デートしてくれ!

ということで、エル・ヴァーナー。
今年デビューの新人で、結構ヒットしているよう。
私はQ兵衛師のラジオ番組もCMで初めて聴いて、
あっけなくノックアウトされたクチです。
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なんと!といっても、多くの人には伝わらないと思うが、
ジミー・ヴァーナーとリン・ロデリックの娘だったのですね。
つまりバイ・オール・ミーンズ(BAM)の歌い手二人の子供!
というか、私はこの二人が結婚していることすら知らなかったのだが。
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BAMというか、ジミー・ヴァーナーとスタン・シェパードといえば、
80年代後半から90年代前半にかけて、名曲を世にたくさん送りだした
プロデューサー・コンビ。
いわゆるクワイエット・ストームといわれるジャンルに分類される、
メローでゴージャスな音楽を作っていたのだが、その他大勢と違って、
甘きに流れない、というか、ビターな感触を残している作風が
個人的に大好きだったのだ。
一緒に組む歌手は基本的に超実力派のみだったし、
生楽器の響きを活かすリズムのアレンジもポイントが高いところ。
やはり当時を代表するスーパー・プロデューサーでしょう。
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BAM名義での出た3枚のアルバムも良かったけど、
その仕事の最高傑作はやはりジェラルド・アルストンのソロ作でしょう。
特に1枚目と2枚目の曲は凄い曲が多い。
マンハッタンズ時代を含むジェラルド・アルストンの全キャリアの中でも
屈指の名曲がこの2枚に含まれていて、今聴いてもやはり凄いとしか
言いようがない。
とはいえ、20歳前でこういうのばかり聴いていた当時の私は
なんともまあ、若々しくないというかオッサン的であることか!

その他にも、テムプスの忘れられた?名作≪Special≫も
やはり個人的には捨てがたい。
アリ・オリとの相性も抜群だっただけに、続けて曲を作ってくれていたら、
アリ・オリ個人としても、ソウル歌唱の歴史としても、
もっと良い方向に行っていたのではないか?と思ったりもするのだが。

歌手としての、ジミー・ヴァーナーは完全にテディ・ペン・フォロワー、
奥方のリン・ロデリックもやはり正統派の実力派だったけど、
例えばアルストンやアリ・オリのような個性や華にやや欠けていて、
その辺りが個人的にもやや物足りない感じも。
ソロ歌手としてのテディ・ペンもそんなに好きな訳ではないし。

そんな訳で、この二人の娘がデビューした!というだけでは、
多分エル・ヴァーナーを聴いてみようとは思わなかったと思うのだが、
なにせ、エル・ヴァーナー、声の吸引力、希求力がスバ抜けている。
声が素晴らしい上に、フレージング、特にリズムの割り方が自由自在、
捩れたり、溜めたり、爆発させたり、甘えたり、実にファンクネス溢れている。



なんでも、これまでジャズの勉強を重ねてきたらしいのだが、
たしかにジャズ的でもあるけれど、頭でっかちな印象はなく、
細胞がリズムに不随意反応するような歌い回しは
優秀なMCが見せる自在なフローの様で、ヒップホップな印象の方が強い。
(もっとも凄いジャズメンというのは、そういうものなのだろうけど)
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曲もなかなか良いのだが、歌の凄さに比べると、やや平坦な印象が強く、
これはこれで売れそうなのだけど、もっとヘンテコなトラックを
色々ぶつけてみたくなりますね。
ジョージア・アン・マルドロウとかMFドゥームのような音を
バックに自在に歌い込むエル・ヴァーナーとか、
あるいは、アフロビートをバックに歌わせてみるのも面白そうだ。
フィンランドのジミー・テナーなんか、どうでしょう?

などと、ごちゃごちゃ考えていたのだが、この映像を見て気持ちが変わった。
この人は歌一本、アコギだけで楽勝でいけるタマ。
どんどん突き進んでほしい。
で、時々冒険をしてくれれば、それでOKだ。
それで、たまに両親と一緒にゴージャスなバックをつけて、
歌ってくれれば、さらに言うこと無し!





うーん、キュート過ぎる。
とりあえず、一回デートしてくれ。

ちなみに、この年の頭にフリーのミックステープを発表していた模様。
これからダウンロードしてみます。
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by zhimuqing | 2012-11-18 01:28 | Funkentelechy | Comments(0)
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