、詰めの何と甘いことか。
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すまん、1枚目とクリスマスアルバムはまだ入手していないのだ。
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2枚目にはボウランドさんは参加していないので、バックの3人だけ。
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3枚目はボウランドさんにもサインして貰ったのだが、
張り付いてしもうたがな。
不幸中の幸いは早い段階で気付いたこと。

ということで、早い段階での再来日を熱望していますが、
ケム本人によると、帰ってからデトロイトで新作の製作に入るとの事で、
今度来るのはいつになるのかな?
またブルーノートでやってほしいんだけどねぇ。

1. Golden Days
2. Brother Man
3. True Love
4. I’m Missing Your Love
5. Why Should You Stay
6. Share My Life
7. Find Your Way (Back In My Life)
8. Can’t Stop Loving You
9. Inside
10. Love Calls
11. Matter Of Time
12. Merry Christmas Baby
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by zhimuqing | 2013-01-20 00:28 | Funkentelechy | Comments(2)
Commented by hide at 2013-01-21 11:52 x
こんにちは。Amazonより届いたばかりのcameoの2007年ライブ盤を聞きながらコメ中です。(オーディエンスの盛り上がりもサイコー!)…SADEのようにkemは個人名でもありバンド名。まったくです。サイン会にはkemさんはきませんでしたが、バック三人のCDにそれぞれサインして頂きました。Ronさん、インクが早く乾くように必死にフーフーしてくれました。(笑)私もブルーノート派かな。ケムやアンジェラみたいに、あ~っ!!とアゴはずれそうな人がきたりしますね。アッシュフォード&シンプソン(ニック、なくなりました(泣)、エンダンビetc.どっちもいけませんでしたが。そうそう、kemのファーストは早期入手して下さいね。これまた名盤です。
Commented by zhimuqing at 2013-01-21 22:44
>> hideさん

こんばんわ!

2007年のキャメオのライブ盤?!いきなり、謎のブツの登場で盛り上がります!
97,8年ぐらいに出ていたものとは違うのでしょうか?
家にあるCDと曲目を比べてみます!

そうですか、ケムさん、出てきませんでしたか?
やっぱりセカンドでないと、出てこないのですかねぇ?

ロンさん、ステージ上のドラミングに比べると、
随分紳士的というか、穏やかな人でカッコ良かったですねぇ。
ベースのターナーさんはもっとアクティブ?な感じでしたけど。

ブルーノートはやっぱり音が良いし、居心地がいいですね。
でも、エリック・ベネイあたりは日本でも人気が出過ぎて、
もしかしたらブルーノートなんかでは公演しないかも、というお話を
先日小耳にはさんだので、ああ、観ておくべきだった!と
後悔しているのであります。
そうそう、アシュフォード&シンプソン!!行っておくべきでしたね。
後悔、先に立たずとはよく言ったものです。

ということで、ケムのファーストは早急に買いに走る予定です!
ではでは。
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